Interview

古賀悠斗(福岡大大濠ー中央大)前編「打撃では無欲、守備では貪欲に」

2018.05.13

 昨春の第89回選抜高校野球大会で母校・福岡大大濠高校を26年ぶりの甲子園出場に導き、ベスト8まで勝ち進んだ中央大学1年生の古賀悠斗捕手。大学野球でも春季リーグから背番号をもらい、5月8日にはスタメンとして名を連ねた。早くも試合経験を重ねている古賀は、どんな高校野球生活を送って成長してきたのか振り返ってもらった。

福岡大大濠の新入生メニュー『寝強化』と『立ち強化』

古賀悠斗(福岡大大濠ー中央大)前編「打撃では無欲、守備では貪欲に」 | 高校野球ドットコム
古賀悠斗(中央大)

 中学時代はピッチャーだったものの高校では野手としての大成を期待され、内野手として高校1年生の春の大会からベンチ入りし、夏の大会はサードで出場。高校野球のレベルの高さを感じることはそれほどなかったと話す古賀だが、誰もがそれぞれに戸惑いや慣れるまでの時間を必要とするように、最初から野球に集中できたわけではなかったという。

 「監督の八木啓伸先生、部長の林佑樹先生に熱心に誘っていただき、大濠高校の伝統あるユニフォームに憧れていたこともあって進学を決めたのですが、練習の雰囲気も元気があって明るいですし、林先生もすごくコミュニケーションを取ってくれる。もちろん、わからないことも多かったですし、1個上で阪神に入られた浜地真澄さんの投げる球を見て、すごいなと思った印象も残っていますが、野球自体で戸惑うことはなかったです。

 ただ、自分の場合、1番きつかったのは朝の通学でした。学校での朝練が7時半からなので6時15分の電車に乗らなければいけなかった。起きるのは5時半くらい。2か月くらいで自然と起きられるようになりましたが、そこまでは本当にきつかったですね」

 高校レベルのプレーができていた古賀はすぐに上級生に交じって練習に参加していたが、通常の1年生は基礎体力を上げるメニューから始める。
 「大濠高校には、腹筋と背筋を鍛える数種目が組み合わさった『寝強化』、スクワットなどの下半身を強くする種目がいくつか合わさった『立ち強化』という、雨の日の学校での練習のときなどにも行う2つのメニューがあるんです。寝補強は1セットで腹筋、背筋、それぞれ種目ごとの回数を足すと100回くらいあるもので、それを3セットとか。

 あとはポール間走、ベースランニングといった走り込み、朝は1周2キロの大濠公園を2、3周など、1年生は3か月くらい体力作りがメインになります。ボールはほとんど触らない。全体練習が終わった後の個人練習の時間にキャッチボールやトスバッティングをする程度でした」

 まずはしっかりと時間をかけて体を作るというのが大濠高校の方針のようだ。今、同じように体作りに励んでいる高校1年生も少なくないだろが、地道な取り組みの繰り返しこそ自分を成長させる手立てとして欠かせないことで、それは技術面においても同様である。古賀の高校時代の述懐は、そのことを再認識させてくれる。

 「フィジカル面ではウェイトトレーニングはよくやっていました。ただし、あくまでも無理のない範囲で、です。マックスのウェイトで上げたりすると、やっている感じは強くなりますけど、そうではなくてマックスの7、8割くらいのウェイトで、頑張りすぎない範疇で回数を多く行っていました。高校のときはそういうやり方がいいと思います。地味ですし、もっと重いのを上げたいなとストレスもたまるんですけど、そこは我慢が大事です」

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[page_break: 高校通算52本塁打を生み出したスローボール打ち]

高校通算52本塁打を生み出したスローボール打ち

古賀悠斗(福岡大大濠ー中央大)前編「打撃では無欲、守備では貪欲に」 | 高校野球ドットコム
キャッチャー姿の古賀悠斗(中央大)

 高校通算52本塁打の強打を手に入れられたのも、試合での結果に結びつかない「自己満足」という欲を捨てられたからだ。

 「大濠高校では冬場のバッティング練習は毎日、スローボールを打つんです。ピッチャーに近めの距離から緩いボールを投げてもらって、それを引きつけてセンターから逆方向に強い打球を飛ばす。打球の高さはフライでも、ゴロでもなく、ピッチャーの頭の上を狙うイメージ。

 この練習のおかげでタメが身につきました。速い球を打っていると、どうしても体の開きが早くなってしまったりする。練習のときから、ボールを引きつけて、引きつけて、グッと開くのを耐えて、耐えて、強くスイングする。遅いボールなので思い切り引っ張りたくなるんですけど、それを自制する。3か所で、1人25分くらい続けて打つので200球くらい打っていたと思います。

 これは時期を問わず、やった方がいいと思いますね。自分も冬場以外でも調子が落ちたときとか、普通のフリーバッティングでピッチャーにリクエストしてスローボールを投げてもらったりしました。バッティングフォームの確認、確立するのにもいいですし、スイングスピードが上がった実感もあります。

 バットの入れ方とか、こう打ったら、こう飛ぶなというのも感じながら打つことでバットコントロールもよくなるはずですし、よくプロ野球選手が『打球に回転をつける』と表現したりしますが、その感覚もはっきりではなくても、こういうことかなというのはつかめてくると思います」

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[page_break:目指していたのは盗塁阻止率9割]

目指していたのは盗塁阻止率9割

古賀悠斗(福岡大大濠ー中央大)前編「打撃では無欲、守備では貪欲に」 | 高校野球ドットコム
指示を出す古賀悠斗選手

 そして、目標に対して忠実であり続けたことが成功の後押しになった。

 「将来の夢としてプロ野球選手というのはありましたけど、高校時代の目標は甲子園に行きたい。それがすべてでした。やっぱり目標を持つことは大事だと思いますね。甲子園にいくためにもキャッチャーとして目指していたのが盗塁阻止率9割です。実際に達成できたのかどうかはわからないんですが、全体練習の後の自主練習では必ずセカンド送球をやりました。近くからでもいいのでボールを投げてもらって捕ってすぐにセカンドに投げる。肩に自信はありましたが、2年生の夏の大会後に初めてキャッチャーになったので、とにかく反復練習していました。

 投げ方も、ボールの持ち替えとかも、個々の感覚だと思うので数を重ねることで自分のベストを見つけていきました。指先の感覚を大切にしながら、こう投げれば、あそこに行くというのを体にしみ込ませる。それとキャッチボールのときから『相手のここに投げる』と決めていました。胸とかだけでなく、足元だったり、ひざの高さだったり、一球、一球、投げていました。

 足のステップは試合ではバッターがいるのでその場で行いますが、練習ではしっかり前に出て、体重を移動させて思い切り放るのが大切。踏み込んだ左足を支点にして、そこに体の右側をなるべく下から寄せていくようにして投げるイメージ。下から、下から行くようにしていたのは変化球やショートバウンドの場合もあるので、常にそういう意識を持っています。肩が弱い人は遠投などで少しでも強くする必要はあると思いますが、肩が強くなくても送球タイムが速いキャッチャーはいますし、そのためには持ち替えとステップの練習をした方がいいと思います。

 後編では、古賀選手がキャッチャーとして大成するために取り組んだ練習方法。そして甲子園・U-18大会での経験や大学野球への抱負を伺いました。お楽しみ!

古賀悠斗(福岡大大濠ー中央大)前編「打撃では無欲、守備では貪欲に」 | 高校野球ドットコム
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文=鷲崎 文彦

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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