Interview

ブランドン・レアード(北海道日本ハムファイターズ)「いつでもポジティブに!夢を信じて突き進め!」

2018.07.05

 野球の華といえばホームラン。打球がスタンドに吸い込まれた瞬間、球場の時間はアーチを放った打者だけのために流れる。来日以来、そんなぜいたくな時間を3年連続で30回以上も味わい、記録にも記憶にも残るアーチを描き続けているのが、日本ハムのブランドン・レアード内野手(30)だ。メジャーでは3シーズンでわずか6本塁打だったレアードが、日本でアーチストとしての本能を開花させた理由は、究極のポジティブ思考にあった。

どんな時でも前向きに

ブランドン・レアード(北海道日本ハムファイターズ)「いつでもポジティブに!夢を信じて突き進め!」 | 高校野球ドットコム
バッティング練習を行うブランドン・レアード(北海道日本ハムファイターズ)

 いまや全国区になったホームランパフォーマンスの“スシポーズ”。この陽気な助っ人が、球場でスシを握れば握るほどチームは盛り上がり、スタンドは沸き返る。打率は決して高いというわけではないが、ここ一番では必ず飛び出す一発が、レアードの最大の魅力といえる。「アメリカではシーズン30本なんて打ったことなかったから、日本に来てこれだけ打てているということには達成感があるよ。まあ、メジャーでも500打席もらえれば、30本は打てていたけどね」と、茶目っ気たっぷりに話すレアードは、ポジティブオーラに包まれていた。

 

 どんな時でも前向きな姿勢は変わらない。バットを振れば打球が勝手に飛んでいくような好調時も、スランプにあえいでいる時でも、常に笑顔は絶やさない。「試合に出る時には、いつも一番活躍できるプレーヤーでありたいと思って臨んでいるんだ。これはアマチュア時代からずっと変わっていない。毎日が勉強だし、さらに良い打者になるために、何事にも積極的に取り組むように心掛けているね」というのが自らの信条だ。

 

 07年のドラフト27巡目でヤンキースに指名され、ルーキーリーグからプロ野球選手としてのキャリアは始まった。コツコツと実績を積み上げ、10年には2Aで打率・291、23本塁打、90打点をマークし、イースタンリーグのMVPと新人賞を獲得。翌11年7月にメジャー昇格した。

 「自分はマイナーにいた頃から打撃が持ち味だと思っていたし、メジャーでも活躍できる素質を持っていると信じていた。とにかく“メジャーでの打席が欲しい”“チャンスが欲しい”と思いながらプレーしていたんだ」と、当時を振り返った。

 メジャーデビュー戦では、いきなり初安打初打点をマークするなど、勝負強さの片鱗はこの頃から見せていた。その後アストロズ-ロイヤルズ-ナショナルズを経て、15年から日本ハムの一員に。来日当初は日本の配球に苦しみ、打率は1割台に低迷していたが、夏場に入ると徐々に本領を発揮し始める。後半戦では持ち前の長打力と勝負強さが頭角を現し、終わってみれば34本塁打、97打点という成績を残してみせた。

 「最初の半シーズンは、打者有利のカウントでも変化球を投げてくる投手がいるということに驚いた。それで不振に陥ってしまったけど、その間に学んだことは忍耐強くあること。そのことによって変化球への対応が、アメリカ時代より一段と向上して、いい打者になれたんじゃないかと思う」と、自分を信じ続けることで、日本の野球へも順応していった。

全米シェア率No1金属バットいよいよ上陸!!
ブランドン・レアード(北海道日本ハムファイターズ)「いつでもポジティブに!夢を信じて突き進め!」 | 高校野球ドットコム

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日本での活躍は意識の持ち方を変えたことが一番の要因

ブランドン・レアード(北海道日本ハムファイターズ)「いつでもポジティブに!夢を信じて突き進め!」 | 高校野球ドットコム
インタビューに答えるブランドン・レアード(北海道日本ハムファイターズ)

 すると16年には前半戦から打ちまくり、39本塁打でホームランキングに輝く。球団が北海道移転してから500勝目となるロッテ戦での延長12回、勝負を決めた劇弾を含む3本のサヨナラ弾、日本シリーズMVPなど、記録にも記憶にも残る大活躍をみせた。堅実な守備も加え、4年目となる今季もここまで16本塁打(7月9日現在)と、チームの主力としてなくてはならない存在となっている。「ホームランバッターの印象が強くなったのは日本に来てからかな。もちろん今シーズンも30本という数字を意識しながらやっているけど、できるだけ数字にはとらわれず、いいシーズンを過ごしたいという気持ちの方が強いね」という言葉からは余裕すら感じられた。

