チームの勝利に貢献したい

笑顔を見せる千葉英太(トヨタ自動車東日本)
「やはり大きな大会で先発を任されたのは責任感を感じつつも、楽しさもありました」と意気込んだ千葉は岩手県一関市出身で、3月11日にマウンドに登ることに特別な思いも感じていた。
「その時の記憶は鮮明にあります。震災当時、小学校が壊れてしまい、登校ができず、水もなく、電気も止まり、大変な思いもしました。だから登板日がその日と被るのは何か縁があります」
相手は社会人野球トップクラスのNTT東日本。「挑戦者のつもりで、できるだけ相手の名前を気にしないよう投げていきました」と心がけたつもりだったが、いきなり初回、5番保坂 淳介(2年目・中央大)に3ランを浴びる。
「打たれたのは高めでも、真ん中でもなく、低めのストレートです。これを本塁打にするんだ」と驚きを隠せなかった。
徐々にNTT東日本の打線が牙をむき、4回途中まで投げて6失点で降板。悔しい結果に終わり、「調子自体は良くて、ストレートの走りもよかったのですが、コーナーに攻め切れないところが課題となりました」と振り返った。
だが、1年目はケガで何もできなかったことを考えれば、大きな前進である。それだからこそ今年にかける思いは強い。
「去年はチームに何も貢献ができていないので、自分のピッチングするというよりも、まずチームの勝利に貢献できるピッチングをしていきたいと思います」
ここから高い社会人野球の壁を感じることがあるだろう。その壁を突き破るために努力することを喜びと変え、2年連続の都市対抗出場へ欠かせないピースとなるのか。
文=河嶋 宗一