Interview

古賀悠斗(福岡大大濠―中央大)後編「甲子園、侍ジャパンの経験は大きな財産となった」

2018.05.23

 福岡大大濠時代には、甲子園にU-18代表と豊富な経験を積んだ古賀悠斗選手。現在は中央大学で日々切磋琢磨している古賀選手に、福岡大大濠の入学のキッカケや、自身が大事にしているバッティング練習。そして、目標の重要性を前編では語ってもらいました。後編の今回は、キャッチャーとして成長するまでの試行錯誤。そして、甲子園・U-18での経験を語ってもらいました。

失敗を重ねながらリードとキャッチングを勉強

古賀悠斗(福岡大大濠―中央大)後編「甲子園、侍ジャパンの経験は大きな財産となった」 | 高校野球ドットコム
インタビューに答える古賀悠斗(中央大)

 キャッチングも投球のストップも本当に一から始めました。キャッチングは最初、全然、音が鳴らなかった。まずは音を出すことからでした。これもいろいろなピッチャーの球を何球も受ける中で、このあたりで捕ると音が鳴るなというのがわかっていきました。変化球の入り方は段階を追ってやりました。マシンを使って、はじめは音が鳴るところにパンッと当てるだけでキャッチしない。感じがわかったらキャッチして、最後はしっかりミットを止めて捕れるように練習しました。

 また藤山晶広コーチにもいろいろと指導していただきましたし、プロのキャッチャーを見て捕り方などをブルペンで試したり、自分に合うものを吸収しました。自分が特に注意しているのはボールを下から見ること。視線が上からだとミットは捕ったときに下がってしまいがちになる。カーブとか縦の変化球もそうですが、下から見て、ボールが来たところに少し下からキャッチングするようにしています。

 ただ基本的には際どいところをストライクに見せようと動かしたりはせずに、捕球の際はミットをしっかり止めるのですが、低めをすくい上げてしまうところがあって、この前審判の方に『ストライクと言いたいんだけど、ミットを上げられるとボールにしてしまう』と言われて、低めのキャッチングの静止を改めて意識するようになりました。ストップの技術もまだまだですし、課題は多いです。

 配球面も八木監督、藤山コーチに、ときにはエースの三浦銀二(現法政大学)にも教えてもらいながら、秋の大会に向けた練習試合を重ねて研究していった。1試合に6本塁打も被弾する屈辱も味わったが、気持ちが萎えるどころか、より一層学ぶようになり、バッターの構えによって弱点がどこにあるかなど、タイプ別の癖や傾向を頭にインプットしていった。それと同時にキャッチャーとしての喜びが芽生えていった。

 「キャッチャーになってからチーム優先という思いが一気に強くなりました。自分のバッティングはどうでもいいからチームが勝てればいい。それまでは自分のバッティングが、自分の守備がというふうに思っていましたが、考え方が変わりました。自分が決勝ホームランを打って勝った試合とかよりも、キャッチャーとして勝利する喜びの方が全然、大きかったんです」

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初の神宮大会と甲子園で得たもの

古賀悠斗(福岡大大濠―中央大)後編「甲子園、侍ジャパンの経験は大きな財産となった」 | 高校野球ドットコム
古賀悠斗(U-18)

 選抜がかかった秋。ある程度の自信を持って臨めていたが、本当の手応えを得られたのは福岡県大会、九州大会を制して臨んだ明治神宮大会だった。

 「九州大会も初戦の2回戦から準決勝まで三浦と3試合連続完封で勝てて、選抜もほぼ決まり、苦労してやってきてよかったなと思いましたし、自分のリードで完封できて充実感がありました。そして、その後の神宮大会の初戦で明徳義塾にも完封勝ちできた。全国の強豪チームにも勝てて自信がつきましたし、リードや配球面で確信が持てたところもありました。ただ、セカンド送球に関してはボールがシュートしてしまっていた、右ひじが下がって押し出していた証拠。セカンド、ショートが構えるところには投げられていましたが、シュートするということは、球の軌道としては真っすぐに行くより距離のロスがあるので、その分、時間がかかる。神宮大会が終わってビデオを見て、上体も前傾していて、これはダメだなと思って、福岡に帰ってからは胸を起こして上から強い送球が投げられるように修正しました」

