2年連続東海大会優勝の静岡。毎年、能力が高い投手、野手が出てくるが、今年もドラフトを意識できる野手がでてきた。今年は成瀬 和人に注目だ。177センチ77キロと恵まれた体格を誇る成瀬は、昨年は外野手。今年は三塁手としてプレーし、強打の三塁手として存在感を示している。 大会打率.571を記録し、神宮大会で評価を高めた成瀬はこの大会を迎える前までなんと不調だった。
栗林監督とのマンツーマン指導で復調のきっかけをつかむ

成瀬和人(静岡)
凄まじい打球だった。初戦の日本航空石川戦。初打席でライトへ鋭い打球を打ち、タイムリーヒット。鋭い金属音とともに、速い打球がグラウンドへ抜けていき、神宮球場のファンを驚かせた。そして2打席目もライト前、そして3打席目はセンターへ大きく打ちあがったフライ。4打席目は鋭いライト前タイムリーと計5打数3安打3打点と大活躍。続く明徳義塾戦でも、2打数1安打2四球。大会通算7打数4安打、打率.571。全体的に当たっていた大会で、強打のサードとして印象付けた大会だった。その成瀬だが、実は大会前まで不調だった。
「東海大会では9打数1安打で、それでもこうやって打てたのは練習に付き合ってくれたチームメイトのおかげかなと思っています。やっと打てた時はほっとした気持ちで、付き合ってくれた選手に感謝の思いです」と付き合ってくれた選手に感謝の気持ちを示した。どうやって不調を克服したのか?それは下半身の使い方にあった。
「下半身が使えていなかったので、監督とマンツーマンでついてやってくれ、そこから打球の質も変わってきました。変えたのは右足の使い方。軸足が突っ込むことが多かったので、それを我慢できると、強いスイングができて打球の質が変わってきました」
成瀬は技術的なポイントに気づいたが、栗林良輔監督は「力み過ぎるですよね。全体的に力が入っているから、その力を抜いて打っていきなさいと。考え方を少し変えていきなさいと教えました」と精神面でアドバイス。こうして、強打者として復活を果たした。神宮大会では「ボールが逆らわず打ち返すことができてよかったと思います。しかしまだまだなところがありますので、それを生かして次に生かしていきたいと思います」
神宮大会では何としても勝ちたい思いが強かった。「去年の神宮では勝てていないですし、今年の夏の甲子園も行けなかった。神宮大会は各地区の1位チームが勝ちあがる大会ですので、その全国大会で1勝して、優勝を目指して目標にしていたことなので、1勝出来たのは本当に良かったと思います」
全国で勝つことを目標にやっていた静岡。その1勝に貢献できたことにはほっとしているが、目標は全国制覇。準決勝で、明徳義塾に敗れた。栗林監督は「攻撃力というところでまだまだ」と課題を話しつつ、その中で成瀬については「1番村松 開人とともに軸として期待している選手です」と期待は高い。
そしてこの秋からサードへ本格転向したが、「投手との距離が短くなって、コミュケーションを取る難しさを感じています」と外野手との違いを語った成瀬。選抜では、2大会連続で初戦突破を決めている静岡だが、今度は自分たちの代でも全国1勝を勝ち取りたい思いは強い。大会打率.571を記録した大型サードはこの大会を糧にして、春では甲子園のファンを驚かせるスラッガーへ成長し、勝利に貢献する一打を多く見せていきたい。
(文・河嶋 宗一)
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