Interview

根岸 崇裕(前橋育英)「背番号1の期待に少しは応えられたかな」

2017.05.22


根岸崇裕(前橋育英)

 140キロを投げる投手4人おり、前橋育英140キロカルテットとして注目される前橋育英。その中で将来性で一番として期待されるのが根岸崇裕だ。192センチの体格から振り下ろす140キロ台の速球が持ち味の本格派右腕である。今までは控えとして回ることが多かったが、関東大会では初めて背番号「1」を背負ってマウンドに登っている。どんな思いでマウンドに登っているのか。

苦手なことにしっかりと取り組める素質が根岸にはある

 館林二中では軟式でプレー。入学当時から190センチを超える長身から130キロ台の直球を投げ込んでいた根岸。だが、同期のライバルの存在もあり、なかなか登板機会が得られなかった。
「今もそうですけど、当時は全然動けなかったので、動作のキレを求めてランメニューを大事にしていきました」
 そこで根岸が取り組んできたのは動作のキレを高めるショートダッシュだ。冬場も、一冬超えてからもショートダッシュを中心にランメニューを行い、動作のキレを高めてきた。そうすると一冬超えてから、「体にキレが出てきて、フォームも良くなってきました」と本人が手応えを掴んだように、選抜の高知中村戦では、140キロ台連発するなど、上々の甲子園デビューを果たした。しかし先発した報徳学園戦では初回4失点でマウンドを降りる結果となってしまい、チームも敗れた。

 この試合について根岸は、「あの日を境にもっと1つの練習の質を高めていかなければならない」と1日1日の練習を大事に取り組んできた。ひたむきに練習に取り組む根岸の姿に荒井直樹監督は「根岸は、本当にコツコツと取り組める選手で、入学からかなり伸びた選手です」と取り組む姿勢を評価している。根岸は走ることだけではなく、変化球もあまり投げられなかった選手で、入学当時はストレートとカーブのみ。だが、今ではスライダー、ツーシーム、スプリットも投げられるようになるまでになった。苦手なことを向き合って取り組む根岸を荒井監督は春季県大会では先発として起用してきた。

[page_break:関東大会のピッチングは今まで一番良いピッチング]

関東大会のピッチングは今まで一番良いピッチング

 根岸はしっかりと荒井監督の期待に応え、県大会準決勝では7回ノーヒットノーランを達成するなど、勝利にしっかりと貢献してきた。そしてこの関東大会では背番号「1」を初めて任された。 

 迎えた駿台甲府戦。「立ち上がりは緊張して、力みましたけど、尻上がりに状態を上げることができました」と振り返るように、初回は135キロ~138キロだったが、5回には三者連続三振、6回には2三振を奪う快投を披露。本人も「5回あたりから調子があがったきた」と話すように、球速も138キロ~142キロを計測しており、しっかりと力のあるストレートを投げ込むことができていた。またスライダー、カットボール、カーブをコーナーへ投げ分けることができており、器用なピッチングができていた。

 8回二死一、二塁の場面になったところで降板。7.2回を投げて、被安打8、奪三振8、自責点0、投球数100と粘り強いピッチングを見せた。根岸は自身の投球を振り返って、「初めて背番号1を背負うことになって、何としても監督の期待に応えたいという思いで投げてきました。関東大会という大舞台で、0対0の接戦を投げるのは、僕自身、初めての経験ですが、無失点に抑えることができて、少しは監督の期待に応えたかなと思っています」
根岸の投球についてしっかりと荒井監督は評価している。
「ちょうど8回あたりで疲れが見えていて交代をさせました。根岸が接戦で投げられるのは本当に大きかったですし、今まで一番良かったと思います」と絶賛。エースとしての期待に応えていたのだ。

 これからも荒井監督の期待に応えるために根岸は、
「1つ1つのスキルを磨いてきましたが、ストレートで押せるような投手になるために直球を磨いていきたいですし、より1日1日の練習を大事にしていきたいと思っています」
これからも、上手くなるために、ひたむきに取り組み、2年連続夏の甲子園を導くエースとなって見せる。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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