目次

[1]劇的に進化した「クイックモーション」
[2]青柳流「再現性の高いフォーム」の入手法
[3]「いい日と悪い日の違い」に日々向き合う

 2015年秋、阪神タイガースのドラフト5位指名を受けプロ入りを果たした青柳 晃洋投手。アンダースローよりも上、サイドスローよりも下の位置から腕が振られる投球フォームは「クオータースロー」と称され、独特の投球軌道を描く。ルーキーイヤーの昨季は13試合に登板し、4勝、防御率3.29をマーク。ローテーションの谷間を埋める貴重な役割を果たした。

 今回は2年目の飛躍に挑む青柳投手に「投球メソッド論、制球アップ術」というテーマをぶつけるべく、タイガースの本拠地、甲子園球場を訪れた。いったいどのような話が聞けるだろうか。

劇的に進化した「クイックモーション」

青柳 晃洋投手(阪神タイガース)

 プロ1年目、青柳は16度盗塁を企てられ、許した盗塁数は13。走者を置いた状況で大きな課題を残した。
「一塁にランナーが出るとすごく気になってしまう。その分、バッターへの集中力がそがれ、フォアボールで一、二塁にしてしまい、バントで送られて走者が三塁にいってから、ようやく大きく足を上げてバッターと勝負ができる、という状態でした」

 クイックモーションのタイム自体は1.2~1.3秒とそれほど遅くはなかったものの、体を沈めながら投げるフォームのため、上体が折れ始めた段階でランナーはスタートが切れてしまう。これが許した盗塁の多さの主要因だった。青柳は2年目に向け、改善法を模索し続けた。

「上体を沈める時間がタイムロスにつながっていたので、あらかじめセットポジションの段階で体を前に倒しておこうと。膝も最初から折り、体重も軸足に最初から乗せておくことで、『あとは足を前に踏み出すだけ』という状態をセットポジションの段階で作っておく。このフォームを手に入れてから、ボールの威力を落とすことなく、クイックに投げられるようになりました」

 フォーム改良後のクイックモーションタイムは驚異の0.9秒。一躍チームトップクラスのクイックの使い手となった。手に入れた至高のクイックモーションの威力が発揮されるのは塁上に走者がいる時だけではない。青柳は無走者の時でも打者を打ち取る術のひとつとして、クイックモーションを使用している。

「西武のサブマリン・牧田和久さんのように無走者でも時折、クイックを織り交ぜていけば、ボールの緩急に加え、フォームにも緩急をつけることができる。これからも取り入れていきたいと思っています」