11月10日、明治神宮大会が開幕。開幕戦を制したのは創成館だった。創成館で注目を浴びていたのはエースの川原 陸だ。184センチ78キロと恵まれた体格から投げ込む直球の最速は141キロ。九州大会では、4試合で防御率0.78と抜群の安定感を示し、優勝に貢献した。九州地区では名が知れた川原にとって、この神宮大会は自分の名を上げるチャンスでもあった。

チェンジアップ習得が飛躍のきっかけに


 待ちに待った全国デビュー。本人の出来は「ストレートが全く走らなかった」と語るも、それでも大物左腕として印象付けるには十分なデビュー戦だった。

 長崎北シニア時代、外野手として日本代表を経験。当時から130キロ台の速球を投げる投手だったが、創成館入学後は投手ではなく、外野手としてのスタート。だが、投手をやりたいと希望し、途中から投手へ。そしてベンチ入りしたのは、2年春のNHK杯から。2年夏もベンチ入りもしたが、なかなか結果が出なかった。そこで活路を見出したのは、チェンジアップの修得だ。
「今までストレート、スライダーしかなかったので、そこでチェンジアップを使おうと思いました」
チェンジアップは、稙田龍生監督から握りを教わった。「正直難しいですし、まだ完成度は低いですが、チェンジアップを習得したことで、だいぶ投球の幅を広げることができました」
チェンジアップを習得した川原は水を得た魚のように、快投のピッチングを見せる。県大会を勝ち進み、九州大会に出場した川原はさらにピッチングの状態を高め、都城東戦で、6回1失点の好投を見せると、準々決勝では最速145キロ左腕の知念 大成(沖縄尚学)と投げ合い、5回無失点の好投で、勝利を手繰り寄せると、準決勝の延岡学園戦。九州地区でも屈指の強力打線相手に9回、3安打、11奪三振の完封勝利。

「あの試合では、ストレートの勢いもよかったですし、スライダー、チェンジアップも決まって自分の投球ができた」

 そして九州大会優勝を決めると、迎えた 明治神宮大会。本人は「ストレートの調子は最悪だった」と振り返るように、球速は常時130キロ~135キロ(最速137キロ)にとどまった。だが、スライダー、チェンジアップを巧みに投げ分け、6.1回を投げて7奪三振、1失点の好投を見せ、全国初勝利を手にした。

 川原が目標にするのはプロ野球選手。そのステージに進むために大きな1勝となった。まだこの1勝で満足するつもりはない。さらに全国の舞台で名を上げる活躍を見せるつもりだ。

(文・河嶋 宗一

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