Interview

「思考力×身体能力」でポテンシャルは青天井 マハチ・棚橋一生(篠栗ボーイズ)

2019.02.01

 福岡県糟屋郡篠栗町(かすやぐんささぐりまち)の、カブトの森公園野球場で練習を行っている篠栗ボーイズ。チームを率いる本村達也監督は、大学野球の名門・東海大学の出身で、全国の舞台を目指して日々練習に励んでいる。

 そんな篠栗ボーイズには今、無限の可能性を秘めた内野手がいる。それがマハチ・棚橋一生選手だ。アメリカ人とのハーフである棚橋選手は、高い身体能力を活かしてチームの中心選手として活躍しているショートストップだ。169センチ55キロと華奢な体型だが、動画を見ても、抜群の出足からシングルハンドでボールを裁く遊撃守備には惹かれるものがあるはず。今回はそんな棚橋の魅力に迫りつつ、棚橋が目指すショート像について迫った。

『プレー』で教えてくれる篠栗ボーイズの環境

「思考力×身体能力」でポテンシャルは青天井 マハチ・棚橋一生(篠栗ボーイズ) | 高校野球ドットコム
ストレッチを行う棚橋マハチ一生(篠栗ボーイズ)

 棚橋選手が篠栗ボーイズへと入団したのは、本村監督と元々大きな縁があったからだ。東海大第五(現:東海大福岡)出身だった元村監督は、棚橋選手の父であるマハチ・ムッツァイさんの高校の教え子であった。幼い頃から本村監督のことも知っていたという棚橋選手は、監督もコーチも若くて優しい篠栗ボーイズの環境に惹かれて入団を決めた。

 入団当初は「先輩方は体も全然違って、凄いなと感じました」と話す棚橋選手だが、本村監督は早くからその能力に驚かされたと話す。
 「入った時から身体能力は違いました。瞬発力があって、ノックを打っていても、そのボールを捕るのかと驚くことが多いです」

 順調に技術と体力を伸ばしていった棚橋選手は、本村監督の期待通りに育ち、現在はチームに欠かせない中心選手となった。50メートル走は6.4秒という、中学生としてはトップレベルの俊足を活かして、1番打者として打線の火付け役を担い、また守備でもショートストップとして、広い守備範囲を武器に相手のチャンスの芽を摘んでいく。

「思考力×身体能力」でポテンシャルは青天井 マハチ・棚橋一生(篠栗ボーイズ) | 高校野球ドットコム
ダッシュを行う棚橋マハチ一生(篠栗ボーイズ)

 棚橋選手がここまで成長できた要因として挙げたのが、篠栗ボーイズの指導スタッフが若く、一緒にプレー出来る環境があることだ。
 篠栗ボーイズには本村監督以外にも、大学まで野球を続けたスタッフが揃っており、20代~30代と年齢も若い。現役時代と大きく変わらないプレーを、すぐ近くで見てきたことで、プレーにおけるイメージが養われていったのだ。

 「篠栗ボーイズに入って良かったと思うことは、指導がとてもわかりやすいことです。指導者も年齢が若い方が多いですし、何より『プレー』で教えてくれるところが一番いいなと思っています」

 また、本村監督は選手としての能力以上に、棚橋選手の地道に努力する姿勢や文武両道を怠らない真面目な性格を評価している。実際に棚橋選手に文武両道への意識を伺うと、高い意欲を口にした。

 「勉強は普段から毎日するようにしていて、成績は5教科で420点くらいです。両親がどちらも教師なので厳しいのですが、高校でも文武両道でやっていきたいと思っています」

[page_break:パワーが課題も「焦らずゆっくり鍛えて欲しい」]

パワーが課題も「焦らずゆっくり鍛えて欲しい」

「思考力×身体能力」でポテンシャルは青天井 マハチ・棚橋一生(篠栗ボーイズ) | 高校野球ドットコム
棚橋マハチ一生(篠栗ボーイズ)

 チームの中心選手として、今年さらなる活躍が期待される棚橋選手だが、もちろん課題が無いわけではない。これから棚橋選手が乗り越えるべき課題として、本村監督が挙げたのが体を作っていき、パワーをつけることだ。

 「体重は50キロ台と、まだまだ体が出来ていません。身体能力自体は高いので、体が出来ればいい選手になると思いますが、焦らずゆっくり鍛えて欲しいですね」

 棚橋選手自身も、「パワーをつけていく」という課題は強く意識している。現在は冬のトレーニング期間だが、今よりもレベルアップして更なる活躍を目指したいと語る。

 「もっと長打が増えるようにしたいですね。パワーがつけば守備もよくなると思うので、高校でも活躍できるようもっと鍛えていきたいと思います」

 早くも高校での活躍を見据えて、練習に励んでいる棚橋選手。そんな棚橋選手だが、昨年の第100回選手権大会では自身のプレースタイルに酷似する二人の選手に注目し、その選手から多くのことを学び取ったと話す。その選手とは、根尾昂選手(大阪桐蔭-中日ドラゴンズ)と小園海斗選手(報徳学園-広島東洋カープ)だ。

「思考力×身体能力」でポテンシャルは青天井 マハチ・棚橋一生(篠栗ボーイズ) | 高校野球ドットコム
キャッチボールを行う棚橋マハチ一生(篠栗ボーイズ)

 「根尾選手は、打球までいかに早く到達できるかということを考えて動いていました。また、小園選手は守備位置をバッターによって変えていたので、そこは凄いなと思いましたし、真似もできるなと思いました」

 自身の特徴を冷静に分析して、共通する選手の良いところを貪欲に吸収しようとする姿勢は、他の中学生とは一線を画すものがある。そんな棚橋選手に、最後に将来の目標を伺った。

 「将来は、できればプロ野球選手に挑戦したいと思っています。ソフトバンクホークスの今宮健太選手のように、守備もバッティングも良くて足も速い、三拍子揃った選手になりたいと思います」

 篠栗町と言えば、元・プロ野球選手の村田修一やお笑い芸人の佐田正樹(バッドボーイズ)、黒瀬純(パンクブーブー)など、個性豊かな人材を輩出した歴史を持つ知る人ぞ知る町だ。
 篠栗町から、新たなスターが誕生することに期待したい。

文=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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