Interview

秋のチーム本塁打王!大型打者・薮田 源(明豊)が化けた思考の転換

2019.03.15

 今年の明豊では秋から最も飛躍的に成績を伸ばした野手といえば、大型スラッガーの薮田 源だろう。187センチ80キロと恵まれた体格を生かした長打力を秋季大会では存分に発揮し、公式戦9試合で3本塁打。そのうち2本塁打がバックスクリーン弾を放った。

 昨夏までほとんど公式戦での出番がなかった薮田はなぜ化けたのか?指導に携わった川崎監督からも話を聞き、成長の秘密に迫る。

指揮官のアドバイスを飲み込み、長打力開花へ

秋のチーム本塁打王!大型打者・薮田 源(明豊)が化けた思考の転換 | 高校野球ドットコム
素振りをする薮田源(明豊)

 川崎監督が昨秋、新チームスタート時にアドバイスしたのは「コンパクト化」だ。

 「体格を見れば、無駄に力を入れなくてもスタンドまで飛ばせる選手なのですが、本人はさらに遠くに飛ばそうとして無駄な反動をつけている。意識が120メートル、130メートル飛ばす意識なんですよね。そうではないよというところから指導を行いました」

 薮田は川崎監督の言葉を聞いて、どう意識を改めたのか。
 「自分は今まで軸足(右足)に体重が乗らず、突っ込むことが多かったんです。右足に体重を乗せて、ボールに対して最大限の力を伝えられるようにしていきました。また、上からこすって回転を与えるイメージだったのですが、ボールを乗せるイメージで打つようになりました」

 打撃スタイル変更はすぐに結果として現れる。

 秋の九州地区予選では大分上野丘戦で公式戦初本塁打。なんとバックスクリーンに打ち込んだ。続く大分戦でもバックスクリーン弾を放ち、長打力を開花させた。この本塁打について、
 「打席前では配球を絞り、ただそれに縛られてもいけないので、来た球を反応しようと思いました。本塁打を打った時のボールはちょうど自分にとって狙い通りのコースだったので、うまく反応して打つことができました」

 そして九州大会準決勝・日章学園戦では満塁本塁打を放つ。この場面について、三塁手・野邊 優汰からの一言が大きかった。

 「この試合、ゴロばかりで、野邊から「当てにいっているから思い切って振りにいけ」といわれて、思い切って振っていったら、スタンドインしてくれて嬉しかったです」

 公式戦で3本塁打。この秋は練習試合を合わせて6本塁打を打ち、通算11本塁打に乗せ、成長の秋となった。だが、薮田は秋の打撃内容には満足していない。

[page_break:さらなる進化へ打撃フォームも改造中!]

さらなる進化へ打撃フォームも改造中!

秋のチーム本塁打王!大型打者・薮田 源(明豊)が化けた思考の転換 | 高校野球ドットコム
左:2年生秋までのバッティングフォーム 右:今のバッティングフォーム

 薮田は3本塁打を放ったものの、打率は3割(打率.281)を残せず、確実性が課題となった。秋よりも打率、本塁打を打てるスラッガーになるために。薮田は打撃技術を突き詰めている。

 「秋の反省は、速い投手になるほど打ちたいと思って、自分の欠点である体が突っ込む癖がありました。まず修正したのはステップで、すり足気味から、始動を早めて、しっかりと足を上げるようになりました。またコンパクトな打法だったんですけど、より強い打球を求めるのならば、フォームの変更は必要かなと思いました」

 冬の練習期間中、グリップの位置を上げたり、下げたりと試行錯誤を続けた結果、ヤングリーグ・大分ブレーブス時代の打撃フォームが一番しっくりきた。
 「中学時代の打撃フォームとボールを乗せる感覚を打つことで練習では飛距離も出てきました」

 打撃練習では手ごたえをつかみ、チームの紅白戦でも二塁打を打つなど新フォームの完成度も高まっている。

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バットを担いでポーズをとる薮田源(明豊)

 初の[stadium]甲子園[/stadium]が近づいてきた。達成したい目標は1つ。
 「甲子園でホームランを打つことです」

 秋で恵まれた長打力を発揮した薮田。甲子園では1学年上の先輩・濱田太貴(東京ヤクルト)のように大観衆を熱狂させるアーチをかけることができるか。

文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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