Interview

大阪桐蔭最強世代の2番になるまでの軌跡 青地斗舞(同志社大)【前編】

2019.06.18

 6月17日から大阪桐蔭特集がスタート!17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます。今回は2番打者として春夏連覇に貢献し、現在は同志社大でプレーする青地斗舞選手のインタビューです!

 最強世代と呼ばれた大阪桐蔭で、2番ライトとして春夏連覇に貢献した青地斗舞。4月からは同志社大に進学し、レギュラー獲得を目指して練習に励んでいる。今回は名門校で過ごした濃密な3年間について語ってもらった。

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史上初2度目の春夏連覇を達成の影に高校生活で最も厳しい練習があった 青地斗舞(同志社大)【後編】

大阪桐蔭を目指し練習に明け暮れた中学時代

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インタビューに答えてくれた青地斗舞(同志社大)

 小学3年生の時に堺北リトルで野球を始めた青地。始めた当初は練習が厳しいと感じて「嫌々行っていた」というが、3年生の終わりごろから試合に出始めるようになり、「このピッチャーから打ちたいとか、もっと上手くなりたいという気持ちが生まれました」と、徐々に向上心が芽生えていった。

 中学では河南リトルシニアでプレーしたが、このチームを選んだ理由は「バッティング練習に力を入れていたから」だという。昨年の甲子園で抜群のバットコントロールを見せた青地だが、その原点は河南リトルシニアでの打撃練習にあったようだ。

 「打ち込みの練習が多かったので、そこでバッティングが良くなったと思います。最初は遠くに飛ばそうと思って荒いスイングをしていたんですけど、試合に出させてもらってからは『確率を上げないといけない』と当時の監督さんに言われました。そこからはバットの軌道やタイミングの取り方を変えたりして工夫して練習することを学びました」

 中学で打撃の基礎を学んだ青地は、4番打者としてチームを牽引するようになっていた。高校を選ぶにあたっては、小学生の頃から大阪桐蔭への入学を熱望していたという。

 「小学4年生の頃から大阪桐蔭に行きたいと思っていました。なかなか声はかからなかったんですけど、3年生の春頃に中川(卓也・早稲田大)や藤原(恭大・ロッテ)のいるチームと試合をした時に、たまたま打って声がかかりました。強いところと対戦する時には西谷(浩一)先生が来るだろうと思っていて、その時は人生を賭けていました」

 結果を残してアピールに成功した青地は念願だった大阪桐蔭の門を叩いた。同期には根尾昂(中日)や藤原など逸材が揃っていたが、それ以上に驚いたのが先輩のプレーだったという。

 「同級生に自分より上手い選手がいっぱいいて驚いたんですけど、一番驚いたのは先輩のプレーです。ノックの時にランナーをして、先輩の足の速さや肩の強さが中学とは全然レベルが違うと感じました。元々、鼻は高くなかったんですけど、折られて頑張らないといけないと思いました」

[page_break:自分が打たなければ勝てない センバツの優勝は安堵の方が大きかった]

自分が打たなければ勝てない センバツの優勝は安堵の方が大きかった

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2年生の秋・近江戦での青地斗舞

 先輩や同級生のレベルの高さに打ちのめされ、1年目は公式戦に出場することができなかった。根尾や藤原などが先にレギュラーとして活躍していたが、「心から応援できていなかった」という。そんな中で迎えた1年生の冬に、2年生の秋になったらレギュラーになるという目標を立てた。

 「体が小さくて、横も細かったので、まずは体作りをしようと思いました。西谷先生と相談して、秋の大会ギリギリまでウエイトトレーニングの時間を作りました。他にもご飯をしっかり食べて、誰よりも走り込みました。春頃から打つ打球がぐんぐん伸びて、試合でも結果が出始めてきました。そこからは練習することが楽しかったです」

 努力の甲斐あって2年生の秋には背番号9を手にすることができた。「プレッシャーでご飯が食べられなくなった時があった」というが、秋はチームトップの打率.457を記録して近畿大会優勝に貢献。神宮大会準決勝では創成館に4対7で敗れたが、その試合で最後の打者となったのが青地だった。

