4年後はメンタリティも、技術もプロに進むのに相応しい選手へ 山田健太（大阪桐蔭－立教大）【後編】
6月17日から大阪桐蔭特集がスタート！17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます。今回は今回は甲子園で何度も勝負強さを発揮した強打のセカンド・大阪桐蔭山田健太選手です。
春のセンバツを連覇し、仲間とともに夏への思いを再確認した山田選手。後編では、そんな高校最後の夏に迫りつつ、大学卒業後の目標についても伺いました。
甲子園で活躍するための練習、生活を送ってきた 山田健太（大阪桐蔭－立教大）【前編】
自分たちの野球を実践し、3度目の甲子園優勝を経験
笑顔でインタビューに答える山田健太（立教大）
北大阪大会は圧倒的な打力で勝ち上がった大阪桐蔭。その中で最も苦しんだのが、準決勝の履正社戦だ。
9回二死まで1点差で負けている状況だった。山田は「負けるかな」と覚悟もしていた。それでも同点に追いつき、山田は勝ち越しの適時打を放った。
「みんなが頑張ってくれましたし、その勢いに乗ることが出来た感じですね。初球を狙っていたのですが、それを見逃し、次の球は多少ボール球だったんですけど、抜けていってくれてよかったですね。あの場面については、あんなに緊張がかかる中で、四球を選べるみんなはすごかったですね」
自身4度目の甲子園。
対戦する相手は作新学院、沖学園、高岡商、浦和学院、済美、金足農すべて好投手がいるチームとの対戦だった。
「最後の大会ということで盛り上がった大会でしたし、対戦する投手はみんな良い投手でした。それでも入学したときから第100回で優勝するつもりで練習をしてきましたし、自分たちの野球を心がけて、優勝出来たのは良かったと思います」
打撃が目立つ山田だが、北大阪大会、甲子園を含めたすべての試合で失策がないのも立派な活躍だ。
三塁手から二塁手への転向は西谷監督が山田の将来を考えてのものだ。それが最後の夏で結実したのである。「少しずつ出来たと思いますし、完璧ではないですが、守備面では成長出来たと思います」と胸を張る。
世代を代表する大型二塁手として存在感を示した山田。注目された進路では立教大への進学を決める。東京六大学への憧れは中学時代からあったものだった。
「中学校の時から東京六大学でプレーしたいのがあったので、その夢がかなったかなと思います」
そして東京六大学へ進むと、早くから存在感を示していく。
工夫を重ね、1年春から東京六大学で活躍
リーグ戦での山田健太（立教大）
入学当初、木製バットと大学生投手のレベルの高さに苦しんだ。
「大学生はみんな速いですし、変化球も鋭い。金属バットから木製バットに移行する中で、木製バットの難しさを感じましたし、思っていたより大学のレベルの高さを見せられました」
そのために打撃フォームの変更を躊躇なく行った。
高校時代はベースより少し遠い位置から構えていたが、大学に入ってだいぶ近づいて構えるようになった。スイング軌道も縦振りで振るようになった。
「構える位置はあまり意識していなくて、言われて初めて気づいたのですが（笑）スイング軌道については金属バットから木製バットへ変わる中で、腕だけの力では飛ばないので、バットの重さを感じるスイングを求めていたので、それが縦振りになったのだと思います」
そして1年春からリーグ戦に出場し、4月21日の明治大戦で、初本塁打を記録。インコース気味の直球を振り抜いた高度な打撃だった。
「あの時、インコースは張っていませんでしたが、打てるコースでしたので、自然と反応したら上手く入ってくれました」
そして法政大の三浦銀二からもストレートを振り抜き、本塁打を放つ。
「良い投手でしたし、追い込まれていたので、がむしゃらに振った結果が本塁打となりました」
慣れない中でも、好投手から本塁打を打って答えを示す山田は、やはり只者ではない。
大学に入って、少しずつ配球を読むようになった。
「大学になるとすべて、すべての球種が打てるわけではないので、どのコース、どの球種を打てばいいのか、考えて打つようになりました。春に関しては狙い球が結構合っていたので、打てるようになりました。大学生の投手は簡単に打てるボールではないので、投手の間合いに合わせるのではなく、自分のタイミングで打つことを意識するようになりました」
笑顔でポーズをとる山田健太（立教大）
また、立教大の先輩・太田英毅（智辯学園・2年）とはキャンプから一緒に練習を行い、太田からアドバイスをもらいながら、上達してきた。そして山田はリーグ4位の打率.375をマークした。
「最後の東大戦で打てなかったので、もう少しできたと思っています」と悔やんだが、上々のデビューとなった。
1年春から4番打者として躍動する山田は早くも東京六大学野球ファンの注目を集め、試合後になると大勢の出待ちのファンがいる。そのことについて山田は「高校時代から多くの方々に注目されてきましたがファンの方々と直接交流する機会はありませんでしたので、とても新鮮な気持ちです。注目していただくことはありがたいことですし、そのありがたみを感じながらプレーしています」
またファンの方から手紙を受け取ることもあるが、「ありがたいことですし、すべて読ませてもらっています。本当に嬉しいことだと思います」と感謝の思いを口にした。
目指すはプロ。プロに進んだ藤原恭大、根尾昂に刺激を受けて、日々の練習を過ごしている。
「結果を出しているのをニュースで見ているので、刺激をうけています。これから活躍を続け、4年後、プロの舞台で一緒にやりたいと思います」
最後に高いレベルで結果を残し続ける山田に、高校球児へメッセージをいただいた。
「高校3年生にとっては最後の大会です。自分のプレーができないこともあるんですけど、それでも自分を信じて、野球を楽しんで、プレーすると自ずと結果が出るので、それは忘れないでほしいと思います」
野球を楽しむ。山田の3年間を詳しく聞くと、実はこんなにしんどいことをやっていたのかと驚く事が多い。それを口にせず、大舞台を楽しんでプレー出来たと明るく振り返る山田を見て、これが注目度の高いステージで活躍しつづける選手のメンタリティなのかと強く実感した。
順調にスターへの道を歩む大阪桐蔭山田健太のこれからがますます見逃せない。
文＝河嶋 宗一
大阪桐蔭特集がスタート！！
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