根尾昂(大阪桐蔭)【前編】春の栄冠・夏の反省・秋への具現化
3月23日に開幕する「第90回選抜高等学校記念大会」。出場36校中、ただ1校権利を持つ「センバツ連覇」を目指して戦うのが大阪桐蔭である。昨年の主力選手の多くに2年生メンバーも出場していたため、この春は各選手が「ドラフト候補」としてもNPBのスカウトから熱い視線を注がれている。今回は、その中でも、根尾 昂を取り上げたい。
昨年の春は、センバツ優勝時のマウンドに立ち、秋は投げては最速148キロ、打っては5本塁打を放ち、近畿大会優勝に貢献。NPB12球団が1位候補として注目する「二刀流」の素顔に迫った2編に渡る独占インタビュー。前編では頂点に立った昨年のセンバツから、昨秋の戦い直前までを取り組みと共に振り返ります!
2017年・春の栄冠と力不足を感じた夏
昨年の選抜で登板する根尾昂投手(大阪桐蔭)
――まず、自身初の甲子園出場となった去年のセンバツから話を聞かせてください。初戦は宇部鴻城(山口)と対戦しました。
根尾昂選手(以下、根尾) 大会前に甲子園練習を経験していましたので、緊張はなかったです。「気持ち良かった」というのが率直な感想です。
――静岡戦では投手として甲子園初登板。どんな景色が見えましたか。
根尾 いつも投げる球場と違って、マウンドから見える景色は独特のものがありました。あんなに観客の近さを感じる球場は初めてでした。
――大阪対決となった履正社(大阪)との決勝戦では、最後にマウンドに登り、甲子園優勝投手となりました。
根尾 マウンドに集まってともに優勝を分かち合った時は嬉しくて何が何だか分からない気持ちになりました。ただこの優勝は、エースの徳山 壮磨(早稲田大)さんや3年生たちのおかげです。すごい経験をさせてもらったなと思います。
――センバツ後の春季大会では、試合に出場していない試合もありました。
根尾 この時期は腰を少し痛めていました。ただ、去年の年明けから小さいケけがをしていたころから、ケアを大事にする意識は高まっていたので、無理はしませんでした。
実は今年も年明け、動きが悪い日があったので、指導者の皆さんと話をして、別メニューで負荷が大きいトレーニング、実戦練習も避けたことがあります。ケガを重症化にさせない取り組みは常に考えています。
――そのように慎重な調整を続けながら臨んだ夏の大会。根尾選手は自身のプレーを振り返っていかがでしたか。
根尾 夏の大阪大会、甲子園と、僕の中で上手くいったといえる試合は1つもないです。打撃も、守備、投球も全然ダメでした。
僕たちが戦ってきたチームは夏へ向けて、完成されている状態がほとんど。そういうチームと比べると、余計に自分の弱さ、もろさが見えた大会だったと思います。
夏の反省踏まえ、考えを具現化
昨年について振り返る根尾昂(大阪桐蔭)
――結局、夏の甲子園では3回戦で仙台育英(宮城)に敗退。では、新チームをスタートさせる上で根尾選手は、どのようにパフォーマンスを見直したのでしょうか?
根尾 打てなかった原因を考えつつ、夏では投手として打たれることも多かったので、「どうしてあの場面でああいうボールを投げてしまったのか」を振り返ったり。「あの時はあれしか方法がなかったのかな」と考えることが多かったです。
とはいえ秋がスタートすれば、自分たちが最上級生・中軸になる。ですので、プレーする上で、自分が使える引き出しや選択肢を増やせるような努力を一日一日やっていきました。
――打撃面で具体的に見直した部分はどこになりますか?
根尾 「自分の形でどう打つか」にこだわりました。というのは夏の映像を振り返ると、フォームを崩されていたり、投手に打たされてしまうこともありましたし、不利なカウントにして、バッティングカウントで打てていないことも反省点だったからです。
ですのでやはり「自分の振りは心がけよう」と。ただ、いつでも打てるわけではないので、空振りをする中で、タイミングを計ることも意識しました。
――では、自分のスイングをするために心がけていることはありますか?
根尾 小さく振らないことです。大きく振りすぎてしまってはいけないのですが、練習の時点からセンターに強い打球を心掛けて、その打球が打てればベスト。そのイメージを持って、普段の打撃練習から取り組んできました。
【後編】では根尾選手自身が秋の戦いを多角的視点から分析。もちろん、センバツへの意気込みも存分に語っています。お楽しみに!