憧れは鈴木誠也。センバツでも絶対的なクラッチヒッターへ 水谷祥平(龍谷大平安)【後編】
2年次から[stadium]甲子園[/stadium]出場を果たした水谷祥平。前編では昨夏の[stadium]甲子園[/stadium]での鳥取城北戦までを振り返った。後編では、もっとも印象に残っているという日大三戦の当時の状況を振り返ってもらい、今年の選抜への意気込みを語ってもらった。
5年前の選抜優勝がきっかけで龍谷大平安の門を叩く!! 水谷祥平(龍谷大平安)【前編】
主将としての責任感を胸に戦う
選抜注目の水谷祥平(龍谷大平安)
「一本もヒットが打てなくて、レベルを痛感しました。守備や一人一人の振る力が上だったのかなと思いました。負けた瞬間は自分がチームを引っ張るという風に思いましたね。絶対にここに帰って来てやろうと思いました」
こうして新チームでは主将に立候補。しかし、レギュラーとして残っていたのが水谷と北村涼(新3年)しか残っていなかった。不安要素の多い新チームだったが、水谷はどのようにして引っ張ってきたのだろうか。
「初めて試合に出る者が多い中、練習の中で覚えることがたくさんありました。自分が伝えられることはどんどん伝えていこうと思って練習に取り組みましたし、コミュニケーションは大切にして秋の大会には臨みました」
数少ない旧チームからのレギュラーとして自身の経験を精力的に伝えてきた。水谷の奮闘もあり、試合を重ねるごとにチームは着実に成長を遂げていく。
そして水谷には主将だけでなく、もう一つの変化があった。それは打順が1番から4番に変わったことである。
「1番だと自分が出れば点を取れるような打線でした。逆に今は自分が前のバッターが僕に繋げば点が取れると思ってもらえるようなバッターになりたいと思います」と意識の変化を語る。
秋の公式戦では10試合で打率.447、2本塁打、13打点と大活躍。チームも京都大会3位から近畿大会を制し、センバツ出場に当確ランプを灯した。名実ともにチームの絶対的存在である水谷はどのようにして勝負強い打撃を手に入れたのだろうか。
「一球への集中力です。やっぱり試合になると一球で負ける、一球で勝てるということがあるので、ただの一球じゃなくて一球に魂込めるつもりで練習の中でやるように心がけています」
昨夏の日大三戦では押し出し死球で決勝点を献上し、一球で試合を決まる怖さを水谷は身を持って体験した。だからこそ一球に集中力を込めている。そして水谷の打撃の長所は高いミート力を持ちながらしっかりと振り切っているところだ。
「どんな球にも合わせるというよりも振って捉える。フルスイングした中で捉えることを大事にしています」
[page_break:目指すは鈴木誠也のような勝負強い選手]目指すは鈴木誠也のような勝負強い選手
ティーバッティングに励む水谷祥平(龍谷大平安)
そんな水谷が憧れているプロ野球選手は広島の鈴木誠也だ。
「長打もあって勝負強い。なおかつスピードもある選手。守備面でも強肩でも飛んでも安心して見ていられるところが憧れですね」
ミート力と長打力を兼ね備え、走っても50m走が6秒1の俊足。ライトの守備でも堅実なプレーを見せる水谷が目指すにはピッタリの選手ではないだろうか。
近畿大会では勝負強さを見せて優勝したが、神宮大会ではミスが多発して初戦敗退。選手主体でゲームを進めていく中で瞬時に適切な判断をすることができなかった。「神宮大会では自分たちが自立できてないから負けました」と水谷は反省の弁を述べる。神宮大会後は選手たちが自立するチーム作りを目指してきた。
「練習の中で指導者の方に何も言われずに自分たちで指摘し合って作り上げていくのがベストですし、やっぱり自分たちでやるということが大事だと思ってやってきました。その中で自分が一番周りを見て、そういうところを大切にしてやろうと思ってやってきました」
その成果を見せるのがセンバツとなる。近畿王者として目指すは5年ぶり2度目の優勝だ。
「先を見てはダメだと思うんですけど、目標はやっぱり日本一です。自分たちは全員で勝つチームです。そこがあるから秋も勝てたと思うので、メンバー外もメンバーも勝ちに向かって試合に挑んで全員で勝ちたいです」
5年前に龍谷大平安の優勝を見て同校に憧れた水谷。次は自らの手で栄冠を掴み取る番だ
文=馬場 遼