Interview

小園 海斗(報徳学園2年・遊撃手)生粋の野球小僧、報徳学園で戦う男に【前編】

2017.12.23

 センバツは第90回、夏の選手権は第100回大会を迎えるなど、高校野球にとって節目の2018年。加えて新3年生となる世代は2000年生まれが大半を占める、いわゆる「ミレニアム世代」。すべてにおいて記念すべき一年を飾るべく、全国各地で逸材たちが活躍の助走に入ろうとしている。
 そこで今回はそのトップレベルプレイヤーたちを徹底インタビュー。今回登場して戴くのは2016年・WBSC U-18ワールドカップでも躍動した報徳学園の遊撃手・小園 海斗である。
 50メートル走5秒8・遠投110メートル・高校通算27本塁打と走攻守に世代トップレベルの実力を持つ彼。では、そのベースにあるものとは?前編では野球を始めたころから、報徳学園だからこそ学んだこと。そしてベスト4に進んで2017年センバツについて語って頂きます。

小園 海斗(報徳学園2年・遊撃手)生粋の野球小僧、報徳学園で戦う男に【前編】

中学時代の悔しさが、高校での次なる目標へ

小園 海斗(報徳学園2年・遊撃手)生粋の野球小僧、報徳学園で戦う男に【前編】 | 高校野球ドットコム
小園海斗(報徳学園)

――まずは、野球を始めたきっかけから教えて頂けますか?
小園 海斗選手(以下、小園) 幼稚園年中の時に、祖父と一緒に阪神甲子園球場で「阪神vs巨人」の試合を観に行ったんです。そこで大きな甲子園の雰囲気を感じて「野球をしたいな」と思って。幼稚園年長の時に体験入部で硬式野球の宝塚リトルリーグに行かしてもらって、そのまま入団しました。

――最初はどのポジションでしたか?
小園 最初はセンターでした。実は当時は右打者だったんです。ただ、脚が速かったことから宝塚市立逆瀬台小小2年生の時、コーチに「左打ちに変えてみろ」と言われて、そこから右投左打になりました。宝塚市立光ケ丘中1年の時はリトルリーグの全国大会にも出させてもらいました。

――そこから大阪の名門・枚方ボーイズに進むわけですが、地元の兵庫県宝塚市から離れたチームをどうして選んだのですか?
小園 リトルリーグは中学1年の夏まであったので、その後に強いチームでプレーしたいと思った時に、枚方ボーイズの選択肢になりました。体験入部したらすごくいい選手も多かったので、その夜、当時の鍛冶舎さん(巧監督・前:秀岳館高監督)から電話を頂いた時に即決で入団を決めたんです。

――枚方ボーイズで学んだことはどんなことがありますか?
小園 すごくレベルの高い野球ができました。幸いにも僕は入団後すぐに遊撃手で試合も出させて頂きましたし、卒団までに4回も全国大会を経験できました。うち春と夏に一度ずつボーイズの全国大会で優勝できたことが大きかったです。
 そして枚方ボーイズのチームカラーはアグレッシブさ。チームの目標は「スピード&パワー」だったので、「圧倒的な力で勝つ」という自分のプレースタイルをここで確立できました。

――3年秋には侍ジャパンU-15代表にも選ばれて、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで開催された「U-15アジアチャレンジマッチ2015」にも参加しました。「日本代表」という肩書をを背負って、国際大会で得たものも大きかったと思います。
小園 当時の代表はジャイアンツカップ(全日本中学野球選手権大会)参加選手から選ばれたのですがすが、まさか大会1回戦負けだった僕が選ばれるとは思ってなかったんです。でも、いいメンバーで日本の代表ユニフォームを着て、日本とは違う球質の投球や打球を体感できたことはよかったです。
 その反面、全く打てなかった(大会4試合で13打数4安打3打点も最終戦のチャイニーズ・タイペイ戦は4打数無安打)悔しさがあったので、「高校の舞台でも侍ジャパンU-18代表に選ばれる」という目標もここでできました。

――ということは、侍ジャパンU-15での経験は小園選手にとっても大きなターニングポイントになったわけですね?
小園 そうなんです。技術的にもこの時に学んだことが、2017年の「WBSC U-18ワールドカップ」で活きました。
 U-15当時の自分は外角中心の投球を打てなかったので、U-18の時ははじめから外角へのボールに狙いを定めていました。それが金属バットから木製バットに変わっても対応できた(9試合で37打数14安打5打点2盗塁・打率.378)要因だと思っています。