 「最終回、4対7の二死満塁で僕に回って来たんですけど、この試合で3安打していたので、絶対に打つという気持ちで打席に入っていました。3ボールになって、『この打席はフォアボールかな』と思ってからポンポンとストライクを取られました。最後は自分のスイングができなくなってアウトになったので、その打席は凄く後悔しています。
 初めて打ったら勝てるし、打てなかったら負けるという経験をして結果を出せなかったので、冬はそういう場面で力を出せるように精神面を強くすることが大事だと思いました。西谷先生からよく『キツいランメニューは体力じゃなくて精神面も鍛える』と言われていたので、一番キツイランメニューの時にはプラスでもう一本走って、常に自分を精神的にキツい状態にするようにしていました」

 自分が打てなくてチームが負けるという経験をして冬は徹底的に自分を追い込んだ。2年生の夏にボールボーイとして甲子園の土を踏んでいたが、選手として甲子園に出場したのは3年春が初めて。中学時代に全国制覇を経験した青地でも、初めての甲子園は独特の緊張感を感じたようだ。

 「甲子園の1打席目は足が震えていました。甲子園は波に乗ったらいけるけど、乗れなかったらとことんハマっていくとみんなからの話を聞いていたんですけど、初球からセンター前に打てたので、良い形で入れました。春に入る前は本調子じゃなかったんですけど、甲子園では比較的打てたと思います」

 優勝候補の筆頭として挑んだセンバツは苦戦を強いられる試合がありながらも、前評判通りに連覇を達成。優勝した瞬間は嬉しさよりも安堵の気持ちの方が強かったという。

 「最強世代と言われたり、神宮大会で優勝していないのに雑誌で優勝候補と取り上げられてプレッシャーがかかる場面が多かったので、優勝した時は良かったという気持ちの方が強かったです。まだ夏もあったので、夏も勝たないといけないと思いました」

 前編はここまで!後編では春夏連覇を達成した最後の夏から大学生になった今の自分についても語ってくれました!お楽しみに!

文=馬場遼

大阪桐蔭特集がスタート!!

 6月17日から大阪桐蔭特集がスタートしています。17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます。
6月17日12時 大阪桐蔭 野球部訪問【前編】「夏の全国連覇を目指して、大阪桐蔭の現在地」
6月18日12時 大阪桐蔭 野球部訪問【後編】「どんな結果でも日本一を追求しつづける毎日は変わりない」
6月19日12時 中野波来主将 インタビュー【前編】「偉大な先輩たちの背中を追ってきた下級生時代」
6月20日12時 中野波来主将 インタビュー【後編】「知られざる主将としての重圧。すべてを乗り越え、夏は大爆発を」
6月21日12時 宮本涼太選手 インタビュー【前編】 名門の道を歩んできた野球人生 転機となった台湾遠征
6月22日12時 宮本涼太選手 インタビュー【後編】 そして憧れる強打の二塁手へ 宮本涼太(大阪桐蔭)【後編】
6月23日12時 西野力矢選手 インタビュー 憧れは中田翔!2年生4番・西野力矢(大阪桐蔭)はチームの勝利の為に打ち続ける
6月24日12時 OB 青地斗舞選手(同志社大学)インタビュー【前編】 大阪桐蔭最強世代の2番になるまでの軌跡
6月25日12時 OB 青地斗舞選手(同志社大学)インタビュー【後編】史上初2度目の春夏連覇を達成の影に高校生活で最も厳しい練習があった
6月26日12時 OB 道端晃大選手(同志社大学)インタビュー【前編】 センバツ連覇で喜ぶ同級生たちをスタンドから見守った
6月27日12時 OB道端晃大選手(同志社大学)インタビュー【後編】「野球は高校野球だけじゃない」恩師の言葉を胸に
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6月30日12時 OB 山田健太選手(立教大)インタビュー【前編】「甲子園で活躍するための練習、生活を送ってきた 山田健太(大阪桐蔭-立教大)」
7月1日12時 OB 山田健太選手(立教大)インタビュー【後編】「4年後はメンタリティも、技術もプロに進むのに相応しい選手へ 山田健太(大阪桐蔭-立教大)」

7月2日12時 OB 田中誠也選手(立教大)インタビュー【前編】「コントロールで生きる!自身のスタイルを確立させた大阪桐蔭時代 田中誠也(立教大)」


7月3日12時 OB 田中誠也選手(立教大)インタビュー【後編】「研究を重ねてどり着いた回転数の高いストレートと決め球・チェンジアップ」

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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