第838回 あの俊足プロ野球選手のひざ痛を克服させた「コウノエベルトスパイク」の秘密【前編】2018年11月16日

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【目次】
[1]最重要コンセプトは『ケガをしないスパイク』
[2]プロ野球界でも愛用者が増える一方のコウノエベルトスパイク

プロ野球界でも愛用者が増えている「コウノエベルトスパイク」


スパイクに搭載された「コウノエベルト」

 完成した「コウノエベルトスパイク」を最初に履いたプロ野球選手は、ロッテの荻野貴司選手だった。当時の荻野選手は右ヒザの故障に苦しんでいた。手術も複数回経験。右ヒザには常に水がたまっている状態だったという。

 スパイクを手渡した三日後、鴻江さんの携帯電話が鳴った。荻野選手からだった。
 「『いただいたスパイクを履いたら3年間ずっとひざにたまっていた水が三日で抜けたんです。いったいなぜですか?』という内容の電話でした(※)」

――3年間抜けなかった水がスパイクを変えただけで抜けただなんてすごい話ですね。関節の中にたまった水は、注射器などで抜くしかないと思っていました。

鴻江寿治(以下:鴻江): 「関節内に水がたまるのには理由があると思っています。火事が起きれば水で消火するように、関節に炎症があると、体は水を流し込み、冷やすことで炎症をおさめようとする。だから炎症がおさまれば、水は勝手にひいていく。私はそう考えています」

――炎症がおさまった理由は何なのでしょうか。

鴻江: 「シューズのフィット感、一体感の欠如による下半身のブレがヒザの故障となってあらわれる人と、腰の故障となってあらわれる人の2タイプに大きくわかれるのですが、荻野選手の場合はヒザの症状となってあらわれるタイプでした。フィット感に優れたコウノエベルトスパイクを履くことで下半身のブレがおさえられると、ヒザのぶれもおさまり、ひいては炎症も自然とおさまる。炎症がおさまれば、冷やすための水は用がなくなるので、ひいていく。そういうことが荻野選手の身体の中で起こっていたのだと思います」

――荻野選手、嬉しかったでしょうね。

鴻江: 「コウノエベルトスパイクを使用したいという理由で、デサント社と契約して頂きました。スパイクを開発した立場の者としては、すごく嬉しかったです」

 昨季(2017年)は、自己最多となる試合出場を果たした荻野選手。安打、本塁打部門でも自己ベストの数字をマークし、キャリアハイとなるシーズンを送ることに成功した。昨年、コウノエベルトスパイクが一般向けに発売された際には、以下の着用コメントをリリースした。
 「『疲れにくい』『足が地面に引っ付いている』という感覚。足の甲をしっかりとホールドすることで、つま先が広がる感覚があり、安定感が増す。足首周りのホールド感がしっかりとあるので、全力で走ることができる。また、コウノエスパイク着用により、ヒザへの負担だけでなく、下半身全体の負担が減りました」

 プロ野球界でも愛用者が増える一方のコウノエベルトスパイク。荻野選手以外の着用コメントも一部紹介しよう。(※)
 「スパイクと足との一体感を感じる。それが下半身の安定感につながり、バッティング、フィールディング等のパフォーマンスが向上した。安定感が増し、次の動きに入りやすいので動きのロスが軽減され、疲労感もほかのスパイクよりも少ない」(横浜DeNA・伊藤 光捕手)
 「靴ヒモだけでなくベルトで締めることで、靴ヒモでは得られないホールド感を感じることができる。足指がよく使えている感覚がして、着地の安定感が増した。着地の安定感が増すことで、ケガのリスクを減らすことができていると思う」(埼玉西武ライオンズ・外崎修汰選手)
 故障に悩まされ、本来の実力がなかなか発揮できなかったソフトバンクの千賀 滉大投手は、左足を上げた時の下半身のブレが故障を誘発していることが判明。コウノエベルトスパイクを使用することで、故障がちな体と決別することに成功したという。

 前編はここまで。後編では、「コウノエベルト」を搭載したスパイクが高校野球で使用できるようになるまでの開発の裏話。そしてスパイクの特徴と、スパイクに込められた鴻江さんの想い。最後に高校球児へのメッセージを伺いました。お楽しみに!!

(※)個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。

文=服部 健太郎
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プロフィール

鴻江 寿治
 鴻江 寿治(こうのえ・ひさお)
  •  1966年福岡県生まれ。学生時代に肩を故障したのをきっかけに、さまざまな施術を勉強しながらトレーニングのノウハウを学び、「骨幹理論」を確立した。現在、野球、ソフトボール、ゴルフ、バレーボール、陸上、サッカー、相撲、格闘技などのトップアスリートのアスリートコンサルタントとして活躍中。
     WBC第1回・第2回日本代表チーム、アテネオリンピック野球・バレーボール女子日本代表チーム、トリノオリンピックスピードスケート代表チーム、北京オリンピック野球・ソフトボール・バレーボール男子・女子日本代表チームに、パーソナルトレーナーとして帯同。ファイナンシャルプランナーCFPの国際ライセンスを持ち、アスリートにアドバイスをすることも。
     鹿屋体育大学との共同研究の【鴻江寿治の骨幹理論】を7/25に学会にて発表(SPORTEC2018にて)。9月14日に自身の書籍【あなたは、うで体?あし体?~3秒で体がわかる、人生が変わる~】を出版。
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