[page_break:報徳学園で学んだ「戦術的走攻守」]
小園 海斗(報徳学園2年・遊撃手)生粋の野球小僧、報徳学園で戦う男に【前編】 | 高校野球ドットコム
小園海斗(報徳学園)

報徳学園で学んだ「戦術的走攻守」

――高校は地元に戻って報徳学園を選びました。

小園 小さいころから高校野球を見ている中で一番に甲子園でも勝っている「HOTOKU」ユニフォームのカッコよさに憧れましたし、僕が地元で活躍することで地域の皆さんや後輩たちにいい影響も与えたかった。 

――進学を決めた理由には永田 裕治・前監督の存在も大きかったと思います。

小園 今、クラス担任は永田先生なんですが(笑)、授業の時と野球の時は全然違う方。1年時から僕は試合に出させて頂く中で、光栄に思いつつも、結構怒られました。

――最初は中学野球と高校野球との戦術の違いに対する戸惑いもあったのでは?

小園 報徳学園は細かい野球をするんですが、チーム戦術の部分とバントに戸惑いました。僕は枚方ボーイズでは2番を打っていたんですが、一度も試合でバントをしたことがなかったんです。

――となると、最初のカルチャーショックは「バント」ですね。どうやって慣れていったのですか?

小園 朝練習で全体が集まった時に、3年生の先輩から「変化球の時も最後までボールを見て、バットにボールを付ける感じでするように」と教えて頂いて、今では問題なくできるようになりました。バントの調子がいいとバッティングの状態もよくなることも解りましたし、しっかりするようにしています。

――そのバッティングについては、入学当初はどんなことを心掛けましたか?

小園  中学時代から球速のある投手と数多く対戦していたのですが、それでもまずは「ボールに食らいついていく」こと。一生懸命にすることで精一杯でした。少し慣れてから「対応」はしようと考えていました。

――守備についてはどうですか?

小園 僕は中学時代、そんなに守備がうまい選手ではなかったんです。でも、報徳学園のランナーが付いて、なおかつ「これで失点したら負け」といった厳しい状況設定の中でノックを受け続けたことで、プレッシャーの中で守備ができる自信ができました。
 守備の基本練習も朝練習でやり続けました。置いてあるボールにダッシュをかけて最後は刻んで捕球する形と、捕球態勢でのゴロ捕りを続けたことで格段に守備がよくなったんです。

[page_break:「永田先生のために」勝ち進んだセンバツ]
小園 海斗(報徳学園2年・遊撃手)生粋の野球小僧、報徳学園で戦う男に【前編】 | 高校野球ドットコム
小園海斗(報徳学園)

「永田先生のために」勝ち進んだセンバツ

――記憶に新しいのは2017年・小園選手2年春のセンバツです。大会前に永田監督がセンバツ限りで勇退されることを表明した中でのベスト4。小園選手も18打数9安打5打点・本塁打も1本放ちました。

小園 僕にとっては枚方ボーイズ時代のタイガースカップ以来の甲子園でのプレーでした。みんなで「永田先生のために優勝しよう」と誓いあって臨んだ大会で、準決勝で履正社(大阪)に負けてしまったことは悔しかったです。
 とはいえ、前年秋の近畿大会も思うような試合ができず、なんとか近畿地区一般枠選考ギリギリで出場できた中で、一戦一戦「相手をつぶしにいく。永田先生のために負けてはいけない」という気持ちを持ち続けてベスト4まで進めた。「気持ちが大事」ということをここで学びました。

――それだけに夏の兵庫大会は神戸国際大附に悔しい負けでしたね。

小園 そうです。

――しかし、小園選手の夏には続きがありました。侍ジャパンU-18代表選出です。

小園 一次候補には入っていましたが、夏の甲子園も出ていなかった僕が選ばれたのは驚きでした。

 後編ではカナダ・サンタ―ベイでの「WBSC U-18ワールドカップ」の話や、現在の心境と取り組み、そして将来の目標について小園選手が言葉を紡ぎます。お楽しみに!(続きを読む)

(文・寺下友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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