東京大相手に20奪三振の圧巻劇!明治大エース・森下暢仁は熱さの中に冷静さを持ち合わせていた
自身初の1試合20奪三振よりも自身の調子に納得がいかない
笑顔でベンチに帰ってきた森下暢仁(明治大)
東京六大学野球の第5週目、東京大戦に先発した明治大のエースで主将の森下暢仁。最速150キロのストレートや大きく縦に割れるカーブなどを武器に、10回を投げて打者37人に被安打6、四死球1、無失点。何よりも奪三振20という圧巻の奪三振ショーを見せた。
試合後のこの数字について本人は、「2ストライクに追い込んだら、真っすぐやチェンジアップで三振を取りに行きましたが、三振を取っている感じはなかったので思ったより多い印象です。
今日の試合は苦しい展開だったというのと、自分なりに集中していましたので三振を取っている感じがなかったと思います。早く点数を取ってほしかったので、テンポよく投げていたことがこの結果につながったのだと思います」とコメント。
たしかにこの日の森下は許したヒット6本のうち4本を3回までに許すなど、序盤から東京大打線に打たれ、ピンチを招く場面が多かった。
「立ち上がりから球がおかしかったというか、コントロールがバラバラで変化球は浮いている。カットボールでストライクを取りに行ったら打たれる。球離れが速くて変化球を投げ切れず、思った感じで投げられなかったです。」
2回には二死満塁。3回は無死一、三塁と東京大に先取点をとられてもおかしくない状況でも、森下は粘って守り抜いた。特に3回のピンチに関しては「監督からは1点は仕方ないと言われ、自分も取られても仕方ないくらいに思っていましたが、ファーストの喜田真吾がホームでアウトにしてくれて、絶対抑えないといけないと思いました。バックのみんなに助けてもらったという感じです」と、ギアを1つ上げてピンチを脱したことを明かした。
[page_break:心は熱く、頭は冷静に エース、そして主将はマウンドに立つ]心は熱く、頭は冷静に エース、そして主将はマウンドに立つ
マウンドで雄たけびを上げる森下暢仁(明治大)
その森下は4回から徐々に良くなった。「カットボールをゾーンに入れに行ったので、置きに行かずにストレートと同じようにしっかり振って曲がる位置を奥にするつもりで、投げ方を修正しました。そうしたらカットボールが指にかかって空振りをとれるようになりました。
あと悪いときは突っ込む癖が自分にはあって、試合中も監督やチームメイトにそれを言われました。なのでゆっくり足を下すつもりで投げたら良くなりました。」
2つのズレを修正したことで全身が連動し、調子を取り戻した森下。4回以降は許したヒットは2本、奪三振は4者連続を含む13個を記録した。
「一つ一つのプレーで盛り上がっていたし、流れが向こうに行きそうだったので粘りました」と東京大を警戒していたことを明かす森下は、この試合でリーグ戦初完封を成し遂げた。
「やっとできたという気持ちと、正直危ない場面もありましたし、もっとしっかりと9回で終わらせないといけないのもありました。」
調子が悪いなりに試合を作り、そして試合中に問題点を見つけ修正する。試合直後というのに非常に落ち着いた口調で話す様子からも感じられるが、冷静な雰囲気が印象的な森下。かと思えばマウンドでは雄たけびを上げる一面も持ち合わせる。
心は熱く、頭は冷静にマウンドに立つ森下は、主将、そしてエースとして大きな責任を背負う今シーズン。ドラフト候補生としても今後の活躍に目が離せない。
文=編集部