Interview

名門の道を歩んできた野球人生 転機となった台湾遠征 宮本涼太(大阪桐蔭)【前編】

2019.06.17

 6月17日から大阪桐蔭特集がスタート!17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます!

 大阪桐蔭の春夏連覇のメンバーとして甲子園を戦った宮本涼太。高校通算12本塁打の強打の二塁手として評判の宮本は、小学校から名門・枚方ボーイズ「小学部」に所属し、全国を経験。枚方ボーイズ「中等部」でも主力選手として活躍し、高い実績を歩んできた。そして大阪桐蔭でも主力選手として活躍するために、強い決意を持って、ベンチ入りの座を掴んできた。

中学時代、小園、藤原から学んだもの

名門の道を歩んできた野球人生 転機となった台湾遠征 宮本涼太(大阪桐蔭)【前編】 | 高校野球ドットコム
腕を組む宮本涼太(大阪桐蔭)

 小学校から名門の道を歩んできた。小学校1年4月から中学硬式の名門・「枚方ボーイズ」の小学部でプレーする。名門中の名門だが、当時の宮本はそんな意識はなかった。

「知らずに入部した形です。いざ入ってみたら、監督がけっこう怖い方でして(笑)小学校の時から根性は鍛えられていました」

 当時のポジションは投手と遊撃手。小学5年生にはAチームでレギュラーとして出場するようになり、さらには春の全国大会を経験。そして小学6年生になり、春夏と関西大会で優勝するなど、高い実績を残してきた。人生初めての全国大会は東京だった。

「バス移動で遠かったですけど、遠征自体は楽しかった思い出があります」

 そして小学校卒業後はそのまま枚方ボーイズの中等部へ入部する。入部すると、将来のドラ1が2人もいた。藤原恭大大阪桐蔭-千葉ロッテ)と小園海斗(報徳学園-広島カープ)がいた。

「藤原さんは初めて見た時はあまり分からなかったんですが、試合を観てけっこう凄い方だったので、目標にしていました。藤原さんも、小園さんも仲良くしてもらっていました」

 

 2人から学んだことは多かった。

「小園さんからは守備とバッティング、藤原さんは外野で左投げだったので守備面はあまり教わったことはないのですが、バッティング面や走塁面を少し教えてもらいました」

 小学校から全国を経験している宮本だが、下級生ではベンチ入りするのがやっと。最終学年では、レギュラーとして出場するが、先輩たちと違い、全国大会に出場することはなかった。

 それでも名門チームでレギュラーとして活躍してきた宮本の評価は高く、大阪桐蔭の誘いがあり、宮本は「ずっと行きたかったチーム」と大阪桐蔭進学を決断する。

 入学からいきなりセンバツ優勝した先輩たちと合流。坂之下晴人選手(関西大)や泉口友汰(青学大)もいて、

「いきなりセンバツ優勝を見て大阪桐蔭の入学は正解だと思いましたし、本当に先輩たちの守備力は高いと実感しました」

  レベルの高い上級生もあり、1年は夏も、秋もベンチ入りなし。1年秋の段階では、Aチームのノックに度々入るだけだった。そんな立ち位置だった宮本がなぜ2年春からベンチ入りするようになったのか。それは12月末の台湾遠征だった。

[page_break: 春夏連覇を達成して感じた先輩たちの凄さ

春夏連覇を達成して感じた先輩たちの凄さ

名門の道を歩んできた野球人生 転機となった台湾遠征 宮本涼太(大阪桐蔭)【前編】 | 高校野球ドットコム
グラウンドを駆ける宮本涼太(大阪桐蔭)

 大阪桐蔭は2017年センバツ優勝により、単独チームで台湾遠征することが決定。そのメンバーに入ればチャンスがあると考えた宮本は「死ぬ気でやろうと思いました」と今までよりも必死に練習を行った。

