ライバルたちから刺激を受け、一歩ずつ自らの足で高みを目指す!雪山幹太(早稲田大)
大事なことは自分の投球ができるかどうか
雪山幹太(早稲田大)
東京六大学野球が開催中の[stadium]神宮球場[/stadium]の朝は早い。それは1、2年生が出場する2時間だけのフレッシュリーグ戦が開催されているからだ。
リーグ戦に出場できない1、2年生にとって経験を積む絶好の場。その貴重な試合を観戦していると、気になる選手がいた。その選手は早稲田実業出身の雪山幹太だ。
2番手として登板すると、3回3分の1を投げて打者12人に対して被安打1、与四死球1、奪三振4、失点1。見事勝ち投手となった雪山投手は、「失点した後も大崩れせずに抑えられたのは良かったと思います。」と試合を振り返った。
大学野球に飛び込んで1か月が過ぎたが、11日の試合で許したタイムリーのように、甘いボールを一発で仕留められるレベルの高さを感じている雪山。だがその中でも相手が強いから受け身になるのではなく自分のピッチングすること、自分をしっかり持って投げられればいいとコメント。あくまでも自分を見失わず、地に足を付けて大学野球に取り組めているようだ。
同学年には大阪桐蔭の中川卓也や浦和学院の蛭間拓哉。先輩には徳山壮磨や早川隆久、そして主将には高校の先輩でもある加藤雅樹など錚々(そうそう)たるメンバーが揃う早稲田大。この環境については、「恵まれた環境の中で競いながら練習や試合ができる。高いレベルの中で向上心を持ってやれています。」と話す。
レベルの高い中で練習を続ける雪山は、ボールの回転数を意識して伸びのあるボールを目指している。その理由は高校最後の夏が関係していた。
より伸びのあるストレートを目指し、更なる高みを目指す
雪山幹太(早稲田大)
先輩の清宮幸太郎選手(現北海道日本ハムファイターズ)とともに2017年の選抜に出場。最高学年になってからはチームのエースとして同級生の野村大樹(現福岡ソフトバンクホークス)とともにプレー。最後の夏もシード校として西東京を勝ち抜く予定だった。
しかし4回戦の八王子戦で3番手で登板するも6対7で敗戦。雪山の早すぎる夏が終わった。「八王子戦は真っすぐを打ち込まれました。なので真っすぐが引退してからの課題でした」
ストレートを磨くため、2キロほどの重りを使って日々握力強化に努めた。試合中、雪山のストレートの球速は130キロ後半のスピードだったが、ボールにはそれ以上の力や迫力を感じる。スピードガンの数字では計り知れない部分に雪山の成長を感じ取れた。
同級生の野村の活躍を動画などで見て刺激を受けている雪山。今後について最後に聞くと、「まだまだどのスキルもダメで具体的な目標はないですが、全体的にレベルアップできればと思います。」とコメントを残した。
11日の投球を見ると、ボールもストライクゾーン近辺に集まり、まとまりがあり安定感がある。マウンドでの落ち着きにはどこか雰囲気を感じさせる。東京六大学でデビューするのはそう遠くないのではないか、と期待をしてしまった。
雪山が東京六大学野球の顔として神宮のマウンドで躍動する姿を、心待ちにしたい。
文=編集部