Interview

西浦 颯大(明徳義塾ーオリックス) 「原点に返り「00」から始めるプロ野球選手の道」

2017.11.28

 さる10月26日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported byリポビタンD」。今季パ・リーグ4位からの捲土重来を期すオリックス・バファローズが6位指名したのは、高知・明徳義塾高の西浦 颯大であった。

 中学時代から侍ジャパンU-15代表に名を連ね、高校時代も名門の主軸として常に高い期待を背負ってきた俊足強肩外野手。ただ、当の本人は高校時代を振り返り「不完全燃焼」と明言する。その真意とは?18歳の独白を聴いてほしい。

憧れだった「明徳義塾」で順風満帆スタートも

西浦 颯大(明徳義塾ーオリックス) 「原点に返り「00」から始めるプロ野球選手の道」 | 高校野球ドットコム
西浦 颯大(明徳義塾)

――今回は高校時代に特化して話を進めようと思います。まず、侍ジャパンU-15代表も経験して明徳義塾に入学した際に、自分としてはどんな3年間をイメージしていましたか?

西浦 颯大(以下、西浦)僕は3年先輩の岸 潤一郎さん(拓殖大~徳島インディゴソックス)に憧れ、早い時期から明徳義塾に進もうと思っていました。「明徳」のユニフォームは輝いて見えました。

 ですので、明徳義塾に来る前に父(文典さん)と話をしたのは「3年間のうちに1回は(自分が)甲子園でプレーできるようににする」でした。

――そんな中で2015年春にやってきた明徳義塾。最初の印象は?

西浦:「山」です(笑)。事前に「何もない」とは聞きながら「コンビニくらいはあるだろう」と思っていたら、本当に何もない。びっくりしました。1週間で帰ろうと思いました(笑)。

――(笑)。でも、そこで自分を支え、ここまでやってこれた要因は何ですか?

西浦:両親の支えもありますし、入学直後にB戦に連れて行ってもらった時に初試合初ホームランが打てたこと。そこで「次の試合からAチームに行け」と言われて、野球が楽しくなったことが大きかったです。高知大会前の島根遠征でも16打数14安打。1年生の時が自分でも一番よかったような気がします。

――西浦選手から発言が出たので、状態の上下についても話をしていきましょう。高校野球から離れて自分を俯瞰する機会もできた今、振り返ってで反省すべきことはありますか?

西浦:高校時代は冬練習で厳しさから逃げようとする意識も正直、ありました。もっと詰めるべきところはあったと思いますし、食事量も改善するべきだったです。

――その意味では、すぐにAチームに上がることがなくてもよかったかもしれない。

西浦:絶対にそう思います。練習をしていても周囲に言うのは僕と今井 (涼介・3年・遊撃手)くらい。静かなヤツが同級生に多かったので、僕自身が勘違いする部分もあったと思います。

 最終学年で言えば、チームとしても個人としてもマシンと投手との違いを理解した上で、打撃練習にも取り組まないといけなかったですし、不完全燃焼でした。方法論を探しているうちに高校野球が終わってしまった感じです。

――ちなみに高校引退後に取り組んでいることはありますか?

西浦:メイングラウンドでは新チームが練習しているので、サブグラウンドで身体を開かずティーを打つことや走ること。内野守備も練習しています。今が一番大事だと思っています。

[page_break:「力以上」を知り、自分を見つめ直し、原点に立つ]

「力以上」を知り、自分を見つめ直し、原点に立つ

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西浦 颯大(明徳義塾)

――話にもあったように1年夏、3年夏の高知大会では不振に苦しんだ西浦選手ですが、甲子園では33打数12安打6打点。2年夏には3回戦・嘉手納(沖縄)戦でグラウンドスラムを放つなど、ことごとく活躍しています。その要因とは?

西浦:甲子園はプレーしやすいですし、力以上のものを出させてくれる場所でした。僕は結構目立ちたがりで、観客がいっぱいいる方が燃えるタイプなので。

 2年夏・嘉手納戦での満塁ホームランも第1試合なのに観衆がいっぱい入っていて、(2016年8月16日)気持ちが乗りました。

――あのホームランは完ぺきな当たりでしたね?

西浦:当たった瞬間はセンターフライと思ったんですが、どんどん伸びてくれました。

――ただお話頂いたように、最終学年では不完全燃焼。プロ以外の選択肢もあったと思います。その上であえて「プロ志望届」を出した理由は?

西浦:(馬淵 史郎)監督さんからもNPBのスカウトさんたちからも肩と足を評価して頂いたことです。僕はものごころ付いたときからプロ野球選手が憧れの存在でしたし、そこから小中高とそこを目指してきました。

 だからこそ夏の高知大会くらいになって、自分の中で「挑戦したい」気持ちが生まれてきました。

――そんな「明徳義塾=高校野球」は西浦選手にとってどんな場所でしたか?

西浦:苦しい場所でもあり、いい経験をさせてもらった場所。そして自分の性格を一番わかっている監督さんが、自分の人間性を成長させてくれました。

 馬淵監督は僕が打たなかった時にベンチに戻ると、「怒られると次に打ってやると思う」ことを知っていて発奮させる言葉を言うんです。そこもありがたかったです。

――では最後に、プロ野球の世界での意気込みを聴かせてください。

西浦:中学時代にガムシャラにやっていた原点に立ち、まずは二軍でしっかりと身体づくりをしたい。打撃では「バットを振りながら当てる」ことに取り組んで、確固たるフォームを作ること。筋肉の瞬発性を付けて脚もダッシュ力を付けたいです。

 プロは先輩ばかりなので、いろいろなものを吸収して、研究して、自分のものにして、3年目くらいには一軍で活躍できるようにしたい。

 将来的には小さい子どもがTVを見て「こんな選手になりたい」と憧れられる選手になりたいです。自分も子どものころ、そうやって夢を与えてもらいましたから。

 インタビューの合間には「MLBの選手は好きでよく見ますし、NPBでも糸井 嘉男さん(阪神)や吉田 正尚さん(オリックス)のバッティングフォームをマネして、いいところを組み合わせて自分のものにしていくタイプ。夏の甲子園では大阪桐蔭の藤原(恭大・2年)にも打撃を教えてもらいました」とも語ってくれた西浦。こういった彼のあくなき探究心にプロで不可欠と自覚している「ガムシャラさ」が加われば、きっと高校でぶち当たった壁も超えてくれることだろう。
まずは「(後藤)駿太のポジションを目指してほしい」とオリックス担当スカウト柳川 浩二氏も期待する守備・走塁で信頼される選手から、さらなる飛躍へ。「入ってからが勝負」(明徳義塾・馬淵 史郎監督)とプロの世界で、西浦 颯大は自らの想いを込めた「00」をいっそう大きく、価値あるものとしていく。
 

(文・寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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