目次

[1]苦しみから「我に返った」最後の夏
[2]芽吹きつつある“自信”を胸に最高峰の舞台へ

 前編では石見智翠館に進路決めた意識から、活躍をするまでのプロセスを語ってもらった。後編の今回は最後の夏への想いや甲子園のことまで話を伺いました。

苦しみから「我に返った」最後の夏



水谷瞬(石見智翠館)

 手応え掴んだ春から一転、夏の序盤は打撃不振に苦しんだ。春の活躍で他校のマークが厳しくなったこともあり、3回戦を終えた時点では無安打。復調のきっかけは準々決勝・出雲戦の試合中に訪れた。

 「準々決勝の第1打席も打てませんでした(三振)。第2打席の前に、ベンチ裏のトイレに行って、ふと鏡を見ると、顔に正気がなかった。春先の練習試合、県大会の本塁打で『力まなくても飛ぶ』と理解したはずなのに、結果を欲しがり過ぎていました。ここで気持ちを切り替えることができて、『もし、これが高校最後の打席になっても悔いが残らないようなスイングをしよう』と思えました。当てにいくような打撃は求められていないし、中途半端なバッティングをしたら絶対に後悔するので」

 最後の夏のプレッシャーを乗り越え、平常心を取り戻して臨んだ第2打席に復活の本塁打が飛び出した。「初ヒットが出るとしたらホームランだと思っていた」という予感的中の一発だった。

 準々決勝でひとつ壁を乗り越えたが、決勝で益田東の前に敗退。思いを馳せた甲子園へのラストチャンスは準優勝で幕を閉じた。

 閉会式のメダル授与では泣き崩れるチームメイトも多かったが、毅然とした姿勢を崩すことは無く、涙に暮れる選手の肩を持つ一幕もあった。当時の心境を振り返る。

 「ケガで練習に出たり、入ったりを繰り返した時期もあって、チームメイトにもたくさん迷惑をかけました。そんななかでも、自分の気持ちが折れそうなときにメンバー外の仲間が励ましてくれて、そのおかけでここまでやってくることができた。なので、最後ぐらいは自分が支えたいなと思っての行動でした。閉会式のときに聞こえるセミの声が季節の変わり目のような鳴き方で、『ああ、夏も終わりかあ』と自分も泣きそうにはなっていたんですが(苦笑)」

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