強打の二塁手へ!甲子園経験が豊富な韋駄天・根路銘 太希(興南)の現在地
「高校野球は経験がものをいう。春夏連覇した時も、1年から試合を経験している子が多かった。」島袋洋奨をエースに全国の頂点に立った代についての我喜屋優(がきや・まさる)監督の言葉である。そういう意味では根路銘太希(ねろめ・たいき)もまた、1年の夏から[stadium]甲子園[/stadium]の大舞台を経験している選手である。離島・伊江島出身の根路銘の現在地に迫る。
強打の二塁手へ
根路銘 太希(興南)
根路銘の憧れるプロ野球選手は、山田哲人(東京ヤクルトスワローズ)だ。その理由を「セカンドで、強打者で、ホームランや長打も打てるあこがれの選手です」と話してくれた。
強打の二塁手に向けて、根路銘が目標とするのは
「長打でのチャンスメイク」と「どこの方向にも長打が打てる」だ。
そのために現在、根路銘が取り組んでいることは、「逆方向に長打を打てること」である。これは、チーム全体で取り組んでいることと同じだが、根路銘ももちろんその重要性を理解して練習に向き合っている。練習方法はシンプルで、緩い球をしっかり逆方向に打つ練習を繰り返している。 実際効果も感じていて、「紅白戦でも逆方向に強い打球が行くようになりました」と力強く話してくれた。
強い打球が飛ぶようになる、もう一つの理由としては、この冬場に着実に筋力をつけているのも影響しているだろう。目標体重の70kgまで後、3kgと着実に体重も上げてきている。フィジカル面、技術面を磨くことで、逆方向に強い打球を飛ばせるように進化している。
長打という部分に話が行ったが、根路銘の一番の魅力は走塁だろう。
根路銘のベースランニング一周のタイムは14秒台後半になる。14秒台は十分に俊足のレベルに入る。このタイムは単純に足が早いというだけでなく、根路銘の走塁技術の高さを示している。ベースを駆け抜ける際に、スピードを落とさずに駆け抜けられるかなど、多くの技術の上に成り立っている。
そんな俊足の根路銘が常に意識していることは、走塁で相手にプレッシャーをかけることだ。
「積極的に次の塁を狙っています」
「塁に出た時には、ピッチャーにプレッシャーを与えるように、大きくリードをとって、バッターだったら、内野ゴロ打った際にも、全力ダッシュで守備にプレッシャーをかけます」
根路銘の走力に、この冬磨いている長打力がつくと、対戦する相手にとっては嫌らしい打者に違いない。
大舞台の経験を活かす
強打の二塁手を目指す根路銘 太希(興南)
守備について話している際に、根路銘の興味深いコメントがあった。
「ピンチの場面でも心に余裕を持って、チームの痛いミスというか、チームに悪い影響を与えないようにしていきたいです」
「ピンチの場面でも心に余裕を持つ」 このマインドに行くには、ピンチで心に余裕がなかった経験があるからだろう。これこそが、経験が豊富な選手の利点である。1年生から[stadium]甲子園[/stadium]の舞台を経験している根路銘が言うからこそ、頼もしい言葉に聞こえる。
この根路銘の経験はチームにとっても貴重な財産である。
我喜屋監督は、経験がある根路銘にもっと自信を持ち、大きい声を出さすことを期待している。まさに、貴重な経験をチームに還元してほしい、そしてチームを引っ張っていってほしいことの期待の現れだろう。
根路銘がこの期待に応えるべく、貴重な経験をベースに、自信を持ち、堂々とプレーしチームを引っ張り出した時、興南はさらなる高みに行くことは間違いない。
攻撃的2番バッターへ!
最後に根路銘は、
「塁に出た人を簡単に送るのでなく、自分も生きるような、攻撃的2番バッターになりたいです」
と話してくれた。
もちろん、今まで1番や3番を打ってきた選手である。夏は、先頭打者やクリンナップにいるかもしれない。ただ、俊足・強打の2番根路銘を想像してほしい、非常にワクワクするのは私だけではないはずだ。攻撃的2番バッター、まさに、沖縄の山田哲人である。
1年、2年と[stadium]甲子園[/stadium]を経験している根路銘が、再び甲子園に戻り、攻撃的2番バッターとして、堂々とプレーしていることを期待したい。
文=田中 実