第48回明治神宮大会明徳義塾の優勝で終わった。MVPはもちろんこの人。エース・市川 悠太だろう。3試合すべてを完投。計6失点。さらに決勝戦は94球、4安打完封と安定感抜群のピッチングで、優勝に導いた。公式戦10試合すべて完投勝利を挙げた市川は、なぜ1人で投げ切りたいと思ったのか。それは高知県人としてプライドがあった。

実は満身創痍でのピッチング それを微塵と感じさせない気迫がこもったピッチング


 まさに市川ワールドだった。創成館打線に対し、「実は練習試合で対戦経験があり、10対3で勝ちましたけど、8回まで投げて被安打10と打たれているイメージしかなかったので、なんとしても抑えたかった。しっかりと振ってくる打線だと思うので、しっかりと休んで明日に備えて修正したい」と話した市川。今日のピッチングはこれまでの2試合と比べても最高のピッチングだった。

「今日は本当に良かった。何が良かったといえばストレートです。ストレートも球威がありましたし、コントロールもよかった」

 ストレートは135キロ~139キロと決して速いわけではない。だが、回転数が高く、球威があり、コントロールされたストレートに、これまで神宮で快音を響かせた創成館打線が沈黙した。

「今日はストレートが良いので、相手もどんどん打っていくのですが、それがホップフライやゴロになって球数低く抑えることができた」と語るように、9回まで投げて94球。4安打、3四死球とまさにエコピッチングで秋の頂点に立った。これで高知県大会からすべての試合を完投勝利。まさに鉄腕というべき道のりである。

「新チームが始まった時からすべて自分が投げることが決まりました。監督にも言われましたし、自分もそのつもりでした」

 そして神宮大会でも4日間で3試合を完投勝利。それでも、「連投は大丈夫ですし、もともとスタミナはあるほうなんで」という市川だが実は満身創痍だった。高知大会中に痛めた右足内転筋が神宮大会になって再発した。そして準決勝の静岡戦では、右手の爪が割れた。それでも「気にしたら投げられないので、爪の方は気にしなかったら大丈夫でした」とケロリといいのける市川はただモノではない。

 1人で投げたい。投げ切りたい。そのエネルギーはどこからくるのか。それは、高知県人として甲子園に導きたい思いがあった。