切磋琢磨した3年間を糧に飛躍を誓う!草薙柊太(国士舘高)【後編】
前編では草薙柊太が国士舘へ進学した理由から持ち球のコツなどを伺った。後編の今回は左腕トリオとしてともに戦った2人との関係。そして最後の夏に向けてどんな取り組みをしたのか。さらに次のステージへの意気込みを最後に語ってもらった。
最後の夏に向けて団結して追い込む
草薙柊太(国士舘)
草薙投手の同級生には石井 崚太投手と井田 尚吾投手という左腕がいたが、「2人には『追いていかれたくない』という気持ちだった」という。
ブルペンでは2人の投球を観察し、意見の交換も行った。
「石井は左足一本でしっかり立って投げることができるので、そこはマネしました。今も軸足を意識して、きちんと左足に体重を乗せてから投げるようにしています。井田はチェンジアップが良いので、ボールの抜き方や力の入れ方などを教えてもらいました」。
こうしてライバルでありながらも仲間として切磋琢磨した3人。「自分が悪くても他の2人がカバーしてくれるし、もちろん逆に自分がカバーすることもできる。昨秋の東京大会・準決勝の佼成学園戦ではピンチの場面でリリーフしたのですが、先発の石井が申し訳なさそうな顔で『ゴメンな』と言ってきたんです。それで『自分がやるしかない』と気合いが入り、なんとか抑えることができました」と振り返る。
最後の夏に向けても、ランメニューなどでは団結して厳しい練習に励んだ。
「昨秋は東京大会で4強。今春は準優勝だったので、『夏こそは甲子園に行きたい』と思っていました。でも、関東大会で大敗して力の差を痛感し、今のままでは実力不足だということも感じていたので、石井と井田ともう一人、古屋(竜輝)という右ピッチャーの4人で練習メニューを話し合い、もう一度、体を作り直すことにしたんです。自分は走るのが好きじゃないんですけれど、夏までほんの数ヶ月しか残っていなかったですし『楽をするのはやめよう』と誓って頑張りました。」
心身を鍛え直し大学からプロへ
キャッチボールをする草薙柊太
6月、市岐阜商(岐阜)との練習試合では2桁三振を奪い、1失点完投。プロ注目の中神 拓都選手に対しても、インコースの真っすぐを使って追い込み、最後はチェンジアップで三振に打ち取るなど手応えを掴んで、夏へ臨むこととなった草薙投手。
その西東京大会でも4回戦の工学院大付戦で6回無失点の好投。準々決勝の都立国分寺戦では自己最速の147キロをマークするなど「調子が良かったですし、147キロは自信にもなりました」という。
だが、準決勝の日大鶴ヶ丘戦、草薙投手は先発のマウンドを任されたが初回から失点を重ね、2回3失点で無念の降板。チームも5対7で敗れた。
「初回に先頭打者を四球で歩かせてしまい、勝又(温史)選手にはタイムリーツーベースを打たれてしまいました。カウントが悪くなって永田(昌弘)監督からは『歩かせてもいい』というサインが出ていたのですが、『勝負したい』という気持ちがあって、ボールがストライクゾーンへ行ってしまったんです。あの場面で歩かせておけば結果も違っていたと思うので、申し訳ない気持ちでいっぱいです」
大学からプロを目指す草薙柊太
あとわずかのところで甲子園に届かなかった草薙投手。今後の進路については、大学へ進学する予定だ。
「プロへ行きたいと考えていたのでものすごく悩みましたが、夏はそれほどの結果を残すことができず、仮にドラフトで指名されたとしても下位や育成になると思います。それに目標はプロに入ることではなく、プロで活躍することなので、それだったら大学で鍛え直してからの方が良いと考えたんです」。
大卒時こそドラフト上位で指名されるため、課題を一つずつクリアしていくつもりだ。
「まずは左足の使い方をおさらいして、あとはボールを握る力がないので握力を付けていきたいです。ゴムボールや重たいボールを使って、せめて人並みの握力にできれば球質も変わってくると思います」。
精神面についても「自分は打たれたことを引きずるタイプなのですが、練習をきちんとやっておけば結果は付いてくると思うので、細かいことは考えず大胆にプレーしていきたい。3年前の甲子園で、当時、中京大中京の上野(翔太郎、駒大)投手が笑顔を見せながら投げているのを見て『この大舞台で笑えるなんて、すごいな』と感じたのですが、自分も上野投手のようにハートを強くしたいです」
プロへの夢を一旦、心の奥にしまい込み、4年後の飛躍を目指す草薙投手。高い志を胸に野球へ打ち込むことができれば、この選択も決して回り道にはならないはずだ。
文=大平明
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