第1018回 兄のリベンジを胸に名門の扉を叩いた超強肩捕手 東妻純平(智辯和歌山)【前編】2019年07月17日

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高校でスタートした捕手人生



捕球する東妻純平(智辯和歌山)

 紀伊中では紀州ボーイズに所属し、ショートとしてプレー。高校野球の舞台として選んだのは兄も通った地元の名門・智辯和歌山だった。

 「兄が高3の最後の夏の県予選で敗れ、甲子園にいけなかったことが強く印象に残っていて。そのリベンジを自分が果たしたいという思いもありましたし、レベルの高い地元の高校に入って甲子園に出て勝つというのが小学生の頃からの自分の目標でもありました」

 智辯和歌山にはショートとして入ったが、入学早々、高嶋仁監督(当時)より捕手への転向を言い渡された。

 「高校入学前に『肩強いな。キャッチャー出来るか?』と聞かれたことがあったので、自分の中でつながりました。キャッチャー経験は小学生の頃に何度かやった程度でしたが、好きなポジションでしたし、前向きな気持ちでキャッチャー生活をスタートさせることができました。やってやろうじゃないかと」

 とはいえ、捕手は一人前になるのに時間がかかるといわれるタフなポジション。東妻は「最初はかなり苦労しました…」と苦笑い交じりに振り返った。

 「基本がなってないので、全てに苦労しましたね。ストッピング、スローイング、キャッチング、リード…もうすべてです」

 1年秋から正捕手を担った東妻の幸運は元プロの中谷仁現監督の指導を日々、仰ぐことが可能な環境が待っていたことだった。阪神、楽天、巨人で計15年にわたり捕手として生き抜いた智辯和歌山の大先輩の的確な指導は、東妻の捕手としての能力開花を力強く後押しした。



東妻純平(智辯和歌山)

 「キャッチャーになって1番感じたのは『怖さ』でした。自分の出すサイン一つで試合の明暗が分かれてしまう。指一本で試合の行方が変わってしまう。まだキャッチャーをやって日が浅いから、なんて言っていられないなと」

 リードに関しては「試合の都度、フィードバックを繰り返してきました」と東妻。

 「例えば、中谷さんに『なんであの球放った?』と聞かれ、『こういった狙いでサインを出しましたが、結果的にボールが甘くなってしまって打たれました。だからプルペンの段階からもっと練習します』と自分なりの根拠を伝えたとする。
 『それだったらほかにもっとピッチャーが投げミスをしにくいボールがあったんじゃないか? 自分の要求がピッチャーにとってハードルの高い要求になってなかったか? それがピッチャーに対しての思いやりだぞ?』と言ったような答えが返ってきてハッとさせられる。その繰り返しです」

 中谷監督には『キャッチャーは裏方。いかにピッチャーのいいところを引き出せるか、いかにピッチャーを輝かせることができるかを常に考えろ』と言われ続けてきた。

 「一番大事なのはチームのため、ピッチャーのためになにができるかを最優先で考えることだと。ぼくはキャッチャーが評価されるのは優勝した時だけだと思っています。奥深いポジションですよ、本当に」

 前編はここまで。後編では捕手としてのテクニック、強打のバッターとしても有名な東妻選手の打つときに意識していることについても語ってもらいました。後編もお楽しみに!

文=服部 健太郎

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プロフィール

池田陽佑(智辯和歌山)
東妻 純平(あづま・じゅんぺい)
  • 和歌山県和歌山市出身
  • 紀伊少年野球クラブ-智辯和歌山
  • ポジション:捕手
  • タイプ:右投右打
  • 身長体重:172センチ76キロ
  •  
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