貫いてきたU-18代表への思い スーパーキャッチャーとして集大成を見せる！ 小山 翔暉（東海大菅生）【後編】
全国屈指の強肩強打の捕手・小山 翔暉（東海大菅生）。昨夏の敗戦は捕手としての実力を見直す機会となった。最上級生となり、チームを引っ張る立場となった小山はいかにして成長を見せていったのか。
ライバルと先輩から刺激を受け続けた野球人生 小山 翔暉（東海大菅生）【前編】
相手打者視点のリードで成長を実感
小山翔暉（東海大菅生）※写真は昨秋の国士舘戦
2年夏の負けからリード面の重要性を改めて見直した小山。捕手のリードというのは何を主体においてリードすることが大事になる。投手目線なのか、相手目線なのか。小山の答えはこうだ。
「最初は投手の良いボールを投げさせることを主体においてやっていました。今は打者の反応、打つポイント、見逃し方を見ながら、次のボールを考えていたので、そうすることで相手の裏をかくリードができるようになりましたので、そういう意味では大きかったと思います」
相手打者に目線を置くことで、リードの幅が広がったのだ。こうして捕手として自信を深め、秋の都大会に臨み、準優勝。しかし自身のパフォーマンスには納得していない。
「自分のミート力の高さを発揮できませんでしたし、打率（.286）も出塁率（.423）も、満足いくものではなかったです。決勝までいったんですけど、体力がもたなかったということもありますし、バットが振れていなかったですね」
秋の反省を踏まえ、振る体力を身に付けることをテーマに、夜の練習でもひたすらバットを振り込んだ。それが実ったのは東京代表として参加したキューバ遠征だ。小山は捕手・外野手で全5試合でスタメン出場。1週間単位で試合がある都大会と違い、キューバ遠征は5日連続で試合。特に第5戦は疲労もピークの中、決勝2ランを放った。
キューバ遠征で日本の初勝利を呼び込むホームランを放ち笑顔を見せる小山翔暉
「秋の大会後に取り組んできた振り込みが生きているかなと思いました」と振り返った小山。また木製バットへ向けての取り組みも生きてきた。
「木製バットは芯に当たらないと飛びません。ただ、当てにいっても飛ばないので、フルスイングすることを心がけました。
また相手投手もボールが速いので、振り遅れないように、トップを速めに作って速く出すことを意識してやっていました。最後に良い形でホームランを打つことができたと思いました」
勝負強くなれと若林監督に説かれていた小山は東京代表の初勝利を呼び込む大きな本塁打を放ち、選手として大きな成長を見せた。
すべてにおいて成長し、日本一のキャッチャーへ
春季大会の二松学舎戦での小山翔暉（東海大菅生）
キューバ遠征を経験した後、小山は守備面で磨き直した。まず最も武器にするスローイング面で工夫していることとは。
「強いボールを投げても、ベースからずれてしまっては意味がないので、ベースを目掛けて投げることを意識しています。またステップの使い方を見直していて、甲斐選手の動画を見て、左足を一歩出すことで、捕ってから投げるまでがよりスムーズになりました」
その証拠に練習試合・公式戦ではただ二盗を刺すのではなく、二塁走者・一塁走者を牽制で刺すなど、肩でチームの危機を救うプレーを見せてきた。
キャッチングとブロッキングも磨き直してきた。
「ブロッキングに関しては苦手で、何度も後ろに反らして、投手にも迷惑かけてきました。時間があれば、ブロッキング練習をしていました。」
また、投手から信頼を受けるためにキャッチングも磨き直した。
「マシンでボールをずっと受けてきて、意識して鍛えてきました。また一流捕手の方々の動画を見ると共通しているのが、しっかりとミット止めて、また捕球時にミットが下がっていないこと。個人的には手首を動かしすぎないように意識しています」
その成果は春先の練習試合から見えている。暁星国際戦で小山は、ランナー三塁の場面でもパスボールの可能性があるチェンジアップを果敢に要求しているのだ。
U-18入りを目指して小山翔暉（東海大菅生）は集大成を見せる！
実際にそれを止めて、三振に打ち取っている。142キロ右腕の藤井翔は回転数が高い120キロ後半の縦スライダーを投げるが、「小山さんはしっかりと捕球してくれるので、投げていて安心感があります」と強く腕が振れる要因となっている。またそれだけではなく、マウンドへ寄りながら投手を励ます姿も見られる。
小山の捕手としての成長が東海大菅生の投手陣の成長にも大きく相関しているのだ。
目指すは甲子園出場と日本一のキャッチャーだ。この冬場も木製バットで練習を行い、金属バットと同じくさく越えができている。
さらにU-18代表入りすることを目標に掲げた小山。だからこそ同世代の捕手に負けたくない思いは誰よりも強い。
「同世代だと近江・有馬君、智辯和歌山の東妻君が活躍しているので、春では2人に負けない活躍はしたいと思っています。U-15代表に入ったときは次はU-18代表と思っていました。だからU-18代表に対する思いは人一倍と思っています」
日本代表になることを強く誓った小山。甲子園出場を達成すれば、その目標は現実味が増す。ライバルが非常に多い西東京を勝ち抜くためにも、心技体すべて充実させ、小山 翔暉の集大成を見せていく。
文＝河嶋 宗一
