Interview

日鶴撃破の立役者・野﨑師(都立小平西) 強豪校と渡り合えるまでになった進化の過程

2018.12.03

 名門・日大鶴ヶ丘が都立の学校に敗れた。しかもブロック予選の初戦敗退ということで話題になった。その都立の学校は日大鶴ヶ丘を倒した勢いそのままに都大会に出場。シード権獲得まであと一歩のところまで迫った。
 そのチームとは都立小平西である。そして、日大鶴ヶ丘撃破をはじめとする秋の原動力として活躍したのが都立小平西のキーマンでエース・野﨑師である。

 松井裕樹とお手本として、真っ向から振り下ろすフォームから130キロ前半のストレート、自慢の縦のスライダーを武器にする本格派左腕である。来年、激戦区・西東京で勝利を目指す野﨑に、日大鶴ヶ丘戦のことや現在に至るまでの道のりを伺った。

三者三振で幕を開けた野﨑の高校野球

日鶴撃破の立役者・野﨑師(都立小平西) 強豪校と渡り合えるまでになった進化の過程 | 高校野球ドットコム
野﨑 師

 「緊張しているからこそ、力まずに打たせて取ろうと頑張りました。」
 日大鶴ヶ丘戦を振り返った時、野﨑が語った試合中の意識である。どうしてここまで地に足を付けて投げ切ることができたのか。それは都立小平西で積み重ねてきた経験があるからだった。

 野﨑は小学2年生の時、2つ上の兄の影響で地元の少年野球チームで野球を始めた。当時から投手をやっていた野﨑は、その後は中学の部活動で野球を続けていくつもりだった。だが、「監督からの誘いがあってやる気が出てきました」と、中学の部活動から軟式野球の立川ベースボールクラブに方向転換。

 3期生として入団して、投手兼野手として3年間を過ごす。チームメイトには同じ西東京の八王子大平真也をはじめとする仲間たちと切磋琢磨してきた。そんな野﨑は都立を中心に進学先を探し、都立小平西への進学を決める。

 立川ベースボールクラブの監督からは当時、私立の学校を勧められていたが、「私立だと、シニアやボーイズ出身の選手が多くいる。その中でやっていけるか不安があったので、地元に近いこともあって選びました」と野﨑は語る。

 中学最後の公式戦が終わってから入学するまでの数か月間、野﨑は硬式ボールを使って練習することで高校野球への準備を進めた。

 都立小平西に進学してからは投手に専念。エースナンバーの座をかけて先輩、そして同級生たちとのしのぎを削る日々が始まったが、実践デビューは早かった。

 4月ごろに行われた練習試合で1イニングだけの登板だったが、いきなり三者三振。「楽しかったですし、正直自信になりました」と、初めての試合のことを笑顔で振り返ってくれた。

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練習試合で積み重ねてきた経験値

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高校1年生の秋・桜美林戦での野﨑 師

 こうした活躍を認められ、野﨑は1年生の夏からベンチ入りを果たし、公式戦のマウンドも経験した。だが、このマウンドは苦い経験となった。
「3年生最後の試合ということもあって、思っていた以上にプレッシャーでストレートが入らなかったです。やってしまったという感じです。」

 1年生にして、夏の怖さをマウンドで体感した野﨑。チームも、その夏ベスト16まで勝ち進んだ世田谷学園の前に3回戦で敗戦。野崎にとって初めての夏は早々に終わりを告げることとなった。

 3年生の先輩方が引退して、新チームとなった都立小平西。その後は秋のブロック予選では決勝で桜美林に敗戦。試合は5回まで同点の展開も、連続エラーからリズムを崩し、ストライクが入らずに8対2で負けてしまったが、野崎はこの試合である手応えを掴んだ。
桜美林戦ではスライダーが良くて、スライダーは(指に)かかれば少しは通用するのかな」と、強豪相手に通じた球種への自信を深めていた。

 しかし春のブロック予選は東亜学園、そして今夏の西東京大会ではベスト32に入った日大桜丘の前に6回コールドで初戦敗退となってしまった。

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着実に結果を残してきた野﨑 師

 大きな結果を残せずに終わってしまった野﨑の高校野球2年目。しかし、自身の中でテーマを持って練習・試合に臨んできた。
 「1年の夏は四球を出したり、外角のボールが少し内側に入ったりすることがありました。ですので、コントロールを良くしようと自分の中で決め、構えたところにキッチリ投げる、コースを意識するようになりました。」

 1年生の苦い経験を活かし、試行錯誤を繰り返した野﨑。その成果が自分たちの代になって少しずつ開花してきた。

 都立小平西の石田幹夫監督は都立小平でも監督を務めた。都立小平は夏の西東京でベスト4にも進出したことがあるチームで、当時のつながりから健大高崎常総学院など強豪校との練習試合をすることが今もある。

 そしてこの夏、都立小平西は同じ西東京で強豪の創価、そして佼成学園と練習試合をした。両方の試合でマウンドに上がった野﨑は、創価は5回を投げて無失点。さらに佼成学園では中盤まで投げて2失点の内容でマウンドを降りている。

 公式戦で結果が伴っていないだけで、練習試合では確実な結果を残してきた野崎。そして遂に公式戦で結果を残す時がやってきた。その試合こそが今秋ブロック予選での日大鶴ヶ丘戦である。

 前編はここまで。後編はいよいよ日大鶴ケ丘戦を野﨑本人の口から語ってもらった。そして春に向けての課題や目標を最後に伺いました。後編もお楽しみに!

文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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