Interview

今春の選抜の顔・来田涼斗(明石商)!今、明かされる小・中学時代の伝説!【前編】

2019.04.14

 今春のセンバツ大会で4強入りを果たした明石商で、不動の核弾頭を務めた来田涼斗(2年)。4試合で残した数字は14打数5安打8打点、打率.357。準々決勝の智辯和歌山戦(試合レポート)では先頭打者本塁打&サヨナラ本塁打を記録。春夏を通じ、史上初の快挙を達成し、注目度をさらに高めた。ここではセンバツ大会直前に敢行した来田選手のインタビューを紹介したい。

進化を後押しした7キロの増量

今春の選抜の顔・来田涼斗(明石商)!今、明かされる小・中学時代の伝説!【前編】 | 高校野球ドットコム
来田涼斗

 「おまえ下宿生なんやから、おれに先に取材受けさしてよ」
 「わかったよ。ほんならおれ後でええわ」

 兵庫県明石市に位置する明石商業の練習グラウンド。すべての練習メニューが終了し、明石商の投打の主軸を務める新二年生コンビ、中森俊介投手と来田涼斗選手の両名に各々インタビューをおこなえる運びになっていた。順番の決定権を二人に委ねたところ、「中森は学校の近くに下宿している。家に着くまでに時間がかかる通学生の自分が先に取材を受けるべき」という来田の主張が通る形となり、してやったりの笑顔を浮かべながら16歳の逸材核弾頭はやってきた。

 「よろしくお願いします。来田です。家までの通学時間ですか? ここから50分くらいです!」
 昨年の秋に比べ、筋肉量が増したことが一目でわかる来田の厚みのある体に思わず見惚れてしまった。聞けばオフシーズンの間に7キロの増量に成功したのだという。

 「朝、昼、夜に二合ずつ、1日計6合の米を毎日食べてました。夜寝る前にもダメ押しでインスタントの焼きそばなどを食べたりして。秋に75キロだった体重は82キロになりました」

 ウェイトアップの効果は春の到来とともに「強く実感できました」と来田。
 「打球のスピード、飛距離が明らかに変わりましたし、肩がさらに強くなった感覚があります。遠投力は去年までの100メートルから変わっていないかもしれませんが、以前よりも球が伸びるようになり、低い弾道で投げても、目標位置に届くようになりました」

 高校入学時に177センチだった身長は現在179センチ。ボディは縦にも依然、成長中だ。
 「まだ身長は止まっていないはずです。高校を卒業するときには181、2センチくらいになっていてほしいですね」

 憧れのプロ野球選手はソフトバンクの柳田悠岐。来田は「柳田選手が広島経済大学でプレーしていた頃からすごいなと思っていました」と笑顔で語った。
 「小学生の時、たまたま動画サイトを見ていたら、すごく豪快で魅力的なスイングをする選手がいて。それが大学生の柳田選手でした。その後、プロに入って活躍するようになってから『あの時のすごいスイングをする選手じゃないか! やっぱり出てきたのか!』と。そこからずっと好きですね。あの強いスイングにあこがれます。ああいう凄いスイングができるバッターにぼくはなりたいです」

[page_break:「盗塁死ゼロ」で駆け抜けた小、中学時代]

「盗塁死ゼロ」で駆け抜けた小、中学時代

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昨秋の龍谷大平安戦での来田涼斗

 兵庫県神戸市で生まれ育った来田涼斗。3歳上の兄が所属していた地元の軟式少年野球チーム「伊川谷キングスターズ」に入部したのは小1の時だった。
 「同学年の中でも体はずっと小さい方だったんですけど、小5くらいから大きくなり始め、ホームランも打てるようになりました。小6の時のポジションはショート兼ピッチャーで、打順は1番か3番。足も速かったので盗塁はしまくってましたね」

 6年生の時にはオリックスバファローズジュニアの一員に選出。ハイレベルな大会を体験し、結果を残せたことが大きな自信につながった。
 「野球を始めて以来、漠然とした夢に過ぎなかったプロへの思いが強くなったのはこの頃だったと思います」

 長坂中ではヤングリーグ所属の硬式クラブチーム「神戸ドラゴンズ」でプレー。主に3番・センターとしてチームをけん引し、2年夏には全国大会優勝を経験。通算25本塁打、打率5割超えをマークした。

 ヘッドスピードは中3の時点で「149キロ」を記録。スイングスピードの鋭さは中学球界において出色の域に達していた。
 「小学6年生の頃から、スピードとパワーを体に刷り込むイメージで重いバットを100回振った後に軽いバットを振るという流れの素振りを続けてきました。もしかしたらそれがスイングスピードの速さにつながったのかもしれません」

 中2の時点で6秒4だった50メートルタイムは中3になると6秒1を記録。盗塁を量産する一方で、盗塁を試み、アウトになった経験は中学3年間で一度もなかったという。

 「よく考えたら、小学校の時も一度もアウトになってないです」
 「ということは、小1で野球を始めてから高校に入るまで盗塁でアウトになった経験が一度もなかったということですか…?」
 「そういうことになりますね」

 誇った様子など一切なく、サラリとそう語った来田。逸材感満載の佇まいが強く印象に残った。

 前編はここまで。後編では明石商入学のキッカケや昨夏の甲子園の経験。そして将来の夢について語ってもらいました。

文=服部 健太郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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