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第626回 寺岡 寛治投手(石川ミリオンスターズー楽天)5年の沈黙経て、再び動いた「投手」の時計【前編】2017年12月09日
2015年夏、ある人の運命の言葉が高校時代から眠りにあった豪腕を再び目覚めさせ、2016年ドラフトでのある選手の指名が最後にルートインBCリーグへ進む決め手に。そして一年後、彼はついに夢への切符を勝ち取った……。東北楽天ゴールデンイーグルスから7位指名を受けた石川ミリオンスターズの最速155キロ右腕・寺岡 寛治・25歳。その壮大な野球ドラマの一端を、ぜひ聞いてほしい。
手が届くも、一度は諦めた「NPB」への道

寺岡 寛治投手(石川ミリオンスターズー楽天)
――今回25歳で東北楽天ゴールデンイーグルスから7位指名を受けた寺岡 寛治投手ですが、東海大五(現:東海大福岡)時代にはプロからも注目を集める右腕でした。
寺岡 寛治(以下、寺岡):入学当時の球速は140キロくらいだったんですが、特別なことはせず1年冬にトレーニングをしたら、球速が急激に上がったんです。2年夏は145キロになって、2年秋の九州大会では149キロを出しました。そこでスカウトさんからも注目して頂きました。
ただ、3年生になる前の2月になると右ひじに痛みが出てきたんです。何度か1~2週間投げずに休んでも痛みが出て、最後の福岡大会では投げることができませんでした。苦い思いをしました。
――ということは、九州共立大へは野手として進学したわけですね?
寺岡:当初はプロがだめなら社会人に投手として進もうと思っていたのですが、右ひじの状態では練習会にもいけなかったんです。野手として大学の練習会に参加して声をかけて頂きました。入学時には「投手には戻りたいけど」右ひじは結局、疲労骨折だったことが解って1年の時に手術。大学では最後まで野手でした。ただ、ここでの経験は「僕が野手ならどのようにして打つか」を考える上で、今の投球に活きていると思います。
――ちなみに大学の1学年上は広島東洋カープの大瀬良 大地投手でした。大瀬良投手から学んだことはありますか?
寺岡:一緒に練習をしていて、常に追い込んで練習している大瀬良さんの姿を見ていたら、1位指名されるのは当然だし、プロ野球で成績を残すのも当然だと思います。大瀬良さんからは「姿勢が悪いと力を出す量が半減する」ことと、走ることの大切さを教えてもらいました。
――外野手としては4年春に福岡六大学リーグベストナインを獲得。全日本大学野球選手権にも出場しました。この時期に次の進路も考えることになったと思いますが……。
寺岡:社会人野球を野手としてやっていきたいと思っていました。ただ、僕はけががあって下級生時代からの出場経験がなかったので、どこも採用枠がなくて。8月に九州三菱自動車に決まっていなかったら野球をあきらめていたと思います。運がよかったんです。
――ということは、当時は投手に戻ることは考えていなかったのですか?
寺岡:投手は頭になかったです。野手として生きていこうと思っていました。
最終学年で言えば、チームとしても個人としてもマシンと投手との違いを理解した上で、打撃練習にも取り組まないといけなかったですし、不完全燃焼でした。方法論を探しているうちに高校野球が終わってしまった感じです。
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- 寺岡 寛治(てらおか・かんじ)
- ポジション:投手
- 身長:180センチ89キロ
- タイプ:右投げ右打ち
- 生年月日:1992年12月3日生まれ
- 福岡県糟屋郡粕屋町出身。町立粕谷西小2年時に内橋ジュニアスラッガーズで内野手としてソフトボールを始め、4年生からは投手。当時の遠投は62メートル。町立粕屋東中では3歳上の従兄弟の影響で粕屋ボーイズに入団。最速135キロの直球派として鳴らす。東海大五高(現:東海大福岡高)では2年秋の九州大会で最速149キロを出し、NPBスカウトの注目を浴びるが、3年春を前に右ひじを痛め最後の夏は登板なしに終わる。外野手として入学した九州共立大では1年時に疲労骨折が判明した右ひじを手術。復帰後、4年春には福岡六大学野球リーグ戦ベストナインを外野手として受賞した。九州三菱自動車でも当初は外野手も、入社1年目の2015年夏に投手兼任へ。兼任後2週間で自己最速となる150キロをマークし、翌年も外野手兼リリーバーを務め最速155キロをマークした。2017年はルートインBCリーグ・石川ミリオンスターズに特別合格で入団。セットアッパーとして43試合に登板・2勝1敗・59回3分の1を投げて被安打38・奪三振82・四死球28・防御率1.52の好成績を残し、10月26日の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」では東北楽天ゴールデンイーグルスから7位指名。11月10日には契約金2000万円、年俸600万円、背番号「56」で契約合意に達した。最速155キロのストレートと、石川ミリオンスターズで磨きをかけたカットボールを中心とした強気の投球が持ち味。
- 上記データは掲載時のものとなります。