卓越した守備力でU-15日本代表入り!齋藤広空(京葉ボーイズ)の「守備美学」に迫る!
今年のU-15ワールドカップで、日本代表の不動の遊撃手として大活躍した選手がいる。京葉ボーイズの齋藤広空(ひろたか)選手だ。安定感抜群の守備は、日本代表の窮地を幾度となく救い、打者としても8番打者ながら打率.600を記録。
また所属する京葉ボーイズでも、ボーイズリーグ春季全国大会の2年連続決勝進出に大きく貢献し、その高い守備力は中学野球界でも大きな評判となった。
今回はそんな齋藤選手に独占インタビューを行い。U-15日本代表から得たもの、そして守備での心がけや高校野球への意気込みを伺った。
多くのチームメイトから刺激を受けたU-15での経験
ガッツポーズを見せる齋藤広空(京葉ボーイズ)
ーー 今日はよろしくお願いします。それではまず、U-15を経験しての率直な感想を聞かせてください。
齋藤広空選手(以下、齋藤) 中学1年生の時も日本代表を経験させていただいたのですが、その時よりもやっぱりみんなのレベルも高くて、海外の選手もレベルが上がっていて、簡単に打つことができなかったですね。
ーー チームメイトで印象に残った選手はいました?
齋藤 池田陵真(忠岡ボーイズ)ですね。宿舎でも本当によく素振りをしていて、スイングスピードや飛ばす能力は一人目立っていてすごいなと思いました。
また自分も小柄なので、同じ小柄な選手は意識していたのですが、その中でも杉下海生(泉佐野リトルシニア)は印象に残っています。守備も上手くて、バントも上手いし、足も早い。いい刺激を受けました。
ーー 大会中は関西勢が中軸を担っていて、活躍していましたね。
齋藤 そうですね。ここぞという場面でみんな本当によく打っていて、すごく助けられたなと思います。
ーー 印象に残ったピッチャーはいましたか?
齋藤 樋上颯太(湖南ボーイズ)は凄かったですね。とにかく速かったです。あと打席に立って凄いなと思ったのは鈴木唯人(SASUKE名古屋ヤング)です。真っ直ぐが若干スライダーしていて、本当に打ちづらかったです。
あと、藤森 粋七丞(青森山田リトルシニア)は球の切れがすごかったです。球速では畔柳亨丞(SASUKE名古屋ヤング)や樋上が速いのですが、藤森は打席で見て「うおっ」と思いましたね。
ーー 清水監督からは何か声を掛けてもらいましたか?
齋藤 「しっかりと守ってくれるというところで期待している」と声を掛けていただきました。
ーー 自分のプラスになったことはありますか?
齋藤 ショートという大事なポジションを任され、「自分がエラーをしたら負ける」という思いの中で結果が出せたので、そこは今後につながると思います。
[page_break:「守備の全部がすごい」宮本慎也さんが目標]齋藤選手を語る上で欠かせないのが、安定感抜群の守備力だ。齋藤選手自身も、守備には大きな自信を持っており、特別なこだわりを見せてる。ここからは、守備で意識していることや理想とする選手についても迫っていく。
「守備の全部がすごい」宮本慎也さんが目標
室内練習場でノックを受ける齋藤広空(京葉ボーイズ)
ーー ここからは守備やバッティングについて伺いたいと思います。まず、普段は京葉ボーイズの関口監督からはどんな指導を受けているか教えてください。
齋藤 ノック中にいいプレーができないと、その中でプレーを止めて一つ一つ教えてくださいます。本当にいい監督のもとでで野球ができているなと思います。
ーー 守備で一番大事にしていることを教えて下さい。
齋藤 一歩目をすごく大事にしています。一歩目への意識は、1年生の秋に当時の先輩に一歩目の重要性を教えてもらい、「大事だな」と感じるようになりました。
ーー 他に意識していることは何かありますか?
