目標とする小園、根尾のようなショートになるために 勝連 大稀(興南)【後編】
昨夏の甲子園で、球に逆らわないバッティングで広角に鮮やかなヒットを放ち、8打数5安打と結果を残し、守備でも好守でチームに貢献したことは記憶に新しい。そんな勝連 大稀(かつれん・ひろき)の、走攻守に迫る。
前編では、勝連 大稀(かつれん ひろき)の打撃と守備について書かせてもらった。後編では走塁になる。
質のいい基礎を追求し全国で通用するショートに 勝連 大稀(興南)【前編】
目的を持ったベースランニング
アップをする興南の選手たち
勝連が大切にしているのは、ベースランニングだ。これもまた基本練習の一つになる。
そのベースランニングで勝連が意識していることは、「初速のスピードをいかに早くするか」、「ベースを駆け抜ける際はいかにスピードを落とさないか」の2点である。
もちろん、この練習前に勝連は、目的を設定している。
「走塁は一歩目のスタートが大切と自分では思っています。セカンドからホームに変える際に、(ヒットが)一本出て帰れるか帰れないかで試合が大きく左右されるということが地区大会でもありました。一歩目のスタートを上手く切れるようにして、一発で帰れる走塁ができるようにしたいです」
これが、ベースランニングの目的である。目的をもって取り組むからこそ、練習をより効果的に行え、また修正ができる。これこそが、勝連の一貫したアプローチの仕方だ。
我喜屋優(がきや・まさる)監督が求めているのは大人のチームである。
大人とは、
「計画・実行力・自分のやっていることのチェック、省みること、よし明日はこれで行こうという、この4つがあれば大人です」
と我喜屋監督が話してくれた。
そういう意味では、勝連は「大人の選手」である。
[page_break:小園、根尾のようなショートになるために]小園、根尾のようなショートになるために
全国で通用するプレーヤーを目指す勝連 大稀(興南)
勝連が目標とする選手は、小園海斗(報徳学園:広島東洋カープ・ドラフト1位)と根尾昂(大阪桐蔭:中日ドラゴンズ・ドラフト1位)だ。両選手の素早い動きとチームを引っ張っていく姿こそ、勝連の目標とする全国で通用するプレーヤーの姿である。
勝連と2人の接点は、甲子園100回大会になる。小園と根尾の体つきを実際に見て、体作りの重要性を理解した。そしてこの冬、肉体改造に着手している。現在の体重は65キロ、すでに冬場で3キロ増えている。目標とする70キロに着実に近づいている。
ここにも勝連らしさが出ている、試合以外でもアンテナをはり、小さな気付きから目標を決め、実行している。
最後に、勝連が自身のプレーヤーとしての目標を話してくれた。
「チームを引っ張っていけるような守備をして、声がけも他のポジションに(対して)もできるようにしたいです。バッティングでもチームに貢献できるような選手になりたいです」
勝連は自身で目的・計画が作れる大人の選手である。なりたいプレーヤー像があれば、きっとそこまで到達するのが勝連なのであろう。夏までにどのような選手になっているのか、期待したい。
取材後記
インタビュー中も非常に受け答えがしっかりしていて、自分の言葉で返せる選手だった。砂川太コーチ(副部長)も「彼は真面目で受け答えもきちっとするタイプです」と話してくれた。自分の言葉でアウトプットできる選手がいる。これも興南の強さの秘訣だろう。
文=田中 実