Interview

「みんなの喜び」のため、日本一にチームを導く! 河野 佳(広陵)

2019.03.24

 センバツ大会第4日第2試合で昨秋東北王者・八戸学院光星(青森)との初戦を戦う昨秋の中国大会チャンピョンの広島広陵(広島)。豊富な4人の投手陣の中で中井 哲之監督が「現段階では中心」と明言するのが最速148キロ右腕の河野 佳(かわの けい・3年)である。

 センバツ4度目の優勝を狙い、野村 祐輔(広島東洋カープ)、有原 航平(北海道日本ハムファイターズ)などプロ野球で活躍を続ける投手たちも背負った名門のエースナンバーを背負う河野の胸に今、去来し決意するものとは?冬の取り組みや将来の夢も含め語ってもらった。

「質のよいストレート」を求めて

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インタビューに答える河野投手(広陵)

―― 河野投手にとっては昨年夏に続き、センバツが2度目の甲子園になります。まず、秋の結果を踏まえて、自身がここまで取り組んできたことを教えてください。

河野 佳投手(以下、河野)  秋はフォームが定まらない部分があったので修正をしてきました。同時に理想のフォームにするには下半身の筋力が足りなかったので、走ったり、タイヤを引いたりウォーターバックをかついだりして強化に力を入れました。
 上半身はチューブを使ってインナーマッスルを鍛えたり肩甲骨回りのストレッチを続けてきて、肩甲骨の可動域も広がって柔らかくなってきています。だから今のフォームはビデオを見ても秋のフォームに比べて変化を感じますし、秋はまだ「力を抜くコツ」というものが理解できていなかったのですが、今は6~7割の力でも質のいいストレートが行くようになったと思います。

―― 「質の良いストレート」は自分の中でもこだわっている部分ですか?

河野  はい。自分の強みである強さと柔軟性、マウンド度胸を活かしながら、打者から見てストライクと思って振ったらホップするようなストレートを投げたいです。

―― 昨秋明治神宮大会で悔しい敗戦(0対9、7回コールド)を喫した星稜(石川)の奥川(恭伸・3年)投手のストレートは、河野投手にとっても理想形に近いのでは?

河野  自分はあの試合で打席には入っていませんが、ベンチから見ていてもストレート、変化球すべてが自分とは比べ物にならない。力感がなく軽く投げている感じでも、スピードガンを見ると140キロ後半。「これはすごいな」と思いました。
 それに対して僕は二死満塁から登板して、たれ気味のストレートで押し出しにしてしまいました。その悔しさが冬の練習につながりました。

[page_break:ライバルたちとの切磋琢磨の中で/「一戦必勝で」センバツ制覇へ]

ライバルたちとの切磋琢磨の中で

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投球練習をする河野投手

―― その秋ですが奥川投手ばかりでなく、広島県大会から接戦を勝ち抜いています、中国地区大会準決勝では創志学園・西 純矢投手(3年)との投げ合いもありました。改めて秋を通じで学んだことはありますか?

河野  昨年夏の広島大会や甲子園で数多く投げさせて頂いたことでマウンド度胸、「強い気持ち」をつけることができました。それがあったからこそ、秋には試合を通じて投げる体力もついたと思います。
 中国地区大会準決勝は途中まで1対0の試合でしたが、2回に点を入れてもらった後は「自分が点を与えなければ勝てる。このまま守り切ろう」と思え、すごく集中できていました。中学時代(広島南リトルシニア)から(ヤングひろしま出身の)西(純矢)とは対戦経験があったし、スピードが違うのも分かっていたので球場のスピードガンにも気を取られることはなかったです。コースを突く自分のピッチング(8回4安打無失点でコールド勝ち)ができました。

―― センバツをかけた大事な試合でそんな心境になれたのも、夏の経験が大きかったのですか?

河野  はい。そう思います。加えてウチには右左タイプの違う投手がいるので、日ごろから油断していたらすぐ抜かれてしまう。お互いに言うことはありませんが、プレーや試合を見たらライバル意識は伝わってきますし、練習からみんな意識高くやっていますし、僕も負けないようにやっています。

「一戦必勝で」センバツ制覇へ

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中井監督を胴上げしたいと語る河野投手

―― チームの話もしていきましょう。河野投手の目から見てチーム全体はこの冬、どのように成長していると思いますか?

河野  星稜の奥川に手も足も出なかった秋の後、野手のみんなはすごく振り込んでくれていました。だから、今年に入ってからの紅白戦でも秋とは全くスイングスピードが違う。
 僕が主力組相手に登板しても、最初こそ目が慣れていなくて空振りを取れたんですが、試合を重ねるたびに当てるスイングをせず、三振をしない打線になっていきました。そこは頼もしいですし、もう一度、星稜と対戦したとしても今度は接戦に持ち込めると思います。

―― やはりそこに至るまでには、中井 哲之監督の教えも大きいのですか?

河野  中井先生は裏表のない方で一般生徒からも慕われてる先生。いつも「親に感謝しろ。どんな時でも感謝の気持ちを持て」と教えて頂きますし、一度個人面談をした時も「幸せとは人のために費やす時間」という言葉を教えて頂きました。僕らメンバーには「メンバーの勝利が控えの喜びになる」というミーティングもしてもらいました。その言葉を思い出すと「頑張ろう」という気持ちになれます。

―― いよいよセンバツの試合も目前です。最後にチームと河野投手個人の大会目標を聞かせてください。

河野  チームの目標は日本一ですが、まずは目の前の敵を全員で、一戦必勝で倒したい。個人としては先発として投げて勝ちたいこだわりはありますが、チームが勝つためのピッチングができたらいいと思います。その日本一の瞬間にはマウンドに立っていたいですね。
 そして、夏も広島広陵がまだ獲っていない日本一になって、中井先生に結果で恩返ししてみんなで喜びたい。3年生全員で中井先生を胴上げするのが僕らの夢であり目標なので、それに向かっていきます。

―― センバツでの夢実現、期待しています。今回はありがとうございました。

河野  ありがとうございました!

文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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