齋藤 他にはグラブの手をいかに柔らかく使うかを意識しています。よくグラブを正面に向けて「板のようなイメージで取れ」という指導を聞くのですが、自分の場合はそういうイメージだと腕の筋肉が固まってしまい、打球がイレギュラーした時に対応できなくなってしまいます。ボールと喧嘩しないように、柔らかく優しく捕るということを意識しています。
ーー なるほど!スローイングではどのような意識を持ってプレーしていますか?
齋藤 以前、先輩に上に抜けるよりも、ショートバウンドの方が取る確率は高いと言われたことがあります。上に抜けるくらいなら、低めに強いボールを投げられたらいいと思ってやっています。
ーー ちなみに守備のお手本にしている選手はいますか?
齋藤 宮本慎也さん(現ヤクルトヘッドコーチ)です。全部がすごいですね。取ってからも速くて、確実にアウトにするのでお手本にしています。
ーー 宮本選手の守備は凄いですよね!バッティングではどのようなことを意識していますか?
齋藤 飛ばす力があまりないのですが、その中で一番強い打球を打てるのが右中間方向です。セカンドの頭を超えて、鋭いライナーで外野の頭を抜けていく打球を意識して打席に立ってます。
ーー バッティングで目標としている選手はいますか?
齋藤 同じ右の内川聖一選手(ソフトバンクホークス)ですね。どちらかというと打率を残せるバッターを目指しています。
[page_break:今でも連絡取り合うU-15のチームメイトと支えてくれる家族の存在] 日頃からの心掛けもあり、中学野球で大きな成長を遂げた齋藤選手。だが、齋藤選手がここまで成長できたのも、家族の支えや心の許せる友人の存在があったからだろう。
ここからはグラウンドからは離れて、齋藤選手の普段の様子について迫った。
今でも連絡取り合うU-15のチームメイトと支えてくれる家族の存在
夕焼けに染まる中ノックを受ける齋藤広空(京葉ボーイズ)
ーー U-15の選手とは今でも連絡取ったりしますか?
齋藤 杉下海生とは一番仲が良かったので、今でもよくLINEで連絡を取り合ったりしています。あと、ついこの間は畔柳亨丞とも少し電話したりしましたね。
ーー 一番仲がいいという杉下選手とは普段どんな会話をするのですか?
齋藤 U-15の遠征中は飛行機の席が隣だったので、そこでお互いに初めてドラマのコードブルーを見て、「面白いね」という話をしました。
宿舎では、プレーの話もしましたね。代表チームでは、自分と杉下は8番、9番を任されていて、監督からは1番、2番のような役割をしてほしいと言われていました。そういった意識を持って、常に自分たちで会話しながらやっていこうという話をよくしました。
ーー なるほど!ちなみに齊藤選手はご家族とは野球の話はしますか?
齋藤 父からは、野球の事は色々と言われます。試合の結果が悪かったりすると、集中力がないんだよと言われたりします。きつく言われることもありますが、早く帰った時はバッティングを教えてくれたり守備も教えてくれたりします。
母とは、小学校の低学年の時は良くキャッチボールもやりました。実は母も昔ソフトボールをやっていて、4番キャッチャーとかで活躍していたそうです。
ーー 兄弟はいらっしゃいますか?
齋藤 姉がいます。姉は23歳なのですが、本当にしくこくべったりくっついてきます。今はもう仕事が忙しいみたいですが、その分休みの日はべったりくっついてきます。正直いやな時もありますね(笑)。
ーー そうなんですね(笑)それでは最後に高校野球での意気込みをお願いします!
齋藤 守備を大事にするのは当たり前ですが、バッティングも打てないと使ってもらえないと思います。他にもバントであったり、全てにおいてチームに貢献できる選手になりたいと思います。
取材後記
インタビュー中は、常に笑顔で元気よく答えてくれた齋藤選手。お姉様から愛されているエピソードも大きく頷けた。3年後は、その卓越した守備力と愛されるキャラクターで、甲子園球場を大きく沸かせてくれることだろう。齋藤選手の高校野球での活躍を期待したい。
文=栗崎 祐太朗