 

 日本で長距離砲としての素質を開花させたレアードだが、その理由は技術的なことよりも、あくまで意識の持ち方だという。

 「確かに変化球の打ち方はうまくなったけどね。でも一番変わったのはボールに対するアプローチの仕方。その感覚がつかめたことだと思う。シーズンを通して打席に立つチャンスをもらえたことが大きいね」と一打席一打席を冷静に分析し、微調整を重ねた結果が今の打撃につながっていることを強調した。

 

 さらには「とにかく自分のできることをやっていくだけ。周囲からネガティブな言葉を聞くこともあるけど、それは意識しないようにしているよ。そんなものにとらわれず、自分の中で集中して、自分を信じて、試合で活躍することだけを考え、そこに到達できるまで自分のできることを精一杯やっていくという意識を持つことが大事」と付け加えた。

 
 

 フォロースルーでは右手をバットから離して、大きくスイングする独特の打撃フォームも、そんな試行錯誤の中から生まれた。「はっきり言って、技術的なことはあまり深く気にはしていないんだ。ボールとのタイミングが合っていれば、自分の一番いいスイングができることは分かっているからね。あのフォロースルーが、自分にとっては一番長くボールに目をつけていられる形なんだ。右手を握ったままだと、バットにボールが当たった瞬間、ボールへの意識が消えてしまうんだよ。“トップからコンタクトポイントまでを短く、当たってからはフォローを長く”という意識からあのスイングになっている」と、アマチュア時代にはすでにあのフォームを確立させていた。

 

 

 それともう一つ大事にしているのが、試合に臨むための準備だ。「試合前の打撃練習では、その時の自分の課題をしっかりと意識しながらやっている。バッティングの後は相手投手の球種や配球などを頭に入れる。その中で相手の失投を絶対に逃さないよう集中することだよ」と、特別なことは何もしていない。ただ誰もができることを淡々と繰り返してきた結果が、現在のレアードの活躍につながっている。

全米シェア率No1金属バットいよいよ上陸!!
ブランドン・レアード(北海道日本ハムファイターズ)「いつでもポジティブに!夢を信じて突き進め!」 | 高校野球ドットコム

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大事なのはうまくなりたい気持ちを持ち続けること

ブランドン・レアード(北海道日本ハムファイターズ)「いつでもポジティブに!夢を信じて突き進め!」 | 高校野球ドットコムブランドンレアード(北海道日本ハムファイターズ)

 技術面にしても、練習、試合に取り組む姿勢にしても、とてもシンプルで分かりやすい。このあたりは高校生でも明日から取り組めることばかりだし、十分参考になるのではないか。

 「プロでもアマチュアでもやることは変わらないと思うよ。実際、僕は今でもずっと同じことをやり続けている。それは打撃練習にしても、守備練習にしても、ウエートトレーニングにしても同じ。大事なことは、さらにいい選手になりたいという気持ちを持って取り組むことさ」と、高校球児にエールを送った。

 レアード自身、日本の高校野球には大変興味を持っており、春夏の甲子園大会もよくテレビ観戦しているという。「高校生の野球を見ているのは楽しいし、自分が高校の頃を思い出すよ。特に日本の高校野球は選手がみんな情熱的に試合に挑んでいる。高校野球に関しては、アメリカよりも日本の方が盛り上がっているよね」米国では甲子園のような大きな大会はなく、それぞれの地区のトーナメントで5、6試合あるだけだそうだ。

 「自分が高校時代に出た大会は、カリフォルニア地区でやっている小さなものだった。でも決勝だけはいつもドジャースタジアムとかエンゼルスタジアムでできるんだよ」と、懐かしそうに振り返った。

 来日4年目にして、まだまだ進化を続けるレアード。いつもプラス思考で目の前にあることに全力で取り組んでいく限り、その成長は止まらない。「日本に来たということが、自分のキャリアにとって一番いい出来事だったと思う。日本のプロ野球で得た経験とか、日本での生活すべてが自分のプラスになっているよ」と、何を聞いても悲観的な言葉は出てこない。

 「高校生には毎日努力を怠らず、夢を信じて突き進んでいってほしいね。その上で野球を心から楽しむことだよ」高い志さえ持っていれば、伸びしろは無限大。今なおレベルアップし続けるレアードの姿が、高校球児への力強いメッセージといえる。

 

文=京田 剛

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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