Interview

「もう一度甲子園に」偉大な先輩の背中を見て学んできた韮澤雄也(花咲徳栄)【前編】

2019.06.30

 根元俊一(元ロッテ)、阿部俊人(元楽天)、岡崎大輔(オリックス)とショートの好選手を次々とプロへ輩出している花咲徳栄(埼玉)。その栄えある背番号6を、現在、引き継いでいるのが鉄壁の守備とシュアな打撃でチームを引っ張る韮澤雄也選手(3年)だ。

「全国優勝」を果たすも、満足はしていない

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インタビューを受ける韮澤雄也(花咲徳栄)

 中学時代から新潟シニアでジャイアンツカップに出場するなど実績を積み上げてきた韮澤選手。花咲徳栄に進学する決め手となったのは「プロになるのが目標なので、多くのプロ選手を育てている花咲徳栄ならば、自分も成長できると思ったから」だという。

 そして、入部直後の1年春からベンチ入りすると、同年夏には[stadium]甲子園[/stadium]で出番がなかったとはいえ背番号16を付けて全国優勝を経験。「周囲のレベルが高くて、ついていくだけで精一杯だった」と振り返るが、清水達也(中日)や野村佑希(日本ハム)といった高校卒業から即プロ入りを果たした上級生たちを間近で見ることができたという。

 また、そんな偉大な先輩たちのなかでも一際大きな影響を受けたのは同じ左打ちの西川愛也(西武)だった。
 「西川さんのバッティングフォームはかなり参考にさせてもらいましたし、いろいろとアドバイスもしていただきました。特に『軸足となる左足から右足へと重心を移す時は、ただ前方へ体を動かすわけではない』と教えてもらった重心の移動の仕方については、今も常に心掛けています」

 西川選手の直接指導もあって技術を上げていった韮澤選手は1年秋にショートのレギュラーポジションを掴むと、2年夏は[stadium]甲子園[/stadium]に3番打者として出場。2回戦の横浜(神奈川)戦では高校四天王の一人に数えられるサウスポーの及川雅貴投手からセンター前へヒットを放つなど、2試合で5打数2安打2打点と及第点の成績を残した。

ただ、本人は「昨年は先輩に連れて行ってもらっただけ」と満足しておらず、「[stadium]甲子園[/stadium]でプレーして『楽しかったな。もう1回、ここに戻ってきたいな』と感じました」と、聖地への募る思いを新たにしたという。

[page_break: オフシーズンのトレーニング成果が表れた春]

オフシーズンのトレーニング成果が表れた春

「もう一度甲子園に」偉大な先輩の背中を見て学んできた韮澤雄也(花咲徳栄)【前編】 | 高校野球ドットコム
韮澤雄也(花咲徳栄)

 しかし、昨秋は埼玉大会の3回戦で敗退。「調子自体は悪くはなかったのですが、自分が引っ張っていかなければいけないと思っていましたから結果にはまったく満足できませんでしたし、全体的にスピードもパワーも足りていませんでした」。

 そこで、この冬のオフシーズンは1.2kgの重たいバットを使って振り込みを敢行。「12月から2月までの3ヶ月間は重たいバットでマシンを打ち込んでいました。冬休み中は午前が守備練習で午後はバッティングだったので、交代しながらですが長い時は5~6時間ほど打撃練習をしていたと思います」。

 並行して体作りにも励んだ。「上半身が弱かったので、ウエイトトレーニングではベンチプレスをやりましたし、瞬発力を高めてスピードを付けるためにスクワットもしました」。

 さらに、練習グラウンドに砂を入れて作られた通称「徳栄ビーチ」では走り込みも。「ポール間を2人でダッシュして勝った方が抜けていくのですが、自分は遅い方なので何本も走ることになりましたね(苦笑)」

 また、バッティングフォームも昨夏から大きく変わっており、現在はグリップエンドをお腹のあたりまで下げた状態から耳のあたりまで一気に引き上げてスイングをしている。
 「低い位置でバットを持っている時はできるだけ腕をリラックスさせていて、耳のあたりから振り出す時はボールに対して最短距離でバットが出るようにしています。ステップについてはテークバックの時に右足を軸足に一旦寄せてから、西川さんに教えてもらった体重移動をして踏み出すのですが、この打ち方だとタイミングも合うんです」

 こうした練習の積み重ねにより、「春になってからはバッティングの時に体の軸がぶれなくなり、コンパクトにスイングをしているのに長打が出るようになりました」と韮澤選手。

 その言葉通り、春季埼玉大会の1回戦・伊奈学園戦で公式戦では自身初となるホームランを記録。「1打席目のファーストスイングだったのですが、真っすぐをとらえてライトへ打ち込みました。打った瞬間に手応えがあったので、冬にパワーを付けた成果が出たのだと思います」。

 その後も2回戦の春日部東戦では左腕のサイドハンドの投手を攻略し先制打を放つなど高い対応力を見せたが、準々決勝の東農大三戦飯島一徹投手の前にノーヒット。チームも5対7で敗れ、「『良いピッチャーを打ち崩そう』と声を掛け合って臨んだ試合だったのですが、チャンスで1本が打てませんでした」と悔しさをにじませた。

 前編はここまで。後編では今春のU-18日本代表の第一次候補に選ばれ、研修合宿に参加した際のお話や夏の目標を語って頂きました!後編もお楽しみに!

【後編を読む】同世代の一流選手との対戦で課題と収穫を得た 韮澤雄也(花咲徳栄)【後編】

文=大平 明

【韮澤雄也のギャラリーをチェック!】

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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