目次

[1]岩井監督自身も実践する「常に想像して自立して行動すること」
[2]練習では常に不利な状況を想定

 毎年、好捕手を育て上げる花咲徳栄であるが、今年の正捕手である菅原 謙伸は近年の中でもトップクラスの実力を持っているのではないだろうか。
 冷静なリードに加えて、セカンド送球は最速で1.8秒台を記録する強肩も持ち、また打者としても打順は9番ながら、春季埼玉県大会準々決勝では東農大三の好投手・飯島 一徹から3安打を放つなど、堅実な打撃を持ち合わせている。

 今回は、花咲徳栄のこの夏のキーマンとも言える菅原に、これまでの成長や夏に向けた思いを伺った。

岩井監督自身も実践する「常に想像して自立して行動すること」



菅原謙伸(花咲徳栄)

 「最初は全てが大変でしたね。一人で洗濯することも大変ですし、野球も下手くそだったんで。関西出身の人と一緒になると、言葉にも苦労しました。自分はすぐしょぼんとなってしまうタイプで」

 花咲徳栄に入学当時のことを振り返り、菅原は少し恥ずかしそうな表情を見せた。
 岩手県の一関市立千厩中学出身の菅原は、関東地区の名門・花咲徳栄からの勧誘を受けて越境入学を決めた。大きな希望を抱いて埼玉の地に踏み出した菅原だったが、レベルの高さや慣れない寮生活、そして全国各地から選手が集まる環境に、初めはとても戸惑った。

 「とにかく不安でした。今でもみんなによく言われるのですが、『お前よくここまでこれたな』と。自分で考えても、あの時はすべてがひどかったなと思います」

 そんな菅原に成長のきっかけを与えたは、岩井隆監督であった。
 岩手県から出てきたばかりで、まだ右も左も分からなかった菅原に岩井監督が説いたのは、「常に想像して自立して行動すること」。菅原は、当時の岩井監督の指導を次のように振り返る。



守備につく菅原謙伸(花咲徳栄)

 「自分少しネガティブな所があります。だから岩井先生は頭ごなしに怒るのではなく、自分に伝わるように指導をしてくださりました。
 岩井先生がそのように教えてくださったのは、岩井先生自身が自分のことを想像できているからだと思います。自分がここまで出来るようになり、徳栄の2番を背負うことが出来ているは岩井先生のお陰だと思います」

 今となっては厳しい言葉を掛けられることも増えたと話す菅原だが、それもすべては自分自身のための指導であると理解している。現在も夏に向けて、リードワークやゲームメイクの面で厳しい言葉が飛ぶが、岩井監督への信頼は変わらない。

 「よくよく考えれば、苦しい状況も夏のために作ってくれてるのかなと思います。岩井先生は多分そこまで想像できてる方なので、自分はもっと色々と吸収していかないと駄目だなと思っています」

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