目次

[1]少年時代の野球の先生は競技経験のない父親
[2]最短でバットの芯でボールを捉えることだけを考えて打席に立つ
[3]岡本和真が後ろ手の使い方が変わってブレークした

少年時代の野球の先生は競技経験のない父親

 2013年に来日し、AJ(アンドリュー・ジョーンズ)とともに楽天の初優勝に貢献したケーシー・マギー選手。このときは、ホームラン王や10年連続ゴールデングラブ賞などを受賞したAJのメジャーリーグでの実績ばかり取り上げられていたが、2010年にマギー選手がブリュワーズで残した成績も見事だった。

<打率.285、安打174、本塁打23、打点104>

 13年の来日時に掲げた〝現役メジャーリーガー″の看板に偽りがなかったのがわかる。メジャー通算安打は721本で、楽天、巨人では実働3年で通算452安打(2018年9月24日現在)。1シーズン平均150安打は文句のつけようがない。このマギー選手に子どもの頃の話を聞くと、「自分で言うのもなんですけれども、いい選手だったと思います」と言う。最も強い影響力を与えたのは競技経験のない父親である。

 父親によく言われたのは「バランス」と、「すべてにおいて自分のコントロール下でやるように」ということ。フラストレーションが溜まって力まかせに打っていたときには、『冷静になりなさい』『自分のやっていることを制御するようにしなさい』『力まかせはやめなさい』と言われたという。こういう時代を過ごすことができたマギー少年は幸せである。

 日本の選手とメジャーリーグの選手とでは大きな違いが見える。それはアメリカの選手の始動(足の動き始め)が遅いということ。マギー選手は始動の差についてはこう考えている。

 「大谷 翔平選手(エンゼルス)がいい例です。日本にいたときはタイミングを取るときに足を上げていた。今は打ちにいくまでにそんなに動きがない。アメリカのバッターは動きが小さい分、始動が遅いのでしょう。なぜ向こうのバッターの動きが小さいかというと、日本のピッチャーはゆったりした動きで投げるので打者は大きな動きをする時間的な余裕がある。アメリカではそういう動きがないから、バッターの動きが小さくて、始動も遅いのでしょう。」

 「日本人は始動が早くて動き(反動)も大きい」と日本の指導者やプロ野球OBに向けるとたいてい「日本人は外国人にくらべて力がないので反動を作らないと力強い打球が打てない」と言う。しかしマギーは、「足を上げたほうがいいのか悪いのかというのは、おそらくバッターによって違うでしょう。ブライス・ハーパー(ナショナルズ)なんかは日本人的で足を上げるし、ジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)やミゲル・カブレラ(タイガース)は典型的なアメリカ型で、始動が遅くてあまり足を上げない」といろいろな例を出して丁寧に解説し、次のように言う。

 「それはおそらく個々のバッターによるのでしょう。大谷選手はアメリカへ行って足を上げなくなったとはいえ、スイング自体は日本ハムの頃と全然変わっていない。自分も日本人みたいに足を上げろと言われたらできない。大事なのは、始動が早いか遅いか、足を高く上げてタイミングを取るかどうかではなくて、スイングに入る段階で形がしっかりできているということじゃないでしょうか。いいバッターはスイングに入る段階では皆しっかり形ができている。どういうふうにしてそこへもっていくかは人それぞれでいいのではないでしょうか」

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