Interview

進化のカギは貪欲さと責任感!144キロ右腕・吉田力聖(光泉)の転換期【前編】

2019.04.25

野球を続けることに前向きではなかった中学時代

進化のカギは貪欲さと責任感!144キロ右腕・吉田力聖(光泉)の転換期【前編】 | 高校野球ドットコム
インタビューに答える吉田力聖(光泉)

 最速144㎞のストレートを武器に昨秋から徐々に注目を集める存在となった光泉吉田力聖(3年・よしだ りき)。中学時代までは無名の選手だったが、光泉に入学してから着実にステップアップを続けている。強豪校との対戦を経て自信をつけた吉田が目指す舞台は甲子園とプロの世界だ。

 吉田が野球を始めたのは小学1年生の6月。保育園の友人に誘われたことがきっかけという、ごくごく一般的な理由だ。投手を始めたのは3年生の時。同級生が少なかったというチーム事情もあり、様々なポジションを経験する中で投手に行きついたそうだ。

 「最初は投げるだけだと思っていたので、楽しかったです。学年が上がっていくごとにストライクが入らなくて悩んだこともありましたが、自分で考えてやれるので、それを含めてピッチャーは面白いなと思いました」

 思うようにいかない時期もあったが、投手としての面白さを体感していた吉田。だが、意外にも中学で野球を続ける気持ちはあまりなかったという。

 「中学で野球をやろうという考えもそんなになかったんですけど、友達と部活を見て、『みんなで野球をやろう』という感じになって野球部に入りました」と野球を続けた理由はそこまで前向きなものではなかった。

 向日市立西ノ岡中軟式野球部での最高成績は山城地区(京都府南部)3位。当時で球速は128㎞を記録していたが、対戦する相手投手と比較しても「僕より凄いなと思うことの方が多かったですね」と自分の能力に自信を持っているわけではなかった。

 中学時代まではエリート街道とは無縁で、友人と楽しく野球をやっていた吉田に誘いの手を差し伸べる人物がいた。それが光泉高校の古澤和樹監督である。中学での指導者が京都教育大で古澤監督の後輩だったという縁があり、紹介してもらえることになったのだ。

[page_break:実力をつけだした高校1、2年生時に味わった公式戦の難しさ]

実力をつけだした高校1、2年生時に味わった公式戦の難しさ

進化のカギは貪欲さと責任感!144キロ右腕・吉田力聖(光泉)の転換期【前編】 | 高校野球ドットコム
吉田力聖(光泉)

 最初に声をかけてもらったこともあり、中学3年の秋には光泉の進学を決めていた。その一方で当初は「光泉の存在を知らなかった」という。

 光泉は滋賀県内でこそ名が知られる存在ではあるが、唯一甲子園に出場したのは吉田が生まれてから約半年しか経っていない2002年の夏。京都府で育った吉田にとってなじみがなかったのも無理はない。それでも体験に行ってみると、「明るいという印象が一番強かったです」と好感触を得ていたようだった。

 推薦で入った吉田だが、即戦力として入ってきたわけではない。
 「軟式出身なので、最初の1年間は硬式慣れしている選手たちに追いつくというのがまず僕の中でありました。最初から球速は速くなかったので、どうしたらこの中でやっていけるのかと考えながらやってきました」

 1年秋にベンチ入りはしたが、その時の立場はブルペンキャッチャー。当時はまだ試合に出る戦力としては活躍できていなかった。

 それでも秋の大会が終わった後には「強いところとやらせてもらっても自分の球が通用しましたし、そこでやれるかなという手ごたえは掴み始めました」と徐々に台頭。2年春には初めて背番号1を貰うことができ、球速も140㎞を超えるようになっていた。

 2年生にしてエースとなった吉田だが、春、夏ともにチームは初戦敗退。公式戦で勝つことの難しさを痛感させられた。

 「公式戦で勝てないのは悔しかったですし、春は背番号1を付けて1回戦で負けてしまったので、本当に背番号1の重さも感じました。マウンドに立つ以上はチームの責任を背負って投げるくらいの気持ちじゃないと勝てないのかなと改めて思いました」

 前編はここまで。後編では新チームとなり、エースとして吉田投手は練習で何を考えて取り組んでいたのか。そしてあの最新テクノロジーとの出会いは吉田投手にどんな影響を及ぼしたのか。後編もお楽しみに!

文=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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