Interview

増田陸選手(明秀日立)「甲子園では中学時代のライバルに勝ちたい!」

2018.03.06

 今春のセンバツ出場を決めている明秀日立(茨城)でリードオフマンとして活躍している13702選手。打っては、昨秋の関東大会で2試合連続ホームラン。守っては、遊撃手として守備の要を担う増田選手に、これまでの歩みをうかがった。

2人にライバルに揉まれながら取り組んだ中学3年間

増田陸選手(明秀日立)「甲子園では中学時代のライバルに勝ちたい!」 | 高校野球ドットコム
増田陸(明秀日立)

 小学校1年から軟式の此花トライアルで野球を始めた増田選手。「元々はサッカーをやりたがっていたらしいのですが、父にサッカーだけでなく野球チームの見学にも連れて行ってもらい、その結果、野球を選んで始めることになりました」。小5の時にはピッチャーとなったがヒジを故障。それでも野球がやりたくて、「利き腕ではない左腕でボールを投げ、片手でバットを振っていた」という。それほど野球に熱中した増田選手は中学に上がると「硬式で野球がやりたい」という理由で大阪福島シニアに所属。ここで現在、早稲田実でプレーする野村 大樹選手や大阪桐蔭中川 卓也選手とチームメートになった。

「2人は中1の終わりくらいに入ってきたのですが、体験入部の時のバッティング練習を見ていたら、スイングがすごくて『次元が違う。このままだと試合に出られなくなるな』と思いました」。しかも、その頃、ショートのレギュラーだった増田選手は中川選手とポジション争いをすることに。「当時の自分はバッティングが苦手だったので『とにかく守備で勝とう』と決心しました。それで、毎日、ノックを受けてものすごく練習し、最終的には自分がショートで中川はセカンドを守ることになったんです」。

 もちろん、バッティングも向上させた。「小学3年の時、足が速かったので左打ちにしたのですが、当てるだけのバッティングになっていて8番や9番を打つことが多かったんです。でも、野村のバッティングを見て『このままではやっていけない』と思い、元々、右打席で打った方が飛距離も出ていたので、右打ちに戻したんです」。
 こうして力強いスイングができるようになったことで1番打者を任せられるようになった増田選手は「野村と中川の存在は大きくて、いろいろと成長させてもらいました」と、当時を振り返っている。その後、別々の高校へ進むこととなり、「『甲子園で会おう』という話はしました。ただ、実力に差があったので、2人は自分のことなんて眼中になかったかもしれませんけれど(笑)、自分はライバル意識を持っていましたから」

[page_break:割れと前捌きの技術を極め、打撃開眼]

割れと前捌きの技術を極め、打撃開眼

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関東大会で活躍を見せる増田 陸選手(明秀日立)

 高校では明秀日立野球部に入部した増田選手。「まだ甲子園に出たことがないと聞いていましたが、金沢(成奉)監督にいろいろと熱い話をしていただいて『監督に付いていけば甲子園で活躍することも夢じゃない』と思って、入りました」。

 しかし、「自分が入った時、3年生に細川 成也さん(DeNA)がいて、バッティング練習でレフトの高いネットを越す120mくらいの打球を放っていましたから、『今の自分の打力ではとてもじゃないけれども太刀打ちできない』と感じました」という。それでも「中学時代はキャッチボールとか壁当てとか、守備につながる練習をすることが多かったのですが、明秀日立ではとにかくスイングをたくさんやりました」と、増田選手。

 様々な種類のティーバッティングなどで1日1200スイング。しかも、「ただ振るのではなく、『割り』を意識してスイングするように指導されました」と、地道にスイング練習を重ねていった。このフォームを会得するまでには時間が掛かったが、「1年冬に重たいバットで200球を振り込む練習をして、その200球全球に集中してスイングをするようにしたところ、やっと思うようにバットが振れるようになりました。そうやってフォームが固まり、自分の形ができてきたことによって飛距離もミート力も上がっていったんです」。

 そして、現在、バッティングフォームで課題にしているのは「まずはトップの位置を意識して力まないようにし、インパクトの瞬間に力を集中させること。バットをしならせるイメージで手首を返し、ヘッドを走らせることで飛距離も出るようになっていると感じています。もう一つは上半身だけで打つのではなく、下半身をしっかりと使って打つこと。そのために大事にしているのが左足の踏み込みで、金沢監督の教えは後ろ軸なんですけれど自分はどうしてもうまくできなかったので、前でボールを捉えるようにしています」。<=”” p=””>

 そこで、参考にしているのがソフトバンクの松田 宣浩選手だ。「前軸といえば松田選手、というイメージがあったので動画などを見てフォームをマネしました。今では『松田選手に似ているな』と言われるようになっています」。さらに、広角に打ち分けることもテーマにしている。「これまではレフト方向へ引っ張った打球ばかりだったのですが、今は打率を上げたいのでセンター中心に打つように心掛けています。コースに合わせてバットの芯を投球のラインに入れていくイメージなのですが、外角のボールは逆方向へ。内角に来たらさばくようにして練習しています」。また、昨秋は関東大会の準決勝と決勝で2試合連続ホームランを放った。「あれはたまたまで……(笑)。長打はあまり狙っていないのですが、今、高校通算19本塁打なので、35本を目標にトレーニングをしています」。

 その言葉通り、この冬は週2のペースでウエイトトレーニングに励んでいる。「専門のトレーナーの方にメニューを作っていただいて、ベンチプレス、スクワット、デッドリフトなどをやっています。『自分が限界に達して、つぶれるくらいまでやらないと意味がない』と言われていて、かなり追い込まれるので最初は吐きそうになるくらいでした。でも、今は慣れてきているので、自分で追い込めるようになっています」

[page_break:地道な守備の積み重ねがスーパープレーを生み出す]

地道な守備の積み重ねがスーパープレーを生み出す

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軽快な守備を見せる増田陸(明秀日立)選手

 このように打撃を磨いている増田選手。一方でショートの守備については「球際と捕ってからの早さには自信があります。でも、一番のセールスポイントは肩の強さです」と、話す。

 三遊間の深い当たりに対しては「下半身をしっかり使って投げるようにしています。ステップをする余裕がない打球ほど上半身だけで投げてしまいがちですが、そういう時こそ踏ん張って、左足を踏み込んで投げています」という。

 そして、増田選手といえば、守備範囲の広さも魅力の一つ。センバツ出場を懸けた関東大会の準々決勝・健大高崎(群馬)戦では点差を2点に広げられた4回、さらに二死一三塁のピンチで二遊間に弾んだヒット性の打球をグラブの先で掴み、回転しながらファーストへ送球してアウト。流れを引き寄せるビッグプレーでチームの逆転勝利に貢献した。「あの時は体が勝手に反応した感じで、あとで映像を見たところ一歩目のスタートが良く切れていました。普段、ノックはもちろんペッパーから一歩目のスタートをしっかり切るようにしていますが、そういった練習を積み重ねていけば自然と守備範囲が広くなっていくのだと思います」

 そして、センバツに向け「打撃ではセンターを中心に右中間や左中間を抜くバッティングをして三塁打を狙っていきたい。守備では球際を鍛えて、守備範囲が広いショートとして注目されるように頑張りたいです。目標は日本一なので、主将として常にチームのことを考え、個人としても試合に勝つための結果を出していきたい」と、抱負を語った。そして、「センバツには中川がいる大阪桐蔭も出場するので楽しみです。できれば直接対決して、絶対に勝ちたいです」と、増田選手。どうやら、胸の内には今も消えることのないライバル心が燃え続けているようだ。

 (文=大平明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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