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控え投手からプロ注目投手へ!落合秀市(和歌山東)の野球道を変えた大きな試合【前編】

2019.07.03

 最速148キロのストレートを武器にドラフト候補として名前が挙がっている和歌山東落合秀市(3年)。今でこそプロ注目の投手だったが、中学時代は控えで無名の存在。高校でも野球を続けるつもりはなかったという。そんな選手がどのようにしてここまで登りつめたのか。夏の大会での活躍が期待される本格派右腕の本音に迫った。

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野球への情熱が傾いていなかった中学時代

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インタビューに答える落合秀市(和歌山東)

 4人兄弟の末っ子として誕生した落合は2人の兄が野球をしていたこともあり、後を追うように小学1年生から四箇郷少年クラブで野球を始めた。小学生時代から投手に取り組んでいたが、当時はユーティリティープレーヤーだったと振り返る。

 「今は投げることしかできないんですけど、小学校の時はオールラウンダーでした。1番バッターでキャッチャーやショートをやっていました。盗塁もしていましたよ」

 恵まれた野球センスで小学生時代は中心選手として活躍していた落合。中学ではヤングリーグの和歌山ビクトリーズに進んだが、試合に出場する機会は少なかった。現在は那賀のエースとして活躍している谷脇弘起(3年)の存在もあったが、それ以上に自らの野球に対する姿勢に問題があったと本人は話す。

 「あまり練習してなくて、ランニングの時も友達と遊んだりしていました。それを指導者さんも知っていて、干されていたんですよ。それが3年間ずっと続いていました。ある程度の球は投げられていたので、たまに試合には出ていましたが、基本的に試合には出ていなかったです。当時はただただ通っていただけでしたね」

 中学の時点で138キロの速球を投げながらも野球に情熱を傾けていなかった落合は「高校でするつもりはなかったんですよ」とあっけらかんと話す。結局は和歌山東に進んで野球部に入部したが、その理由も特に深いものではなかった。

 「野球部の説明会に行って野球やろうかなという感じで始めてみて、気づいたら今みたいな感じになっています」

 入部当初には今のような状況は想像できていなかった。同期の野口聡大(3年)は「最初の頃は辞めたいみたいなことを言っていました」と当時の落合について話す。まだ心に火が付いてなかった状態でいつ辞めてもおかしくない状態だったそうだ。

[page_break:野球人生を大きく変えた明徳義塾戦]

野球人生を大きく変えた明徳義塾戦

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練習中の落合秀市(和歌山東)

 1年秋の時点では部員が22人いたが、和歌山大会でベンチ入りできるのは20人。マネージャーのいない和歌山東は1人が記録員としてベンチ入りするため、1人だけがベンチから外れることになるが、その1人が落合だった。これには流石に堪えたようで退部も考えたという。

 「みんながベンチにいて僕だけがスタンド。それが嫌で辞めてやろうかなと思ったんですけど、自分の可能性を信じて続けてみました」

 精神的に不安定だった落合を米原寿秀監督は「会話したら辞めるなと思っていました」とあえて干渉しなかった。当時いた若いコーチとともにじっくり取り組ませてその気になる時を待っていたのだ。

 そしてその時はやってくる。2年生になり、徐々に試合で結果が出始めるようになると春季大会では登板の機会が与えられるようになった。転機となったのは昨年6月に行われた明徳義塾との練習試合。この試合で谷合悠斗(現・三菱重工神戸・高砂)らを擁する打線を相手に好投したことで自信がついたという。

 「これまでは勝ったとしてもまともに抑えられていなかったんですけど、明徳戦くらいから自分の思うように抑えられるようになりました。自信がついて案外イケるなと思いました」

 名門校相手に結果を残して自信をつけたことで野球に対してより熱心に取り組むようになった。夏の大会では背番号11をつけて準々決勝の和歌山向陽戦に先発。試合は1対2で敗れ、「緊張していつも通りに投げられなかったです」と本人にとっては不満足の内容だったが、5回1失点と力のあるところを見せつけた。

【後編を読む】強気な投球で圧倒する!感謝の思いを示すために甲子園は譲れない 落合秀市(和歌山東)【後編】

文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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