「秋にメンバーを外れて。チームは神宮に行ったんですが神宮のメンバーに入れなくて、甲子園が決まっている中での台湾だったので、そこでアピールしたら甲子園メンバーに入れるかなと思って、死ぬ気でやろうと思いました。それで台湾メンバーに入らせてもらって、藤原さんのケガもあってたまたま出させてもらって、そこでアピールできました」

 台湾で快打を連発し、木製バットながら20打数5安打を記録。この台湾遠征、西谷監督にとっては、レギュラー以外の選手を見出すことも目的だったと2018年の大阪桐蔭取材でも語っており、宮本らの活躍は「非常に大きかった」と振り返っている。そして宮本はこの遠征を機に、Aチームでずっと練習するようになり、ベンチ入りを狙える立場となった。セカンドに入ると、大阪桐蔭山田健太(立教大)がいた。

「ほとんど山田さんの後ろで二番目だったので、けっこう喋る機会があって、守備やいろいろな面を教えてもらいました。山田さんは本当に優しいです。怒らないですね、ほとんど。あまり怒られた記憶がないです。僕はセカンドをあまりやったことがなかったので、ゲッツーのやり方であったり、ポジショニングというのを訊いたら、優しく教えてくれたので、勉強になりました」

 そのことを後日、山田に伝えたのだが、「そうですか。僕は坂ノ下さんから教わったことをそのまま教えただけなんですけどね」と笑う。良い関係だったことが伺える。練習、練習試合でアピールを続け、2年春にしてベンチ入りを勝ち取る。初めての甲子園は別世界だった。

「甲子園という目標があって、一年の夏に出場した時はメンバーに入ってなかったので、いざ自分の足で入ってみたら普通の球場とは全然違って、観客も入って、すごいものを感じられたので、いい経験ができました」

 ただセンバツでは2打席しか経験ができなかった。

「スタメンで出たいという気持ちはあったんですけど、自分の力が足りなくて。甲子園が終わってからの春の大会では結果を出さないと、あの強いスタメンであっても勝てないと思ったので、結果にこだわってやっていこうと思っていました」

 その目標を立てた時、改めて自分に足りないところは何かと考えた時、守備力だった。

 「バッティングは自信というか持ち味としてあったのですが、守備力が弱かったので、特に守備力を鍛え直さないといけないと思ってやっていました。守備ですと、送球の確実性であったり、捕球面でのミスの少なさというところと、声掛けやポジショニングもまだまだできていなかったので、そういうところを先輩にいろいろ訊いたりしました」

 守備を少しずつ上達させ、試合に出る機会も多くなる。香川県の招待試合ではランニングホームランを放つ。

「久々にランニングホームランを打ったんですが、結果もしっかり残せたので、いい招待試合になったと思います」

 宮本も成長を見せるも、3年生達の成長も著しく、スタメン獲得はならなかった。それでもベンチ入りした経験は大きな財産となった。

「一年生の夏はスタンドで観る機会があってスタンドの雰囲気は味わえたのですが、ベンチの雰囲気はわからなかったので、自分も味わいたいと思っていました。夏ベンチに入らせてもらって、履正社の時は春夏連覇したチームでもそこまで苦しめられるということは、そう簡単に勝てないのが夏なんだなと強く感じました」

 優勝して先輩たちの凄さをどう感じたのか。

「春優勝しても全然驕りがなく満足していなくて、上を見続けた結果が春夏連覇だったと思うので、精神的にもすごい人たちだったと思います」

 こうして2年生では春夏連覇を経験した宮本。新チームでは副主将を任されることになる。

前編はここまで!後編では履正社、智辯和歌山戦での負けで感じたこと。そして夏への意気込みを伺いました!

文=河嶋 宗一

大阪桐蔭特集がスタート!!

 6月17日から大阪桐蔭特集がスタートしています。17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます。
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6月20日12時 中野波来主将 インタビュー【後編】「知られざる主将としての重圧。すべてを乗り越え、夏は大爆発を」
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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