 プロのスカウトも目を引くスローイングを見せていたが、本人はみずからを冷静に見つめて、周囲の高い評価に浮かれることなく進化した自分の姿を追いかけていた。続く、敗れた早稲田実業戦でも広角に打ち分けて3安打しているが、口をつくのは反省の言葉だ。

 「清宮はまずデカかったですね。あとスイングが速い。あの三浦のインコースの真っすぐに詰まらされない。それでどうしようとなって、始めて、どこに何を要求したらいいんだろと思ってしまいました。やばいなと思って厳しめに、厳しめにといって結局、全打席四死球で出塁を許してしまった。逃げた自分はまだまだ弱いなと思いました。もっと大胆に勝負して、打たれたらしかたがないくらいで行ってもおもしろかったかなと。経験の浅さが出てしまいましたね」

 そうしたことも糧にして向かった選抜では、強気の配球で三浦の好投を引き出した。初戦を突破し、2回戦では滋賀学園との延長再試合で決勝ホームランも放った。

 「甲子園に行けたことは自分の中で財産になっています。やっと夢だった場所に来られたなって。まず球場に感動して、甲子園の中だけ空気が違う感じがしました。試合では観客とか、応援もすごくて神宮大会とは違った緊張感がありました。特に再試合のあの緊張感は2度と味わえないものですし、正直、疲れました。でも、あの試合を経験して、ああいう緊張感の中だったり、どんなときでも冷静でいられる、自分の力を出し尽くせるようになるための練習をしようと意識するようになりました」

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大学では日本代表になって三浦銀二とバッテリーを組みたい

古賀悠斗(福岡大大濠―中央大)後編「甲子園、侍ジャパンの経験は大きな財産となった」 | 高校野球ドットコム三浦銀二ともう一度バッテリーを組むと語った古賀悠斗選手

 夏は県の決勝戦で惜しくも敗れたが、キャッチャー経験がわずか1年でU18の一員に選ばれたのは、そうした自分の課題を素直に受け入れ、ひたむきに努力を積み上げてきた誠実さがあったからなのだろう。

 「U18は選抜と同じくらいの宝物ですね。高校野球のトップの選手が集まるわけですし、夏は甲子園にも行けていなかったので自分でいいのかなって思いましたが嬉しかったです。秀岳館川端健斗(現立教大学)、田浦文丸(現ソフトバンクホークス)とか、花咲徳栄清水達也(現中日ドラゴンズ)とか、本当にいいピッチャーがたくさんいて、いろいろなボールを受けることもできて、すごくいい経験になりました。でも、自分は三浦としか組んでいなかったので、最初に試合でバッテリーを組んだサウスポーの木更津総合山下輝(現法政大学)とか、変化球はワンバウンドすればはね方も違う。そこでランナーを進塁させてしまったりもして、未熟さを感じることが多かったです」

 そうやってまた古賀は成長して進学した中央大学でもいきなりベンチ入り。5月2日の立正大学との2回戦では途中出場ながら、初めてベンチではなくグラウンドで大学での勝利の瞬間を見届けた。先々のプロ入りを目指すが、もう1つ叶えたいことがある。

 「大学野球はピッチャーの球のキレもすごいですし、やらなければいけないことばかりですが、また三浦のボールを受けたい。あいつがいなければ、ここまで来られなかったですし、一緒に大学日本代表に選ばれて、お互い成長した姿でまたバッテリーが組みたいです」

 高校球児たちへも、こうエールを送る。

 「目標を見つけて、そこに向かってガムシャラにやっていってほしいですね。野球だけでなく、早寝早起きだったり私生活でもきちんとやるべきことをやると、野球にもいい影響がすごく出てくるので、そうした部分も大事にやっていければ成長できると思います。自分はそうやって甲子園にも行けました。気持ちの面から変えて、気持ちを切らさずに頑張れば、目標を絶対に達成できると思います」

 目標を持って、貪欲に練習に取り組み続けた高校3年間を過ごしていた古賀選手。決して諦めることなく、ひたむきに取り組み続けた先に自分の立てた目標があるのだ。今後活躍を続け、大学日本代表バッテリーに三浦-古賀の名が連ねることを楽しみにしたい。

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文=鷲崎 文彦

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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