更なる成長に向けて

小林 珠維投手のストレートの魅力を語った、相棒・横地 純弥捕手
小林の武器はなんと言っても最速146キロのストレートだろう。バッテリーを組んでいる横地 純弥捕手も
「ストレートが早いのでストレートでどんどん押していきます」と小林をリードする時の話をしてくれた。
ただし、小林は自分のストレートに満足していない。この冬はストレートの「キレ」を意識して練習に取り組んでいる。
「ストレートが速いピッチャーと、速く見えるピッチャーといて、自分はまだキレが足りない。ただ見ていて速いだけなので、打席に立ったら速く見えるストレートに向けて、真っ直ぐのキレをあげていきたいです」
「キレを出すために、2キロのサンドボールを1日何百回も行ったり、下半身がまずないと上もついてこないと思うので、去年よりもスクワットやデッドリフトとかを主に行っています。またちっちゃい筋肉、インナーマッスルなど細かいところまで鍛えるようにしています」と具体的なアクションプランも語ってくれた。
キレを出すという『目的』を理解しながら身体を鍛えているのがわかる。
更に言えば、キレが出ることで、自分の目標でもあるプロ野球選手に近づける、という明確な意識が垣間見える。だからこそ、小林はブレずにやるべき事をやれるのである。

小林 珠維投手のブルペンの様子
大脇監督は「学校の様子も、練習の様子も、自分というものを持てるようになってきました。周りの状況に影響されず、自分はこれだけはやらないといけないからと、『俺は俺のペースだ』という姿勢がたくさん見られるようになってきてます。ウエイトトレーニングをしてても俺はこれをやんないといけないんだ、とすごい集中力を持って行っています」と話してくれた。
『明確な目的』の上でのブレない行動こそが今の小林の最大の武器だろう。
もちろん、ストレートだけでなく変化球を磨くことに関しても余念がない。
「大きいカーブとスライダーと今考えてるんですけど、チェンジアップと、あともう一つ。まっすぐと似てるんですけど、ちょっと動くまっすぐを試しています。ただ、それは時間が少しかかるかなと」
もう言うまでもないだろう、変化球を磨く、それは小林の『明確な目標』があるからだ。
小林はこの冬、ストレートと変化球両方の精度を上げて『プロ野球選手になるために』投球の幅を広げようとしている。
前編はここまで。中編では小林投手のプレースタイルや理想の選手像について語ってもらいました。中編もお楽しみ!
文=田中 実