Interview

この夏は巧みな守備だけではなく、流れを変える一発長打を見せたい!小松涼馬(帝京)【後編】

2019.06.06

 今年の帝京は守備の帝京と呼ばれるが、その中で全国クラスの実力を持った野手がいる。それが2年生の小松涼馬だ。172センチ72キロという体格ながら、ミートと長打を兼ね備えた打撃と、抜群の身体能力を生かした二塁守備は大きなセールスポイントとなっている。

 後編ではキューバ遠征で掴んだ守備への手応え、そして夏に向けた意気込みに迫った。

キューバで守備の技術を進化させた

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東京代表キューバ遠征での小松涼馬(帝京)

 キューバ遠征では攻守で大活躍を魅せていた小松。首脳陣からの評価が特に高かったのは「守備」だ。キューバのグラウンドはデコボコ。きれいに整備されている日本のグラウンドと違って、イレギュラーバウンドも多く、さらに天然芝なのでなかなか打球が転がらない。多くの選手が苦労し、エラーもする中、小松はただ1人、対応をしていた。試合でも大きく跳ねた打球を軽快に処理してアウトにするプレーもあった。これには前田監督も「あれはスタンディングオベーションが出ましたよ。『よく捕ったな』とコーチ陣も言っていました」
 小松はどう意識して守っていたのか。

 「セカンドだったので、落としたら一つアウトにできるという考えを常に持って、下からという意識で、前に止めてでもアウトにしてやろうという気持ちでやっていました」

 遊撃手の成瀬脩人東海大菅生)から学ぶものも多かった。

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ガッツポーズを見せる小松涼馬(帝京)

 「成瀬さんはフットワークがすごく軽い守備が特徴で、どうボールに入っていったらいいかなど、守備に関することを聞きまくりました。成瀬さんはすごく優しくて、自分がエラーした時でもしっかり声をかけてくださって、すごく良かったです。イケメンですし(笑) 本当に憧れの先輩です」

 帰国してからは守備の心構えが変わった。
「“基本がすべてじゃない”ということをすごく意識していて、正面で捕るのが当たり前なんですが、それだけではなく、応用が役立っています」

 例えば、セカンドベース付近に打球が転がった時は逆シングルで捕球。同じ場面でランナー一塁の場面では捕球してグラブハンドトスをして、併殺を狙うなど引き出しを増やした。また練習では逆シングルが難なくできるよう、練習を繰り返した。

 「セカンドベースの近くに来たゴロを逆シングルで捕ってショートにトスするのとかを取り入れています。キューバの選手はあの動作を難なくできているじゃないですか。それは普段から練習をしていると思って、帰国してからからの守備練習はより意識するようになりました」

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この夏は一発長打で流れを変える選手になりたい

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笑顔を見せる小松涼馬(帝京)

 打撃面で勝負強さが目立つ小松はポジティブに考えるようになった。
 「チャンスの場面で楽しんで打ったりすると結果がついてくるので、その場面を楽しんでいます。また配球を読むようになり、この春では上手く行っていたと思います」

 小松のこの春、4回戦の桜美林戦ではサヨナラを決める走者一掃の逆転適時二塁打を放ったが、この場面についても「楽しんで入ることができました」と頼もしい一言。そんな小松について前田監督からの評価も高い。

 「人に好かれるし、ここ一番というところで勝負強いです。あの身体で飛ばしますからね。大きいのを打つから。身体能力が高いですよ。反応がいい。良い選手です」

 人に好かれやすいと評される小松は常に笑顔で、真面目。大阪出身の小松だが、コーチやチームメイトに話を聞くと、あまり関西人らしいところは見せないようだ。筆者もキューバ遠征から小松と接することが多くなったが、非常に礼儀正しく、優しそうな表情なのに、こんなに度胸のあるプレーができるのかと驚くことが何度もあった。

 それは帝京の人間教育があった。

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春季東京都大会での小松涼馬(帝京)

 帝京の選手は一度取材した事がある記者に対して必ずその方の下にいって挨拶を行う。小松や主将の大内智貴、キューバ遠征で取材した藤波怜央が筆者の下へわざわざ挨拶していただいた。本当に恐縮な思いだったが、嬉しい気持ちとなった。その思いを小松に率直に話をしてみると、こう答えてくれた。

 「礼儀というのは基本で、審判の方に対してもそうですし、礼儀は大切にしています。一度会った方には必ず挨拶をしていますし、大切にしています」

 ゴミを拾うことも勝負強さにつながっている。
 「ゴミを拾う。そういう小さな積み重ねが最終的に生きてくると思っているので、チームの中でもそういうことを話し合っていて、ゴミなどを拾うのはチームでやっています」

 夏へ向けて調整を続ける小松。今春も3番打者として活躍したが、この夏も守備力だけではなく、長打力も伸ばすことも課題にしている。
 「長打を打てる選手が少ないので、そこに自分が入っていって、長打で流れを変えるようにしていきたいです。目標は昨年の主軸だった田中悠我(現・法政大)さん。自分の長打一発で流れを変えるようにしたいと思っています」

 巧みな二塁守備とバットコントロールを持ち味にしていた小松は夏では一味違う活躍を見せることができるか。

文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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