Interview

闘争心をストロングポイントにライバルに立ち向かう! 藤代エース・中山航!【前編】

2019.02.09

 昨秋の茨城大会・準決勝では、今春のセンバツで21世紀枠に選出された石岡一を破って決勝に進出するなど、公立ながら茨城県内を代表する強豪校の一つに数えられている藤代

 かつては美馬 学(楽天)や井坂 亮平(元楽天)といった好投手を輩出し甲子園でも勝利を挙げるなど実績を残しているが、そんな偉大な先達の後を引き継ぎ、現チームでWエースの一角として投手陣を引っ張っているのが中山 航投手(2年)だ

自宅から近い藤代で甲子園を目指し入部

闘争心をストロングポイントにライバルに立ち向かう! 藤代エース・中山航!【前編】 | 高校野球ドットコム
腕を組む中山航(藤代)

 中山投手が馴馬少年野球クラブに入団して本格的に野球を始めたのは小学校2年生の時。その前からよくキャッチボールをしていたこともあって、ポジションは最初からピッチャーを務めていたという。

 「ピッチャーは相手打者と直接、顔を合わせて戦うポジション。それだけに自分がミスをしたらそのまま負けてしまうので、責任は大きいと感じています」

 中学時代は取手シニアに所属。エースの座は奪えなかったが、3年春には関東大会に出場し準優勝。そして、高校は藤代へ進学することに。

 「私立へ行くことも考えたのですが、中学1年の時に藤代が夏の甲子園に出場しましたし、自宅から近いということもあって決めました。入った当時のチームの印象はみんな真面目で黙々と練習している部員ばかりだなと思いました。その印象は今も変わっていなくて、一人ひとりが自分の足りないところを常に意識しているので、個人練習でも質の高いトレーニングができていると感じています」

 そして、同学年でピッチャーを希望した選手は5人。「やっぱりエースになりたかったので、『負けないぞ』と思いながら練習をしていました」。

 しかし、すぐに壁にぶつかってしまう。「1年生の時はストレートの球速を上げようとしていたのですが、ある練習試合で下位打線の選手に対して真っすぐで押していったらホームランを打たれてしまったんです。『調子が良くないな』と思いながら投げてはいたのですが、そこで『スピードだけに頼っていてはダメなんだ』と感じました」

[page_break:練習試合で強豪・横浜を抑え自信に変える]

練習試合で強豪・横浜を抑え自信に変える

闘争心をストロングポイントにライバルに立ち向かう! 藤代エース・中山航!【前編】 | 高校野球ドットコム
インタビューに答える中山航(藤代)

 そこで、1年冬のオフシーズンにはブルペンで制球力の向上を図った。
 「中学時代は真っすぐと変化球にある程度のコントロールがあれば抑えられたのですが、高校ではインコースを攻めないと通用しない。だから、アウトコースとインコースにきっちりと投げ分ける練習をして、両コーナーへ交互に5球ずつ。全部でだいたい100球ほどを投げ込んでいました」。

 また、体を大きくするために食トレにも励んだ。「ごはんを昼に3合、夜も3合は食べていました。そのおかげで高校入学時は64kgだった体重は72kgまで増えています。もちろん、ウエイトトレーニングで体も鍛えていたので、キャッチボールをすると50mくらい離れた距離でもボールが沈まなくなりライナー性の球を投げられるようになりました」。

 毎日の朝練も欠かさない。「4kgの鉄球を3本の指でつかんでは離してという動作を20分ほど繰り返して握力を付けています。あとは、元々、体が硬いタイプなのでストレッチなどで肩甲骨周りや股関節をほぐしているのですが、投げる時の体重移動が上手くなってきていると思います」

 こうして2年春からは球威を増したボールとインコースを積極的に使った配球で好投。昨年6月の横浜(神奈川)との練習試合では5回を投げて無失点に抑えてみせた。このピッチングにはチームを率いる菊地 一郎監督も「万波中正(現・日本ハム)、長南(有航)度会(隆輝)といった主力選手も出場していたのですが、相手が強ければ強いほど力を発揮してくれる投手」と感心しており、中山投手本人も「強豪校が相手の方が『投げたい』という気持ちも強くなって、ワクワクする」と話している。

 そんな気持ちの強さは夏の茨城大会でも発揮され、4回戦の下妻第一戦では見事な火消し。1点ビハインドの8回に無死満塁の場面でマウンドに上がると、1点も与えられないというプレッシャーのなかで相手打線を封じた。

 「あの試合はエースの稲荷田(朝陽)さんが終盤まで良いピッチングをしていたので、自分が登板するとは思っていませんでした。急いで肩を作ってマウンドに上がった時はさすがに緊張していたのですが、落ち着こうと思ってスコアボードを見たら相手打線が7番からだったので、『なんとか抑えられるのではないか』というイメージができたんです」。

 まず、二ゴロで1アウトを取ると後続は共にスピンの効いたストレートで連続三振。ピンチを切り抜けた際には「普段はあまりやらないのですが、思わず出てしまいました」というガッツポーズも飛び出すなど、結局、2イニングを0点に抑えてチームを逆転勝利に導き、球速も自身最速の140キロを記録した。今まで感じたことがないほど張り詰めた気持ちになったというが「しっかりと集中して投げられた」ことが好結果に結びついたのだろう。

 前編はここまで!後編では、昨秋に着手したフォーム改造や、関東大会での活躍について伺いました。お楽しみに!

文=大平明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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