Interview

どの試合でも存在感を示す大分工の柱・今宮悠斗(大分工)! 9年ぶりの甲子園へ攻守で躍動するのみ!

2019.04.27

 念願の九州大会出場を決めた大分工。投手陣の柱がエースの日高翔太ならば、全体の柱は主将の今宮 悠斗(はると)だ。 3番打者として、速球、変化球を柔軟に対応し、広角に鋭い打球を打ち返す打撃技術の高さが光る巧打者で、好投手が集まる九州大会で8打数4安打の活躍。捕手として狙い球を外すリード、スローイングタイム1.9秒台の強肩とどの試合でも必ず存在感を示す捕手だ。そんな今宮の歩みを追った。

全力でぶつかり課題を得た2年夏の明豊戦

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左から今宮悠斗、日高翔太の大分工バッテリー

 野球を始めたのは小学3年生(大分市立判田小学校)から。小学校から捕手を始め、中学では佐伯ボーイズに所属し、ライト、捕手、投手といろいろなポジションをこなした。いろいろな学校から誘いがあった中で、大分工に進んだのは中学時代の先輩が大分工に進んでおり、大分工の話を聞くうちに興味を持ち始め、大分工の入学を決意する。

 投手として入部したが、同期には捕手が少なく、捕手経験があった今宮が任されることになった。それまで投手として活躍することを目指していた今宮にとっては驚きのコンバートだったが、次第に同期の日高翔太を見て、しっかりと日高を立ててあげていないと気づき始めた。

 日高については小学校とはチームが違うものの、「当時から有名でしたし、帰り道も一緒なので、野球のことを話したりいろいろコミュニケーションを取りながら、連携を深めていきました」と常にコミュニケーションを取りながら、1日を歩み、2年夏には背番号2をつけて夏の大会に臨んだ。

 1回戦に勝利して2回戦では優勝候補の明豊と対戦。3回裏は一時は逆転となる適時打を放った。

 「先輩たちと一緒に長く野球をしたかったですし、絶対に同点に追いつくつもりで打ちました。あの時は意識がライト方向にあったので、うまく変化球を打つことができたと思います」

 そして最も警戒していたスラッガー・濱田太貴(東京ヤクルト)に対しては「まっすぐ打たれると思ったので、変化球を中心に攻めていきました」

 エース・日高の持ち味を存分に引き出し4打数1安打に終わった。延長戦の末、敗れてしまったが、大健闘を見せた。今宮は体力面が大きな課題になったと振り返る。

 「体力が大事だなと感じた試合でした。延長戦になってばてていたというところもありますし、粘り勝たないといけないと感じました」

[page_break:主将として自覚を持ち、大舞台でも活躍できるメンタルができた]

主将として自覚を持ち、大舞台でも活躍できるメンタルができた

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ミットを構える今宮悠斗(大分工)

 そして主将に就任。主将に就任してチームを引っ張る大変さを痛感する。

 「自分が主将になるとは思っていなかったですし、それまでは先輩にただついていくだけだったのでこの立場になって改めて先輩たちは大変だったんだなと思いました」

 そこで今宮は副主将の糸永 歩斗と話し合いながらチームの課題点を見出し、チームメイトに指摘をして、少しずつ改善を行ってきた。2年秋からチームを引っ張る意識が芽生え始め、山本一孝監督はチームで行っている野球ノートの内容も変わってきたと語る。

 「今までは数行だったのが、主将になったことでチームのこと、自分のことをしっかりと書くことができるようになりました。このチームはエースの日高とキャプテンの今宮が中心のチーム。全員の意識を高めることが大事ですが、まずは2人の意識を高めることが大事だと思っていたので、だいぶ自覚が芽生えてきたと思います」

 主将として臨んだ2年秋は九州地区予選準々決勝で日本文理大附に敗れた。好投手・翁長 佳辰から二塁打1本放ったものの、「ピンチになると一気に球速が上がって、全く打てませんでした。ああいう速球派から打つことが課題となりました」

 冬場はタイミングを速く取ってコンパクトに振ることを意識。また守備では課題としていたキャッチングや得意のスローイングも見直し、甲斐拓也選手(福岡ソフトバンク)の動画を見てきた。

 「自分は低めのボールがうまく止められないので、ミットの使い方を研究して、縦に使うイメージで捕球していきました。ただなかなか止め切れていないので、ずっと追求していきたいと思っています。スローイングは動きを参考にしながら、より力強いスローイングができるようになりました」

 九州大会を目標に置いていた今宮はエース・日高をリードし、県大会で優勝。九州大会では長崎商の好投手・桝屋 優太郎から4打数2安打。6回表には「どんな形でもいいから点を取る」と2点を入れる内野安打を放ち、また日高の完封に導く好リード。

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長崎商戦での今宮悠斗(大分工)

 準々決勝の熊本西戦でも好投手・霜上 幸太郎から適時三塁打を含む4打数2安打の活躍。2試合で計8打数4安打3打点の活躍を見せた。

 今宮は「秋までは目の前のことでいっぱいいっぱいでした。今は後半勝負を意識することで、1つのプレーに一喜一憂することが少なくなり、戦い方に余裕が出ました」と語るように、落ち着いてプレーしている様子が感じられる。

 2年生の時から存在感を示していた巧打強肩の捕手はますます輝きが増し、攻守の柱となった。最後の夏へ向けて

 「まず目標だった九州大会出場は達成できました。大分は好投手がたくさんいるので、そういう投手たちが打てる努力をこれからも継続していきたいです」

 意気込んだ今宮は9年ぶりの甲子園出場へ向けて、大黒柱として攻守で躍動するだけだ。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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