目次

[1]1試合で評価を一変させた
[2]投手というものを覚えさせてくれた打撃投手の経験
[3]まだどれぐらいの力が自分の中に眠っているのか、本人も分からない

 今ドラフト戦線で一躍、注目を浴びているのが北海阪口 皓亮(こうすけ)だ。夏の甲子園では初戦の神戸国際大付戦に先発し、3回2/3を8安打1失点。わずか58球でマウンドを降りながら、自己最速の148キロをマークした潜在能力の高さにスカウト陣の目が釘付けとなった。甲子園でも背番号10だった未完の大器は、プロの世界を夢見て黙々と練習を続けている。

 夏よりも一段と精悍さを増した表情に、決意の固さが伺えた。これまで抱いてきた「夢」は今、はっきりとした「目標」へと変わっている。このモチベーションが、高校野球が終わってもなお、阪口を突き動かし続けている。
「甲子園が終わったあとは、ワクワクした感じが強かったんですけど、ドラフトが近づいてくるにつれて、“本当に指名してもらえるのか”という不安も出てきています」と本音をちらりとのぞかせながらも、目の奥に潜む力強い光は隠すことができない。


1試合で評価を一変させた

阪口 皓亮(北海)

 夢舞台に立つまでは、ノーマークの存在だった。186センチ77キロのひょろりとした右腕は、初戦の神戸国際大付戦で立ち上がりから140キロ台後半のストレートを連発。3番打者には自己最速となる148キロをマークしてみせた。
「自分では力を入れているつもりはなかったんで、全然気が付かなかったんですよ。あとから伝令が出てきたときに“きょうは148キロも出てるし、球が走ってるんだから力で押していけ”っていわれて。“エッ、そんなに出てるんだ”って感じだったんです」と自身も認識していなかったポテンシャルで、ネット裏の評価を一変させた。

 この148キロは、今夏の甲子園球速ランキングで花咲徳栄清水 達也(150キロ)、前橋育英皆川 喬涼(149キロ)に次ぐ第3位。そのスピードはもちろん、真上から投げ下ろす独特の角度とキレ味抜群の球質には、無限の可能性が宿っている。狙い球をストレートに絞って振り込んできた神戸国際大附打線に8安打を浴び、3回2/3でマウンドを降りることにはなったが、プロの目を引き付けるには十分な58球だった。

「チームには申し訳ない投球でした。あと1つアウトを取れていれば、次のイニングも投げられていたと思いますから」。
南北海道大会でも4試合すべてに先発しながら、27イニングで16失点と、高校野球が不完全燃焼で終わったことも、次のステージを目指す強烈なエネルギーとなっている。

 甲子園で力を出し切れたとは言えない。それでも大舞台で自己最速を更新してみせたという事実は、今後の大化けを予感させる。実は自身でもその予兆を感じていた。
「大阪入りしてからの練習で、すごく調子が良かったんです。なんでだろうって思ってたら、みんなから“フォームが変わってる”と言われて」。

 まったく意識はしていなかったが、左腕の使い方が変わっていた。これまでは一度、三塁方向に腕を突き出してから肩を回していたのが、直接ホーム方向へと腕を伸ばして投げていた。これにより体重移動がスムーズになり、指にかかるボールの感覚が明らかに変わった。
「どうしてフォームが変わっていたのかは、自分でもわかりません」と笑いながら首をかしげる阪口。それでも秘められていた能力の一端が顔をのぞかせたことで、プロへの距離はグッと縮まった。

PHOTO GALLERY フォトギャラリー

写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。