Interview

「近藤の力が絶対必要です」最上級生を魅了した人間力 近藤大樹(西日本短大附)vol.2

2019.03.15

 今年の西日本短大附について西村慎太郎監督に聞くと「非常に楽しみなチーム」という答えが帰ってきた。その楽しみなチームの中心にいるのが、近藤大樹だ。

 西日本短大附を17年率いて、2度の[stadium]甲子園[/stadium]出場に導いている西村監督をして「稀に見るキャプテン」と言われる近藤について紐解いていく。vol.2の今回は、U-15日本代表での経験や西日本短大附への進学理由、そして入学直後の夏の大会で、1年生ながらベンチ入りを果たした裏側に迫った。

◆名将も認める「稀に見るキャプテン」 近藤大樹(西日本短大附)vol.1

人間としての成長を求めて西短へ進学

「近藤の力が絶対必要です」最上級生を魅了した人間力 近藤大樹(西日本短大附)vol.2 | 高校野球ドットコム
近藤大樹(西日本短大附)

 近藤は、中学時代は嘉麻ボーイズ(かまボーイズ)でプレーをしU-15日本代表にも選ばれている。当時のU-15のチームメイトは、及川雅貴(匝瑳リトルシニア→横浜)、宮城大弥(宜野湾ポニーズ→興南)など錚々(そうそう)たるメンバーである。その中で1番遊撃手として攻守に存在感を示していた。

 近藤は、U-15日本代表での経験を振り返り、高校野球へ活かされていることや日本代表だった仲間への思いを口にする。
 「まだ自分は[stadium]甲子園[/stadium]には行けていませんが、仲間の活躍はすごく刺激になっています。絶対[stadium]甲子園[/stadium]にいって戦いたいなと思います。
 また、U-15での緊張感を味わったことで、高校野球でも落ち着いてプレーできると感じています」

 西村監督は、そんな嘉麻ボーイズ時代の近藤を見た時をこのように回想している。

 「周りの選手に声をかけている姿や、いつも気持ちを抜かない姿勢、野球に取り組む姿勢を見て惚れました」

 日本代表ともなると、当然ながら数多の高校から勧誘を受けるが、近藤も例外ではないかった。そんな中で近藤は、多くの高校の中から西日本短大附への進学を選んだが、ここにも近藤の人間力が表れた理由があった。

 「監督と話して、西短(にしたん:西日本短大附属)は野球だけじゃないことを聞きました。野球する前に、私生活や一人の人としてしっかりしないといけないと言われて、自分もそういう人になりたいと思い決めました」

 近藤は、中学時代から試合だけでなく練習態度まで一貫した取り組む姿勢を見せていたのが分かる。近藤の高い人間力は、この時に土台が出来ていたのである。

[page_break:高校入学とともに、先輩にも認められて掴んだベンチ入り]

高校入学とともに、先輩にも認められて掴んだベンチ入り

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近藤大樹(西日本短大附)

 西日本短大附は、ベンチ入りメンバーを投票で決める。背番号1番から9番までは2点。10番から20番までは1点として、選手一人一人が監督になったつもりで投票するのである。最後にその点数の合計数が多い人が、背番号を貰えるのである。

「近藤の力が絶対必要です」最上級生を魅了した人間力 近藤大樹(西日本短大附)vol.2 | 高校野球ドットコム関連記事
メンバー決めは投票制! 西村 慎太郎監督(西日本短大付属)

 近藤は1年生の夏の大会で、投票を通して背番号を貰っている。当時のチームは九州大会にも出場し力のあるチームだった。いくらU-15日本代表選手だからといって、3年生を押しのけて、1年生がベンチ入りを果たし、試合に出ることは容易でないのはよく分かる。

 「やっぱり彼の生き方だったり、考え方だったり、人間性を含めて、先輩たちもが認める人材だったんですね。また、それにおごることのない近藤見て『俺たちもあれに習っていかなきゃならんな』という雰囲気で、チームがどんどん変わっていきました」

 近藤を認め、そして1年生にして近藤がチームに好影響を与えていたと西村監督が話してくれた。

 もう1つ、近藤を人間力を表すエピソードを紹介したい。

 チームに認められ、1年生でベンチ入りを果たした近藤。すごいとは言えまだ15歳である。周りは3年生ばかりである。西村監督とすでに2年半の信頼関係を気づいてきた3年生との間では、グランド上では野球を通して激しい心のぶつかり合いが行われている。その状況に近藤がついてこれるか西村監督は気にして、何度か近藤に「大丈夫か?」と声を掛けている。

 すると、近藤は「監督さんが何を言われているかを必死に考えようとして聞いています」 と言ったという。

 この時を西村監督は、
 「『この人は何を伝えたいのか、何を求めているのか』というのを冷静に聞くような。それが15歳で出来ていたんですから、ちょっと違うなぁ。どっちが年上だかわかんなかったですね」と笑いながら当時を回顧している。

 近藤は、3年生の中に入った状況でも自分を見失わずに相手の真意を確認していたのである。浮足立たないで、これだけの返答ができるのは、近藤が常日頃から自分をもち、しっかりと地に足を付けているからに他ならない。どんな状況でも裏表がなく真摯に物事に取り組んできたからこそ言える言葉である。

 「3年生全体が『近藤の力が絶対必要です!近藤をまず入れましょう』と投票してきたもんですから、近藤は、ちょっと稀に見るタイプかなと思いますね」

 そう、西村監督に「稀に見るキャプテン」と言わせる人間力は、すでに1年生の頃から発揮されていたのである。

vol.2はここまで。最終回となるvol.3は、近藤が乗り越えようとしている現在の課題や最後の夏に向けた意気込みを伺いました。vol.3もお楽しみに!

文=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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