今年、高卒2年目の社会人選手で、プロ解禁となる来季のドラフトでは注目選手の一人となることが予想されている太田 龍投手(JR東日本)。今夏の都市対抗野球大会では長身から投げ下ろすストレートを武器に、活躍した若手選手に送られる若獅子賞(新人賞)を受賞。大きく飛躍を遂げ、今後の伸びしろも感じさせる太田投手にこれまでの道のりと来季への目標をうかがった。
来季のドラフトで注目の太田龍の高校時代

インタビューの答える太田龍(JR東日本)
小学校の頃はピッチャーとキャッチャー。中学時代は内野手で主にプレーしていたという太田投手。高校は30年以上も甲子園から遠ざかっているれいめい高(鹿児島)に進学した。
「鹿児島の強豪校といえば鹿児島実高と樟南高ですが、自分は強豪校でプレーするよりも、その強豪校を倒したいという気持ちが強かったのでれいめい高に入りました」。
入部当初は投手と外野手を兼任。だが、「投手をやるのが一番、楽しいですね。プレッシャーもありますが、ピッチャーが投げなければ試合が始まらないですから、そうやって自分で試合を進めていけるところにやり甲斐を感じています」と話す。
そして、太田投手といえば190cm、93kgという立派な体格が目を引くところだ。
「小学校6年生の時は160cmだったんですが、中学を卒業する頃には185cmになり、高校で190cmに到達しました。ただ、大きかったからか、当時は自分のイメージ通りに体を動かすことができませんでした。それに体ができておらず、固かったのでケガをすることも多かったです」。
その言葉通り、1年の秋季大会で腰椎分離症を発症。「試合中から腰が痛くて投げ切った後は歩けないほどになっていました。それで、病院へ行ったら腰椎分離症と診断されて2ヶ月くらい安静にしていなければなりませんでした」。

キャッチボールをする太田龍
そこで、復帰後は故障しにくい体作りに励んだ。「まずは肩やヒジのインナーマッスルを鍛えました。そして、風呂上がりに毎日、ストレッチをするようにしました。これは今でも続けているのですが、特に肩の可動域が広がるようにしていますし、尻周りも固くならないように筋肉をほぐしてリフレッシュさせています」。
当然、トレーニングも怠らなかった。「グラウンドのすぐ脇に50~60mくらいの坂道があるのですが、そこでヘロヘロになるまでダッシュをしていました。かなりキツかったのですが、いつの間にかルーティンになっていて、逆に走らないと気持ち悪い感じがしたので毎日やっていました」
また、ピッチングのなかで心掛けていたことがある。「夏の鹿児島大会で優勝するには6試合を投げなければいけないので、全試合で完投するために疲労を抑えなければいけない。だから、1試合のなかで緩急を付けてスタミナを温存しながら投げ、勝負どころで力を入れて投げるようにしていました」