中村 奨成(広陵)「世界一へ、チームに勢いを与える豪打を」
9月8日、第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップ7日目。決勝進出を目指して望んだカナダ戦は逆転負けとなった。次の韓国戦では勝つことが大前提。今回は韓国戦へ向けてのキーマンを紹介。今回は中村奨成(広島広陵)だ。甲子園で残した数々の打撃記録。求められるのは豪快な打撃。その打撃ができず、苦しんでいたが、ようやく復調の兆しが見えている。
大藤コーチから受けたアドバイスとは?
中村 奨成(広陵)
甲子園の活躍を見れば誰もがU-18でも活躍することを願うだろう。しかしU-18の大会が開幕すると、手元で微妙にボールを動かす海外投手の対応に苦しみ、一次ラウンドでは11打数1安打と自分の持ち味を発揮できなかった中村。そして6日の公式練習を見ると、大藤敏行コーチからマンツーマンで指導を受ける中村の姿があった。教わったことは「間の取り方」と「ボールの見方」だ。
「指摘されたのは、間合いの取り方です。良い間合いの取り方ということで、[stadium]甲子園[/stadium]時の映像を大藤コーチから見せてもらいまして、それをイメージして打撃練習をしました。そしてボールの見方が悪かったので、それも修正しました。それをしないと、自分のスイングができないのでそこは意識して、取り組みました」
大藤コーチの指導により、中村の打撃練習は非常に良く、本当に打撃不振に苦しんでいる選手なのか?と思うほど打球が鋭い。坂本勇人のようにバットを持つ位置を高く取り、インパクト後、フォロースルーが大きいスイングから、両翼101メートル、中堅122メートルのcentralで、さく越えの本塁打を放った。右打者で中村と同じくらい飛ばせる選手はいなかった。やはりスラッガーとしての素質は高い選手であり、首脳陣がなんとしても復調を願いたいというのが、観てて伝わる。中村も練習で本塁打を打ったことについて「自分でも納得がいくスイングです」を振り返った。
迎えたスーパーラウンド。オーストラリア戦では無安打に終わったが、カナダ戦。第1打席からセンターへ鋭い飛球。フライアウトとなったが、久々に中村らしい当たりを見せた。そして第3打席目は久々のセンター前ヒット。この日は凡退でも中村自身、「内容は悪くなかったですし、自分の課題としていたタイミングの取り方だったり、ボールの見極めもできていたと思います」と振り返る。だが、チャンスの場面で打てなかったことを悔やんだ。
「そこは反省点ですし、韓国戦ではチャンスの場面で打てることが大事となってきます。打撃はヒットの内容は良かったと思いますが、それでもまだ修正すべきところがあるので、しっかりと反省をしてやっていきたいと思います」
次の試合へ向けての課題を話した中村。しっかりと前を見据えている。捕手として出たい思いはありながらもチームの一員として、声を出し、アドバイスなどを送った。負けられない戦いが続く中、中村にかかる期待は大きい。この夏の甲子園。広陵の躍進は中村の本塁打から始まった。初戦、中京大中京戦、6回表、2点ビハインドからライトへ甲子園初アーチ。そこから逆転劇。中村が打てば、チームは良い意味で大きく変わる。それができるのは、限られた選手しか備わっていない素質である。
最大で残り2試合。世界一への道はかなり険しいものとなった。しかし中村ならばやってくれるはず。奇跡を起こす一撃を期待したい。
(取材/文・河嶋 宗一)
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