第982回 前U-15侍ジャパン監督 清水隆行氏(元読売ジャイアンツ)インタビュー 「怖さ」は「強さ」になる vol.12019年06月10日

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「勝ちたい」より「負けたくない」



高校時代を振り返る清水隆行氏

 話の端々からは、清水氏のリアリストとしての側面が見て取れた。夢を抱いたら迷わず一直線に突き進む…のではなく、どこか冷静に客観的に自分を分析している自分もいるのだ。それは浦和学院時代から変わらない。

 「甲子園に行けたらいいな、とは思っていましたけど、『絶対に』というほどではありませんでした。なぜそんな冷めた部分を持っていたかというと、具体的に甲子園に行けるイメージを描けなかったのが一番の理由です。周囲のよく知るチームが甲子園に行ったこともなかったですし。最もイメージできたのは2年夏に埼玉県予選決勝まで行った時ですけど、大宮東に2-12で大敗してしまったので、やはりリアルにはイメージできず。これは性格や環境が影響しているのかわかりませんが、何事に対しても希望と現実の両方の見方を持っていましたね」

 だが、そこまで勝利に執着することはなくても、練習で手を抜くことはなかった。なぜなら、生粋の負けず嫌いだったから。

 「負けず嫌いでも、ちょっと違うのは『勝ちたい』より『負けたくない』という思いの方が強かったことです。失敗したくない、最悪の結果だけは出さないようにしよう、という気持ちが根底にあるので、そのためには与えられた目の前のことに対してはしっかりやらざるを得ない。さぼりたい気持ちがないわけではなかったですけど、それよりも、さぼったがために結果が出なかったら、自分の中では消化しきれない後悔が残ってしまう」



清水隆行氏

 当時は強く意識することはなかったという。しかし今振り返ると、なぜ自分が努力を続けてこられたか、わかる。もちろんいい結果に結びつけばそれに越したことはない。だが練習をしたからといって、理想の結果が保証されるわけではない。ただ、最悪の結果は避けられるのではないか。少なくとも、やることをやりきっての結果なら納得できるのではないか。とにかく悪い方向に向かいたくない。その恐怖心が、結果として「質の高い準備をする」原動力となった。

 「いろいろなところで劣っている、というのが自分の中にすごくあって。でも結果がどうなるかなんて、自分では決められない。自分が決められることといったら、できる限り練習して、やれることをやって準備するだけじゃないですか」

 著書に詳しいが、高校時代から無意識に続けていた「準備」が奏功したのであろう、清水氏はその後の大学、プロでチーム内のレギュラー取りのかかる“ここぞ”という勝負所で結果を出し続けることになる。そして自称「劣った自分」が厳しいプロの世界で成功し続けるために、さらに思考を極限にまで突き詰めることになるのだ。

 「先ほども言ったように、怖さもあれば緊張、不安もある。打率3割の好打者といえど、7割は失敗する。つまり、打席に立てばほどんどが悪い結果に終わる。それが怖い。でもプロとして野球が仕事になった以上、怖くたって打席に立ち続けなければいけまえん。怖い。でも打たなければいけない。では、どうするか」
 重要なのは、「考え方を鍛える」ことだった。

文=伊藤 亮

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プロフィール

清水隆行
清水 隆行(しみず・たかゆき)
  • 浦和学院[/team]-東洋大学-読売ジャイアンツ
  • ポジション:外野手
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