進化を止めない注目左腕・宮城 大弥(興南)【後編】~成長に貪欲な男の伸びしろは無限大~
前編では興南エース・宮城大弥(みやぎ ひろや)が新チーム結成時から意識してきたこと。そして意識が変化したことで学んだことを語ってもらった。後編では宮城投手が今、直面している課題をどう取り組んでいるのか。その姿勢に迫る。
進化を止めない注目左腕・宮城 大弥(興南)【前編】~チームを引っ張る立場になり見えた、やるべきことをやれば勝てる~
宮城が取り組んでいる課題
ブルペンでの宮城 大弥投手
前編では宮城大弥の見えない部分での変化について書いてきた。ここからは見える部分の宮城についても触れていきたい。
左腕から繰り出すストレートは最速145キロ、変化球はカーブ、スライダー、チャンジアップを操る。そんな宮城が今取り組んでいる課題が2つある。
1つ目は、それぞれの球種のレベルアップである。
「ストレートは、自分が一年の時に目標としていたマックスが150キロなので、まずはそれに近づけることです。変化球は、一つ一つのキレをレベルアップさせたら、自分のピッチングの幅も広がると思うので、それぞれの変化球をレベルアップさせていきたいというのはあります」
それぞれの球種の底上げにより、いかにバッターを簡単に打ち取れるかを追求している。
2つ目は、ピッチングの強弱だ。
「ピンチの場面でしっかりギアを上げて抑えられる練習をしていかないといけないと思います」
この目標は、宮城の試合経験がら来ている。九州大会で試合後半で体力が落ちてきたという経験から、試合を通して投げぬくためのペースや、力を入れる所、抜く所の強弱を意識している。
これこそ、我喜屋優(がきや まさる)監督が言う、何が必要かを試合で学んでいるということだろう。
宮城は明確な目標のもと、この冬を過ごしている。
さらなる成長に期待
『成長』を色紙に書き留めてくれた宮城 大弥投手
「夏の強豪相手に、絶対的なその自信というのはこれからですよ。けれどそれは、過去の自分を振り返って、また新しいものを勉強すれば身につけるもんだから。うん」
最後に頷きながら話してくれた、我喜屋監督の言葉である。この裏には、「取り組む姿勢が変わった宮城ならば、きっと夏までに強豪相手に自信を持てる投手になれる」という期待を感じた。
沖縄水産の國吉吹、上原大那も宮城との対戦を熱望している。沖縄尚学の強打者・水谷留佳も「興南高校の宮城投手を打たないと沖縄では勝てないと思います。」と話してくれた。県内の有望選手が打倒・宮城大弥を掲げている。
もちろん、宮城も負ける気はないはずだ。
大舞台の経験がある上に、「取り組む姿勢の変化」という最大の武器を得た宮城が、どこまで成長するのか期待せずにはいられない。
取材後記
取材時にカメラ、取材バック、取材ノートをもち、球場からインタビュー場所へ移動する際、「荷物を持ちましょうか?」と声をかけてくれたのも宮城である。両手に荷物を持っているのにさっと気がついたのだろう。これも、小さなことに気がつける洞察力の賜物だろう。ますます宮城という選手の虜になってしまった。
文=田中 実