チームの完全優勝を引っ提げて支配下でNPB入りへ 安井勇輝(徳島インディゴソックス)
四国アイランドリーグに所属する、徳島インディゴソックス。昨年のプロ野球ドラフト会議で、鎌田光津希投手が千葉ロッテマリーンズに育成1位指名され、これで6年連続でNPBドラフト指名選手を輩出となった同チームには、今年もドラフト指名に期待が懸かる選手がいる。
それが、徳島での2年目を迎える安井勇輝だ。独立リーグ屈指の強烈なパワーを持つ安井は、山形の名門・東海大山形の出身で、大学時代は多くのプロ野球選手を輩出した実績を持つ近畿大で4年間を過ごした。大学時代は大きな活躍を見せることができなかったが、プロ野球選手の道を諦めきれなかった安井は、独立リーグの道を選択して今年で3年目を向かえる。
今シーズンをラストイヤーと位置付けている安井は、NPB入りに向けてどんな意気込みを持っているのか。現在の心境に迫った。
NPBでも通用するパワーが最大の持ち味
トレーニングに励む安井勇輝(徳島インディゴソックス)
今年、徳島インディゴソックスの主将を任された安井は、1年前に愛媛マンダリンパイレーツから徳島インディゴソックスに移籍してきた。身長188cm、体重100kgと、屈強な体格から放たれるパワフルな打撃が持ち味で、パワーはアマチュアでもトップクラスのものを持っている。
安井は徳島インディゴソックスでの1年目を振り返り、まずチームの雰囲気や環境面において、とても野球がやりやすい環境があることを強調して感謝を示した。
「野球をする雰囲気がすごく良くて、常に前向きで明るいチームですね。インディゴコンディショニングハウスというジムもあり、本当に野球のやりやすい環境があります」
そんな中で安井は、持ち味である「パワー」を昨年の1年間でさらに向上させることが出来たと話す。インディゴコンディショニングハウスでは、野球のプレーに即したトレーニングメニューもが組まれており、持ち前のパワーにさらに磨きがかかったのだ。
「体の瞬発力を挙げるトレーニングをやっています。主に行っているのは、デッドリフトやクリーンで、回数をこなすよりは、重い重さを1発で上げるトレーニングをやっていますね。スイングも一瞬なので、長くやるよりは瞬間的な力を重視してやっています」
そんな安井のパワーは、今年から徳島インディゴソックスの監督に就任した牧野塁監督も認めるところだ。オリックスや楽天などで投手として活躍した牧野監督は、安井のパワーはNPBでも通用するものを持っていると語る一方で、NPBにいくためのポイントは実戦での打撃にあると話す。
「彼のウリはやっぱりパワーです。飛ばせる飛距離は十分NPBでも通用するものをもっています。
あとはゲームの中でバッティングが、NPBに行けるかどうかのポイントになります。追い込まれた状態でどういう対応をするか、厳しいコースのボールや落ちる変化球に対してどんなバッティングをするか、そこが大事だと思いますね」
フリーバッティングやロングティーでは、チームメイトも唖然とさせるほどの飛距離を誇るが、昨年の公式戦では本塁打を放つことが出来なかった。牧野監督も語る、実戦での対応力が身についてくれば、NPBの扉が少しずつ見えてくるだろう。
NPBへの挑戦は今年がラストチャンス
守備練習中の安井勇輝(徳島インディゴソックス)
また安井自身は、守備力にも課題があると語る。自信を持っている長打力に磨き続けた一方で、これまでは守備練習の時間をあまり取ることが出来なかった。
この冬は、ウィークポイントの一つになっていた守備力にも力を入れたことで、守備力の向上に成功。より穴のない選手へと成長を遂げた。
「これまで守備をしてこなかった訳ではないですが、本当にバッティングばかりでした。冬場は守備にもけっこう時間を取って取り組んだので、下手くそから並みくらいにはなりました。そこの成長も見て欲しいなと思いますね」
そして今年からキャプテンに就任したことも、安井を語る上で欠かせないことだ。昨年も、チームのムードメーカーとして存在感を見せていた安井は、そのキャラクター性とリーダーシップを買われて、キャプテンに指名されたのだ。
練習中も、練習中以外でも、多くの選手から慕われている様子の安井は、これから立場が変わることに強い自覚を見せる。
「これまでは個人の結果を重視していけば良い立場でしたが、今年からはチームの結果も意識しないといけません。
やっぱり先頭に立つので、自分の結果が悪くても、自分が先頭に立って、一番声を出して、下を向かずに前を向いて、みんなが前を向くように頑張っていこうと思っています」
実は安井は、今年がラストシーズンと決めている。今シーズンに向けて並々ならぬ思いを持っているのは、NPBへの挑戦は今年がラストチャンスだからだ。
四国アイランドリーグの2019年のシーズンは、3月30日に開幕する。安井にとっての挑戦も、いよいよ始まるのだ。最後に安井は、今シーズンに向けて力強く意気込みを語った。
「個人の目標はNPBに支配下で入ることで、その中でチームの目標として完全優勝を掲げています。前期も後期もグランドチャンピオンシップも全部優勝して、最終的にNPBに支配下で入りたいと思います」
その類まれな長打力が、2019年に大きく花開くことに期待大だ。
文=栗崎 祐太朗