Interview

古江空知(大分商)5年ぶりの甲子園出場へ。目指すは「全試合完封」

2018.07.02

名門・大分商をまとめるキャプテンでありながら、最速142キロを投げるエース古江空知。そのキャプテンシーと闘志あふれる投球について語ってもらった。

エースでキャプテンの古江が語るキャプテン論

古江空知(大分商)5年ぶりの甲子園出場へ。目指すは「全試合完封」 | 高校野球ドットコム
古江空知(大分商)

 まず開口一番に伺ったのが、50人を超える部員をどのようにまとめているかだった。古江から返ってきた答えは以外にもあっさりとした回答だった。「チームでミスした時に声をかけるのは当たり前として、意識が高い選手が集まってきているので、自分が言わなくても周りの人が言う、チーム全体で言えるので自分はあまり大変なことはしていないです。」周りの意識が高く、率先して意見を言ってくれると古江は言うが、そのようなチームの雰囲気を作り出しているのは、やはり古江の人柄だろう。相手を信頼し認めていないと、なかなか言えない言葉である。

 インタビューを通して、この「相手への信頼」、というワードは古江の至るところのコメントで感じられる。古江のキャプテン論は?といえば「信頼」なのであろう。

 古江は、その信頼できる仲間と目指す場所は「甲子園」と言い切る。

「伝統のある高校で、甲子園を目指してみんな来ているので、一球、一球のアプローチをしっかりする。監督、コーチ全員が甲子園を目指してやっているので、一つのミスに対してみんなで言ったりとかは常に心がけてやっています。」

キャプテンが、チームの目標を明確に伝え、チームが同じ方向を向いているのは成熟したチームの証と言える。そんな成熟したチームを作り上げた一つの要因は、古江の相手を信じる強さだろう。

 古江にチームの特徴を聞くと、機動力を挙げてくれた。

「去年までは打のチームで、取られたら取り返すぐらいのチームでした。今年は機動力を使った野球をして接戦を制していくチームです。1番森下颯太 、2番 木本颯斗、3番 田中誓哉田畑洋斗と自分も含め、50メートル6秒台前半の選手が揃っている。チームの打撃も上がってきています。チャンスで打てる形にするための走塁、盗塁してチャンスを作りそこでの1本を打てる打撃を目指しています。」

[page_break:気迫がこもった投球で勝利を呼び込みたい]

気迫がこもった投球で勝利を呼び込みたい

古江空知(大分商)5年ぶりの甲子園出場へ。目指すは「全試合完封」 | 高校野球ドットコム
古江空知(大分商)

 次に古江自身の目標を聞くと

 「去年決勝で悔しい思いをしているので。チームに迷惑をかけてしまったので、先輩たちの気持ちも晴らせるような、気持ちのこもったピッチングをしたいと思います。」

と元気よく話してくれた。

  古江の投球の魅力は、なんと言っても気持ちのこもった、気迫のある投球である。ただ、勘違いしないで欲しい。常に気迫のある投球を続けるのと、気迫をコントロールしている投球は大きく違う。古江はもちろん後者になる。

 その証拠に、どんな時に気持ちが入りますか?の質問に古江は 

 「満塁や、ピンチのときなど、または1回、9回など大事なイニングでは自然に声が出てしまいます。」

と語ってくれた。1年生から登板をして経験を沢山積んでいる古江は、勝負所を感じる能力に長けている。古江のコントロールされた気迫は、試合の流れを引き寄せたり、相手に流れを渡さないための大きな武器になっている。

 また、自身のストレートについても

「去年もストレートに自信を持って投げていました。今年も球速は変わらないのですが、走ってキレを伸ばしていきましたので、
ストレートとスライダーには自信を持っています。みんなで階段がたくさんある近くの神社に行ってかなり走り込みました。」

と語ってくれた。この走り込みにはある背景がある。

 9月22日の九州地区予選2回戦で大分工にコールド負けを喫した大分商。その後、渡辺監督から「お前たちはどうなりたいんだ?」と聞かれ、「自分たちで走り込まないと」と話し合い、その日からチームで走り込みをはじめたとのこと。古江は走り込みの効果を感じているようだった。

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全試合完封を掲げた古江空知(大分商)

 2013年以来となる夏の甲子園へ。エースとして活躍に期待がかかる古江が掲げたのは「全試合完封」。チームに流れを呼び込む投球をすれば自ずと勝機は訪れてくる。この夏、背番号「1」を付けてマウンドに登る古江の背中に注目したい。

 編集後記
色紙に「全試合完封」と書いてくれた古江選手。あまりの達筆に「字がうまいですね」と声を掛けると小学生時代に習字を習っていたとのこと。伸びと勢いのある文字にも注目です。

(文=田中 実

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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